980615


川崎

公開学習会

介護保険・健康日本21−考えよう川崎方式


 神奈川県川崎市で六月七日、介護保険や高齢社会問題を考える公開学習会「介護保険・健康 ―考えよう川崎方式」が開かれた。主催は川崎市職労衛生支部などで構成する実行委員会。

 介護保険導入は市民にとって大きな関心事となっており、学習会には福祉関係者や市民など約九十人が参加。「高齢になっても健康で、寝たきりになっても手厚い看護がうけられる川崎市をつくろう」との熱気にあふれる学習会となった。

 まず、介護保険について福祉事務所や保健所などの現場から、問題点が指摘された。川崎市の場合、六十五歳以上の高齢者の約六割が非課税世帯。現在は非課税世帯への介護サービスは無料だが、介護保険が導入されれば「保険料プラス一割の自己負担」になってしまう。保険料を納められない人が多数生まれるなどの問題点が出され、低所得者への特別の配慮が必要であることが訴えられた。

 続いて「健康づくり」の観点から、市内で活動する高齢者協同組合の送迎サービスなどの活動、保健所の指導を受けて始まった健康増進教室が歓迎され地域で大きく広がっていることなども報告された。

 最後に、都立大学大学院の星旦二助教授が講演し、「高齢社会を暗いイメージで描いてはいけない。九十歳で寝たきりになる人は一割程度にすぎない」と述べ、「介護保険に甘い幻想をもってはいけない」と指摘した。

 会場からは「川崎市は介護保険について市民に説明をしていない。市は何を考えているんだ」との行政に対するきびしい批判も出された。

 二〇〇〇年から導入される介護保険は、その不備が自治体や福祉関係者などに指摘されながら、反対を押し切って成立したものである。介護保険の実施母体は市町村であり、各自治体は二〇〇〇年導入に向けて、これから待ったなしの取り組みが要求されている。

 川崎市ではいち早く、労働組合と市民が手をつないで、健康で幸せな高齢社会をめざした「川崎方式」を模索する第一歩がはじまった。こうした動きに注目したい。


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