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窮地に立つ支配層

生活危機突破、さらに前進を

自民政治への怒りを大衆行動で


 参議院選挙に惨敗した自民党、マスコミは新しい総裁=新政権の誕生によって日本が変わるのかごとく必死に宣伝している。だが誰が首相になっても、多国籍企業のための政治が続く限り危機と国民犠牲は変わらない。野党も、経済政策で自民党とたいして変わらない。共産党も「資本主義の枠内」で何でも解決できるかのように訴えている。こうした野党に何ら期待できない。労働者や中小商工業者、農漁民など国民大多数の困難を打開するためには、大衆行動によって政治の根本的な転換を実現する以外にない。工事代金未払いに抗議して高速道路の橋脚を破壊した土建業者の鎌田紘一氏(福岡)、荒川区商店街連合会の利根川昌弘副会長や農民に聞いた。


650万建設業の力背景に闘う

福岡県土建業者  鎌田 紘一氏

 参議院選挙で自民党は負け、民主党が伸びたが、政策的にはどちらも規制緩和や大競争を容認している。選挙速報のテレビでどちらにも政策がないというコメントがあったが、その通りだと思った。また、今の政治不信が変わったとは思えない。どの政党が政権を取っても、国民を大切にするのかといえば疑問だ。

 私は、福岡都市高速道路の四号線の工事代金が払われないから橋脚を壊し逮捕された。

 しかし、この事件を通じて多くの友人ができた。福岡市議会の副議長さんからも今回の事件はおかしいので会いたいと連絡があった。議会でも取り上げてくれたが、結局官僚ののらりくらりの答弁で終わったが。

 建設業界の仲間は、私の行動に注目しており、知らない業者の方々から何本もの激励電話があった。なかには「あまりにもひどいので検察に抗議する」という人もいた。

 福岡でも健全な経営をしているのは一割程度だ。あとは今までの蓄えで食いつないでいる。多くの業者がやめることもできないで、ギリギリで経営しているのが実態だ。

 こうした事態には数の力でいくしかない。われわれが大挙して押しかけないと解決しない。いくらゼネコンでも、下請けがいないと仕事にならないことははっきりしている。

 だが、われわれ業者があまりにも腰が低いのではないだろうか。だから、業者が団結しないとだめだと話している。

今回の事件も社会問題になったので、発注者が厳しい態度になっている。第二の筑後型枠を出すなとぴりぴりしている。

 建設労務者は六百五十万人いる。この力を背景におかしいことはおかしいと訴えるべきだ。必要なら県庁に他の業界の人びとや労働組合の人びとなどとも連携して、県庁や市役所などにおしかけることが必要だ。(筑後型枠社長)


多くの人びとが現状に怒り

東京都荒川区商店街連合会副会長  利根川 昌弘氏

 多くの人びとが現状、特に経済状況に対して怒りがある。今回の参議院選挙では自民党支持者の人びとが、以前の消費税の時のように、自民党への批判を示し、投票しなかった。

 商店街では大点法がなくなり大店立地法に代わった。これで大型店の進出はもっと自由になり、零細商店はつぶされてしまう。だが、多くの商店の人びとが、今の経済機構の中でどうやって生き残るのかが分からない。

 私たちは、商店街の共同化や会社化も含めて、若手の人びとと生き残りを追求していく。

 その場合、社会の仕組みとして米国型の市場万能論でよいのかということも考えなくてはならない。例えばマクドナルドがどの駅前にもあり、外国資本がどこにも入り込んでいる。このままでは日本が五十一番目の州になってしまうのではないか。

 こうした問題について、政治家はきちんと説明すべきだ。大店立地法にしても環境がよくなるとか、皆さんを助けるためにできたとか言うだけではだめだ。やはり政治家はきちんと背景を説明し、的確な政策を出すべきだ。われわれはそうしたことを含めて学習もし、行動して行きたい。


自民党政治は国民を犠牲に

宮城県 農協青年部元役員

 参議院選挙が行われ、自民党が敗北した。それは自民党の政治があまりにも国民を犠牲にしており、その怒りが現われた。東北でも自民党は敗北したが、農民の怒りが現われた結果だといえるだろう。

 農村でも高齢化が一番の問題になっており、次に少子化問題が待っている。そして、地域の商店街の空洞化など難問が山積している。

 コメの減反は、今年は三割だ。これはもう個人レベルで対応できる数字ではない。コメの自由化によって価格が下がったことも打撃になっている。今後、米価が保証されたとしても、農家が農地を維持できるかどうかの瀬戸際に追い込まれている。

 だから、地域ごとに農業を維持する政策を地域レベルで進めないと、農業は存続できない。

 その場合、農水省などの中央官僚の発想では対応できない状況になっている。地方が発信し、国がそれを受け入れるようにならないと、農業の発展はないだろう。そのために、自分たちで地域政策をつくっていかなければと思っている。

これからもっと大変な状況を迎えると思うが、私は地域から発信し、農業を国の基本にすえるように努力していきたい。


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