980515


創刊800号

歴史的激動期 民族と人民の前途指し示す

メッセージ 労働新聞に期待する


沖縄の闘いの拡大に貢献

沖縄県議会議員・沖縄平和運動センター議長 新垣 善春氏

 労働新聞八〇〇号おめでとうございます。

ともすれば国家権力におもねる報道を続ける商業新聞の伝える情報に毒されがちな国民に対して、労働新聞は世界や日本の情勢をわかりやすく分析して、どう対処すべきかを提起してこられました。

 とりわけ、私たち沖縄県民の闘いについて幾度となく報道していただき、全国の人びとに紹介し理解を深め広げてくださいました。九五年九月に起こった米軍兵士による少女暴行事件が引き金になって、基地の整理縮小、日米地位協定の見直しなどを求める県民の闘いが前進しつつある状況も、詳しく報道してくださいました。一〇・二一県民大会、九・八県民投票、一二・二一名護市民投票などについても分かりやすく報道してくださいました。労働新聞の読者がこれらの報道を通じて「安保」の本質を理解していただき、反安保、反基地の闘いに加わりつつあるものと期待している次第です。実際に、名護市民投票に際しては全国の各地から多くの人びとが支援にかけつけてくださったし、連帯の輪が確実に広がりつつあることを実感しています。

 反面、米軍基地確保のための「米軍用地特措法」の改悪が衆議院で九〇%、参議院で八〇%の圧倒的多数で可決、成立した事態は、翼賛体制の再来を思わせる危険な時代が迫りつつあることを告げています。日米安保再定義=共同宣言、戦争マニュアルとも言われる新ガイドラインの日米合意及びそれを担保する国内法制定の策動など、恐るべき事態が進行しつつある時だけに労働新聞の果たす役割は非常に重要であります。

 引き続いて勤労国民が求める価値ある情報を提起してくださることを希望すると共に、貴紙の発展を祈念申し上げます。


労働者の闘いの羅針盤

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 武 建一氏

 労働新聞八〇〇号をむかえるにあたり心よりお祝い申し上げます。

 この機会をおかりしまして、大隈議長をはじめ労働党の皆様には常日頃大変なるご協力、ご支援を賜っておりますことに心より厚く御礼申し上げます。

 また、労働新聞が労働者組織の闘いの羅針盤として、ますますその影響力を拡大し大衆の行く手に輝きをはなっていることに敬意を表します。

 昨年七月、タイのバーツ下落以来アジア各国は経済危機に直面していますが、わが国においてもこの影響は予想をはるかに超えたものであり、橋本内閣の国内経済政策の破たんに加え、アジア経済危機はわが国が世界経済危機の発信地になる程の危機に直面しています。

 橋本内閣の進める「財政構造改革」「規制緩和」は内外の圧力のもと実質的破たんを余儀なくされており、今や政権は砂上の楼閣であります。

 これは、米国、財界、権力の進めてきた今日までの政治、経済、産業政策の根本が破たんしていることにあります。

 現在、世界人口一五%の先進国が世界のGNPの七八%を占めるといわれています。先進国は開発途上国への収奪を正当化するために国連機関を利用、経済的、軍事的、外交的圧力により、途上国をおさえています。

 この帝国主義の行う政策と各国民衆が連帯し団結して闘うことは今日の時代的状況が求めている重要なテーマであります。

 わが国においては、財界に都合がよい秩序づくりとして選挙制度の改悪、組織犯罪対策立法による民衆弾圧装置の確立、日米安保再定義による米国の極東支配、戦争政策へのいっそうの加担、沖縄基地の永続化、大競争・規制緩和時代、会社倒産・大失業と事態は憂慮すべき状況下にあります。

 このような時に、敵の攻撃を迎え撃つ側の労働組合は音なしの構えで国民の期待にこたえる状況にありません。

 しかし、米労働総同盟産別会議、チームスターズユニオンパート労働者の本勤をめざす闘いの勝利、仏労働者の反失業闘争の前進、独労働者の労働時間短縮闘争などは世界的規模で反帝国主義、反権力闘争が発展していることを教えています。

 わが国では社会、産業界を支えている下請け、孫請け出入り業者の反乱、大企業中間管理職の組織化など新たなる闘いの条件を生み出しています。今までの秩序が破壊される過程で犠牲を受ける者の層が拡大され、そこから団結し闘う条件が生まれています。

 言い換えれば、企業別労働運動の限界を克服し、団結の対象を職場の労働者だけでなく失業者・パート・出入り業者・中小企業家へと拡大し、社会的・産業別的要求闘争を大衆的に組織すれば「一点の火花は荒野を焼き尽くす」ことへと発展する条件が敵の攻撃の中で提起されていることに着目する必要があります。

 このような視点で、私たちの運動はセメント・建設・トラック・生コン業界の変革に取り組み一定の成果を上げています。

 日本の社会、経済・産業構造の中心部分である中小労働運動の前進は社会変革にとって決定的役割を果たすものと確信しています。

 労働者解放の導きであります、労働党と労働新聞が広範なる国民を結集し、当面する課題の解決と社会変革の指導的役割を今後いっそう果たされることを祈念し、今後とも皆様と団結して闘うことを誓ってあいさつとします。


歌の節々に怒りをこめて

沖縄・島唄歌手  大工 哲弘氏

 五月十五日号をもって労働新聞が創刊八〇〇号を迎えるということで、誠におめでとうございます。

 しかしもう一つの「五月十五日」は忘れもしない、沖縄が本土に返還された日なのです。最近はその日を知らない若者たちが増えてきました。いわば復帰後世代、そのヤングエイジに沖縄の歴史的な時代の変遷を風化させないようにと、九四年「沖縄ジンタ」CDアルバムの中に「沖縄を返せ」を収録しました。固き土を破りて、民族の怒りに燃える島、おきなわよ―のフレーズではじまる歌です。

 沖縄が本土に返還されて二十六年もたっているというのに、今でもその変わらぬ広大な基地。沖縄の新聞は「基地」に関連する報道は途絶えることがなく、沖縄の苦悩が浮き彫りにされた現状です。基地の固定化、沖縄だけに封じ込めようとする考えは、差別意識からでしょうか?

