980325


中小経営者が徹底討論

規制緩和、貸し渋りに怒り (東京)


 中小企業経営者の団体である東京中小企業家同友会(二千三百社加盟)の第四十五回定時総会が三月十四日、東京で開かれた。総会では予算案や人事案などを審議・採択したあと、総会決議「日本の経済と社会の健全な再生のため中小企業家は発言し、行動しよう」が採択された。

 続いて開かれた特別企画「中小企業家と国会議員が徹底討論! 日本経済と中小企業をどうするのか」では、中小企業経営者から、銀行の貸し渋りの実態や経営難による切実な訴えが行われた。

 建築業界は「二月二十日に中小建設業危機突破大会を開き、百十人の仲間が参加した。そこでは、不況の影響をもろに受け、受注が三割減ったとか赤字受注、貸し渋り、倒産、自殺などの深刻な状況が出された。この状況をどうしていくのか。全体的に景気を回復させなければならないのは当然だが、住宅建設の促進などは政策的な面もあり、仕事が確保されるような政策をとってほしい」と不況の深刻な影響を訴えた。

 ガソリン業界からは「全国に約五万六千カ所のガソリン・スタンドがあるが、『効率が悪い、国際的なレベルにする』との理由で、規制緩和の方向に向かっている。日本に上陸したブリティッシュ・ペトロリアム(BP)は『その地域で最も低い価格をつける。三年たった頃から収益がのぞめる』といっている。これは独禁法からいうと明らかに不当廉売であり、全国で六十件以上、公正取引委員会に訴えている。規制緩和の考え方は、『市場原理で運営すると最も効率的になる』という前提があるが、それは幻想。優勝劣敗、弱肉強食は必ず起こる。そして系列に属さない中小業者は減って寡占体制が進んでいく。各業界がどうすれば均衡がとれるか、ということは政治の課題で、それが出されていないのは日本の政治が貧困だからだと思う」と規制緩和万能論に対し、厳しい批判が出された。

 また、「われわれは競争なんてもうまっぴら。心の通った商いがしたいし、大きな都市銀行なんてもういい。自分たちのための、手の届く金融システムを自由にやらせてほしい。そこで、中小企業専門業種別の金融を中心とした協同組合法を組み立ててもらいたい。組合員の向上心を中心に自主性を重んじ、金利も自由に低くできるようにしたい。大企業中心のビッグバンはわれわれに必要ない。相手にされないし、振り回されたくない。振り回され、貸し渋りでは間にあわない。心の通う、信頼の金融取引がしたい」と、建築業のせっぱつまった要望も出された。

 不況、規制緩和、大店法廃止、銀行の貸し渋りなど、中小企業をとりまく環境は厳しい。中小企業を切り捨てる自民党政治への不満と怒りが、ここでも高まっている。


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998