980525


熊本

アジアの不信をかう日本

野田元インド大使が講演


 「二十一世紀のアジアと日本の生き方を考える」講演会が五月十六日、熊本市内で開かれ、元インド大使で日中友好会館副会長の野田英二郎氏が講演を行った。主催は広範な国民連合熊本、平和憲法を活かす県民の会などでつくられた実行委員会。

 野田氏はアジア情勢、日本がとるべき対外政策などついて講演を行い、「アジア全体は長期的には安定の方向にあるが、ここしばらくはインドネシアの経済危機など深刻な調整が迫られている局面もあり、政治的な動揺も予想される。日米安保体制は冷戦の産物で寿命がつきているのに、米国との同盟を強めようとし、アジア各国の不信をかっている。日本にとって何の利益もない」と外交政策を批判した。

 また、インドの核実験について、インド大使の経験などから「インドは国際社会のなかでも堂々と自分の意見を主張する国で、核拡散防止条約についても『五大国だけが核を独占するのはおかしい、不平等なものには賛成できない』と言い続けてきた。被爆国として核兵器に反対するのは当然だが、単に『けしからん』だけでなく、インドの主張や国際社会のなかでの計算も冷静に受け止め判断すべきだ」と述べ、米国にすり寄るばかりの日本の外交姿勢を批判した。

 アジアの経済危機、インドの核実験などアジア情勢が激動するなかで、対米追随にあけくれる日本の外交姿勢が厳しく内外から問われており、講演会は大変重要な意義があった。


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