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沖縄慰霊の日 各地で追悼式などを開催

戦争拠点の基地はいらない



 沖縄地上戦が終結した「慰霊の日」の六月二十三日、沖縄県内では戦争に反対し、二十万人にのぼる犠牲者を追悼するさまざまな取り組みが行われた。

 糸満市摩文仁の平和祈念公園では、県が主催する「沖縄全戦没者追悼式」が行われ、五千人が参加した。

 式典に出席した大田・沖縄県知事は式辞のなかで「沖縄県は先の大戦で筆舌につくし難い悲惨な戦場となり、多くの住民が戦闘に巻き込まれた。依然として広大な米軍基地があり、国際紛争に利用されるなど沖縄の将来に不安を抱かせている。基地問題の解決がいかに困難だろうと、基地を整理・縮小し、基地依存型経済から脱却する取り組みが内外から正しく評価されるよう努力しなければならない。県民が力をあわせて基地問題を解決し、平和な世界の確立に貢献することを誓う」と述べた。

 平和宣言では「二度とこの地において同じ惨禍を繰り返させることがないよう努力していかねばなりません。本県には今日も依然として巨大な米軍基地が存在し、県民の生活が日常的に危険にさらされているだけでなく、自立的産業振興を図る上でもさまざまな障害となっています。いったいわが県民はいつまでこのような不幸な事態を強いられなければならないのでしょうか」とし、平和、共生、自立を基本理念に平和な国際社会の構築に貢献し、戦争再発を許さない決意を訴えた。


反戦地主らが国際反戦沖縄集会

 糸満市米須の魂魄(こんぱく)之塔前では、沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会や一坪反戦地主会など十六団体が「第十五回六・二三国際反戦沖縄集会」を開催、約五百人が集まった。

 参加者はひめゆりの塔から平和行進を行い、会場では沖縄戦やベトナム戦争、湾岸戦争のパネル展示、沖縄戦の体験談、まよなかしんや氏の反戦コンサートなどが行われた。

 集会アピールでは、「戦争は終わっても沖縄の基地が戦争の拠点であり続けることに変わりがない。基地の整理・縮小・撤去こそが戦争犠牲者の願いにこたえる」と訴えた。


戦争遺跡保存全国シンポジウム

戦跡を保存し、平和の継承を

 戦跡の保存・文化財指定について考える「第二回戦争遺跡保存全国シンポジウム」が六月二十一日から沖縄県南風原町立中央公民館で始まった。主催は南風原町、戦争遺跡保存全国ネットワークなど。

 シンポジウムには、市民団体や学生など約三百人が参加した。

 開会集会では、全国ネットワークの青木孝寿氏があいさつし、「戦跡を文化財に指定する動きが始まり、全国的な組織ができて二年目。このシンポジウムが各地域で戦跡の発掘と継承を進める契機になれば」と開催の意義を述べた。

 また、沖縄平和ネットワークの吉浜忍氏は「戦争体験者が減り、今後は継承者が『ヒト』から『モノ』になる。戦争を知らない世代が壕(ごう)に入ると感性を揺さぶられるように、戦跡に触れることが戦争認識につながる」と提言を行った。

 その後、「保存運動の現状と課題」「調査方法と保存整備の技術」「次世代への継承」の三つのテーマで分科会が開かれ、全国各地の戦跡保存活動について報告などがされた。



沖縄から考える全国ネット・京都

歴史から平和を考える

 集会 「沖縄の歴史から考える平和」が六月二十三日、京都市青少年活動センターで開催された。主催は「沖縄から考える全国ネットワーク・京都」。

 「みるくの会」などで活躍している比嘉明子さんをまねき、悲惨な沖縄戦と米軍の占領という苦難を強いられた沖縄の人びとの平和への思いが語られた。学生などの参加者は熱心に聞き入った。

 同団体では、昨年十二月に行われた名護住民投票の際に京都市内で行ったパフォーマンスに続く取り組みとなった。


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