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東京

平和遺族会、中国帰還者連絡会、わだつみ会、不戦兵士の会

新ガイドラインに反対


 日本戦没学生記念会(わだつみ会)、平和遺族会全国連絡会、中国帰還者連絡会、不戦兵士の会の四団体共催で八月一日、東京・渋谷の山手教会にて、「新ガイドライン・有事立法に反対する四団体共同行動」が開催され、約三百人が参加した。参加者の中には若者の姿も多くみられた。

 基調報告では、西川重則・平和遺族会事務局長が「戦時中の国家総動員法と同じだ」と、米国の戦略に沿った新しい日米防衛協力の指針(新ガイドライン)の危険性を指摘した。またシンガポール人特派員の「日米安保共同宣言はアジアにとって衝撃であったが、日本人は何も衝撃を受けていないことにさらに衝撃を受けた」という発言を紹介し、危険な動きに反対する運動の必要性を訴えた。

 続いて、四団体の代表四人が、自らの戦争体験をまじえて「計三百三十八歳の思い」を語った。

 水田洋・わだつみ会理事長は「この道はいつか来た道。自分たちの判断で状況を把握し、早く目をさましてほしい」と訴えた。

 小川武満・平和遺族会会長(代読)は、軍医として従軍した時の日本軍の殺人行為の残酷さを訴えた。

 また富永正三・中国帰還者連絡会会長は、捕虜を斬殺することで自分が「殺人鬼集団」の仲間入りをした過程と、戦後捕虜として中国政府から受けた「戦犯といえども人間であり、人格を尊重」との扱いによって人間的良心を取り戻していった過程を語った。

 武田逸英・不戦兵士の会代表理事は「未来に生きる若人のために、有事立法を阻止しなければ、死んでも死に切れない。二度の戦争不阻止の責任はご免だ」との決意を表明した。

 集会の最後に「かつて日本がひき起こしたアジア太平洋戦争で、中国をはじめとする数億のアジア諸国民がこうむった死と惨禍はもとより、わが国民自身の払わされた犠牲をも忘れることはできない」「米国の世界戦略に従属してふたたびアジア諸国民ならびにわが国民自身の真の平和と安全を脅かし、その犠牲を強いようとする政策を容認することは到底できない」とする、新ガイドライン関連三法案の廃案を要求する声明を採択した。

 その後、七十〜九十歳代の戦争体験者を先頭に、「新ガイドライン反対、周辺事態法阻止」を訴え渋谷をデモ行進し、行動を終えた。


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