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危機突破に一大総決起を

皆がその気になってやれば政府を動かすことができる



 参議院選挙が始まった。与野党いずれも、選挙にうつつをぬかしているが、町では中小商工業者や失業者が深刻に苦しんでいる。彼らはこの選挙に何も期待していない。生活危機突破のために実効ある行動を求めている。そうした声を、全国小売市場総連合会会長・中井久氏(大阪府)と商工会議所役員(神奈川県)に聞いた。

 米国はわが国に露骨な内政干渉を強めている。六月十八日に来日し、橋本首相らに不良債権処理、税制改革、規制緩和などを約束させたサマーズ米財務副長官を、戦後日本を占領指揮したマッカーサーになぞらえるみかたもあるほどである。長引く不況に苦しむ国民各層にとって、今回の「国際公約」は犠牲の上乗せであり、断じて許されるものではない。国民各層は団結して、政府に危機突破の要求を突きつけ、対米屈服、大企業優先の政府を打倒しよう。


業界の枠超え大同団結を

全国小売市場総連合会会長 中井 久氏

 参議院で各党が走っているが、中小企業の実態を知っているのかと言いたい。衆議院も参議院も商工委員会を傍聴したが、ピントはずれの質問をしたり、勉強していない議員が多い。あれではいけない。中小企業が次から次へ倒産し、その日その日が大変な毎日だ。フランスへサッカーの応援に行くどころではない。皆が真剣にどう難局を乗り越えるか、考えなければならない時だ。

 われわれ小売商には、大店法の廃止と大規模小売店舗立地法(大店立地法)、都市計画改正法、中心市街地活性化法が大きな問題だ。通産省の産業構造審議会は、「大店法は世界貿易機構(WTO)のサービス貿易一般協定(GATS)に違反しており、GATSが大店立地法に変えろと言った」と説明した。だが、これは政府見解とは違っており、経団連や経営者協会などの裏工作によるものだとしか考えられない。

 それから、今後施行される大店立地法では罰則規定がない。強固な罰則規定を設けなければ、大型店は野放しにされる。また地方分権を言うのであれば、自治体が大店立地法で独自の規制をしようとするのを政府が規制させないためのガイドラインつくるなどは、もってのほかだ。

 われわれ小売商は、このように主張しているが、これから中小商工団体に呼びかけ、もう一度集まりたい。大規模な総決起大会、いわゆる小売商サミットのようなものをやって、大店立地法の施行を阻止する運動をしなくては、と考えている。

 昨年、十八の商工団体で「大店法規制緩和絶対反対!全国小売商『怒り』の総決起大会」を開いたが、あれよりもっと規模を大きくして開きたい。そして商工関係の国会議員を全部集めて、われわれの声をもっと大きくしたい。

 現在は、もっと大規模な運動を展開しようと、各業界の幹部の方たちと対策を練っている最中だ。特に業界を超えた運動を発展させないと、中小企業が生き延びていく道はない。私は、大同団結しようと力説している。

 例えば電器商は一番困っており、運動を一生懸命にやっている。大型店がオトリとして安い値段をつけており、一番弱っている。だからわれわれも電器商に協力して運動していかなければならない。電器商工組合だけやってもどうにもならない。

 自分の業界だけではなく、皆がその気になってやれば、政府がどんなことを言っても、政府を動かすことができる。そういう方向づけを、真剣に考えていかなければならない。


参議院選どころではない

商工会議所役員(匿名)

 私は商店街などであいさつしろとよく言われるが、何を話してよいか悩んでしまう。それほど景気が悪く、先行きが見えない。

 赤字国債は結局、国民の負担になる。また公共事業を行ってもゼネコンが不良債権を抱えているので、下請け・関連にはまわらず、景気刺激にはならないだろう。今や下請けに仕事がないのではなく、親会社に仕事がない状態だ。建設関係の倒産はこれからドンドン出るだろう。

 世の中選挙一色だが、参議院選挙については期待していないと言うより、それどころではない。国会議員は中小企業のことを知っているのかと言いたい。参議院選挙ですべての議員が動いているが、参議院選挙なんだから参議院議員が動けばよいではないか。それ以外の議員は、中小零細企業の実態を改善するために動いてほしい。

業界の決起集会などずいぶん行われているが、労働党がいうように業種を超えてまとまって国や自治体に要求をぶつけていくことが大事だろう。


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