 早いもので米軍用地強制使用特別措置法が改悪されて一年にもなります。その基地問題が全国にクローズアップされた時、橋本首相は「沖縄問題を乾坤一擲(けんこんいってき)取り組む」と言い、普天間基地を返還させると言いながら、海上基地を受け入れなければ返還はありえないかのような発言をしています。経済振興策とのひきかえの条件付きが国の最善策なのですね。橋本首相、言葉はその場しのぎの遊びじゃないはずです。その証拠に、政府は沖縄の要望には何一つも答えていません。アメリカの言いなりになっている日本、なんとも情けないのではないでしょうか。

あたらわが沖縄、品物ぬたとうい

取たい取らったい 上にまかち

(ああ、わが沖縄、まるで売り物買い物の品物のようだ。人民の意思は全く反映されず、アメリカに売り渡したり、買い戻したり、お上まかせだ)

 これは沖縄が復帰する直前に作られた琉歌ですが、今の現状にもあてはまります。

 私はその諸々の怒りを、歌の節々に込め、高らかに沖縄から基地がなくなるまで、元の非武島、平和な沖縄に返せ! と歌い続けるつもりです。


大義を導き、新生日本を

イラク大使館スタッフ・東海大学講師 阿部 政雄氏

 中東問題の専門家として、湾岸戦争以来、「フセイン悪玉論」の跳梁(ちょうりょう)する中で、イラク支援の報道をつらぬかれた労働新聞に敬意を表します。

 今年二月のイラク危機は、米国艦隊の出撃で、あわやイラク猛爆が再現されるのかと危ぐしましたが、国連事務総長の調停が結実し、イラクの石油支配をもくろむ米国の野望は、とん挫しました。

イラク国民の根だやしさえ狙っているとしか思えない、情け容赦ない空爆、砲撃をみていると、あの第二次大戦の末期の沖縄への艦砲射撃、本土市民への無差別爆撃、果ては、原爆投下の悪夢が鮮明に蘇ってきます。

 今、日本で米国の戦争協力のために新ガイドラインがドンドン押し進められ、「有事立法」の整備が急がれています。私はこの「有事」という言葉の白じらしさに無性に腹が立ちます。「有事の際に」、などと言って、あたかも憲法にいう「平和に生きる権利」が保障されているかのように、沖縄や本土にある米軍基地によって苦悩する日本人同胞の現実こそ、有事そのものでしょう。

 アラブの大義は、パレスチナ国民の民族自決権の回復にあるといわれますが、民族の主権とか人間の尊厳を守り抜く決意など、イラクやアラブ人に学ぶことは多くあります。

 戦中派のしんがりともいうべき私は、日本人の大義とは、平和憲法を堅持し、実践することと信じています。坂本竜馬は、長州藩の九坂玄端の「尊藩も蔽藩も滅亡して大義になれば苦しゅうからず」という言葉によって政治に開眼したといいます。「国乱れて忠臣出ず」。広い国際的視野に立って、日本の大義を貫き、世界にも貢献できる新生日本の未来像を築くために多くの日本人が団結されんことを切に希望する次第です。


青年の事実探求にピッタリ

日本労働青年団全国運営委員会委員長  永野 浩二氏

 労働新聞第八〇〇号の発行を、心よりお祝い申し上げます。

 深まる経済危機のもと、青年・学生をめぐる状況も一段と悪化しています。

 少子化傾向が強まる中、大学の生き残りをかけた競争はし烈なものとなり、学費値上げ、自主活動の制限など負担は学生にしわ寄せされています。経済不況により若年層の失業率は一〇%を超え、雇用の流動化=不安定化もさらに進むことが予想され、将来に対する不安は増大しています。

 こうした中、学生や教職員の意向を無視する大学当局の一方的な運営に対する抗議の行動が各地で生まれています。

 また日本の進路をめぐっては、多くの青年が米軍基地の集中する沖縄の人びとの怒りに共感し、互いの連係を深めつつあります。アジアの国々と同世代同士の交流も進むられています。

 私たち労働青年団は各地で起きている青年・学生の自主的・平和的な動き支持し、日本を変革する広範な国民の運動に合流すべく尽力してきました。

 混迷きわまる世の中、支配層のデマばかりがたれ流されています。多くの意識ある青年は、マスコミをもふくめた現支配体制に大きな疑問を感じ、「真実」は何かを模索しています。これにこたえてくれるのが労働新聞です。一貫して労働者・被搾取階級の立場に立ち、労働者の闘いの息吹をいきいきと伝え、日本の進むべき方向を指し示してくれます。私たちはこれを武器にして、未来を担う青年・学生運動をさらに発展させていきます。

 今後のさらなる紙面の充実を期待します。


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