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原水禁世界大会開催

核の時代から非核の21世紀へ


 原水爆禁止世界大会国際会議・東京会議が八月一日から二日間、東京都調布市で開催された。

 原水爆禁止日本国民会議の佐藤康英・事務局長はあいさつのなかで、五月に印パが行った核実験について「核保有国は核廃絶への努力を完全に放棄してきた。むしろ米ロは核の力を誇示してきた。インドは核保有国の論理でもって核実験を行ったのだから、核保有国はインドの核実験に大きな責任がある」と、核保有五カ国の責任を指摘した。また、日本政府のとるべき対応について、「被爆国の政府として責任を果たしているとはいえない。冷戦が終わり、米国の核の傘の下にいる理由はまったくないにもかかわらず、新ガイドラインで米国の核の傘の下にいることを再確認し、核保有国に核廃絶を提案できなくなっている」と述べ、日本は米国の核の傘から離脱し、核保有国に核廃絶を訴えていかなければならないと述べた。

 また、原水禁代表の岩松繁俊氏は原爆投下直後の体験を話し、「私たちの運動の根拠は被爆体験に基づいている。日本人は被害者の視点から広島・長崎の原爆被害がいかに残虐であるかを訴えてきたが、日本の戦争責任を真正面から自己批判しなければ、日本人の訴えは被害者意識一辺倒の独善的主張に過ぎなくなってしまう。また、日本は米国の核の傘に安住しているではないか、という批判もある。私たちはその批判に誠実に答えなければならない」と日本の反核運動について提起した。

 続いて「インド、パキスタンの核実験と軍縮への道」と題した討論では、黒沢満・大阪大学教授が「インドの核実験は、国際政治に対する大国としての大きな挑戦。核保有五カ国が現状を維持しようとすることに矛盾が含まれていることを明らかにしたという点ではプラスといえる」とインドが核実験を行った背景に差別的な核独占体制があったと指摘した。

 また、パキスタンの物理学者で印パ平和民主主義人民フォーラムの元イスラマバード支部長である、アブドゥル・ナイヤー氏は「印パの核実験は、NPTと包括的核実験禁止条約(CTBT)のような核管理政策では、核兵器の拡散を封じることはできなかったことを示した」と指摘。さらに、「パキスタンはインドが核兵器を持ち続ける限り核兵器を放棄しないだろう。そしてインドは他の核保有国が放棄しない限り放棄しないだろう。それゆえ、南アジアの核兵器は世界から核が廃絶されない限りなくならないだろう」と述べ、印パだけを非難するのではなく、世界的な核廃絶が必要だと訴えた。

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 原水禁世界大会は、四日から広島で、七日から長崎で開かれる予定で、被爆体験や核廃絶に向けた日本の役割、新ガイドラインなどについて議論される。


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