980615


党神奈川県委員会

「周辺事態法」案反対を申し入れ



 党神奈川県委員会(山本喜俊委員長)は六月十二日、政府が今秋にも成立をもくろむ日米防衛協力の指針(新ガイドライン)に基づく「周辺事態法」案に反対する決議を行うよう神奈川県議会に陳情し、県知事にも申し入れた。また、同文をマスコミ各社に配布した。陳情の全文を紹介する。


「周辺事態法」案についての陳情

陳情の要旨

一、県議会として、周辺事態に際してわが国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「周辺事態法」という)案に反対を決議すること。

二、「周辺事態法」が定める、自治体としての協力を神奈川県は拒否する旨を決議すること。

陳情の理由

一、戦後五十有余年、沖縄に次ぐ基地県となって、在日米軍基地の負担と犠牲を強いられてきた神奈川県民にとって、米軍基地の撤去、平和な核も基地もない神奈川の実現は悲願であります。

二、最近も、米空母インディペンデンスの横須賀基地入港に伴う艦載機の演習は、厚木基地周辺住民に耐えがたい苦難を押しつけ、県民の怒りを高めているところです。

三、一方、内閣は、四月二十八日、「周辺事態法」案を国会に提出、今秋にも成立させようとしています。しかし、この法案は、先日も中国外務省が「中国の内政に公然と干渉する日本政府の行為に強い憤りを示す」と強く抗議、非難したように、周辺事態の対象地域に中国の固有の領土である台湾を含むなど、中国、アジア諸国に対する明白な内政干渉になる法律案であります。中国はじめ、アジア諸国との友好協力関係の発展は、二十一世紀のわが国の生きる道、繁栄の道であり、それを妨げるこの法案は、わが国の国益に反するものを言わねばなりません。

四、また、この法案は、自治体等の協力、負担を広範に求め、義務づける内容となっています。神奈川県民は、これまでも日米安保条約で取り決められているからと一方的に負担と犠牲を強いられてきました。この法律が成立すれば、県や市町村などの自治体、また民間も、国内法によって直接に米軍を支援する義務を負わされ、いちだんの負担、犠牲を強いられることになります。こうした事態となれば県民の願いに逆らって、基地は固定化・恒久化され、県の発展に重大な障害となることは明らかです。

五、新聞報道等によれば、横須賀市、相模原市、大和市、綾瀬市等の米軍基地を抱える自治体が、「自治体の意向尊重」の要請を国に出しているといいます。また、県知事も、「情報、連絡が希薄すぎる。(法整備が)このままどんどん進められると、あとで混乱を招く」と危ぐと批判を表明され、国にも申し入れしているということです。県民の知事として当然のことであります。

六、現実に法案が国会に提出され、審議が始まろうとしている今日、まさに「このままどんどん進められると、あとで混乱を招く」ことは明白です。

 ですから、知事においては、きちんとした反対の態度を表明して、「混乱を招かないようにする」責任があると考えます。

七、県民の代表としての県議会は、主義主張・党派の違いを越えて、国益、また県民の利害のために「周辺事態法」案に反対し、県として協力を拒否する態度を明確にする必要があると思います。

八、県知事、県議会、市町村、そして県民あげて「周辺事態法」案反対の声を上げ、自治体としての協力拒否を宣言すべきと考えます。

一九九八年六月十二日

神奈川県議会議長 番場 定孝殿

日本労働党神奈川県委員会
委員長 山本 喜俊


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