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日中関係の強固な発展を

日中平和友好条約締結20周年

長崎 県民各層が一堂に集う


 日中平和友好条約締結から今年で二十周年をむかえる。長崎では一月二十四日、「二十一世紀の日中関係を考える」と題した記念講演会が開かれた。講演会には経済団体、政党、労働組合、平和団体、行政など県下の各界各層が参加。新ガイドライン、尖閣諸島問題など日中関係に大きな課題が存在するなか、このように幅広く各界が共同した取り組みは、二十一世紀に向けて日中友好を強化し、アジアの平和をつくり出す上で重要である。


 「二十一世紀の日中関係を考える」日中平和友好条約締結二十周年記念講演会が一月二十四日、長崎市・長崎原爆資料館大ホールで開かれた。講師は元中国大使の中江要介氏と曽文彬駐長崎中国総領事。

 当日は吹雪まじりの悪天候にもかかわらず、日中友好を願う約二百人の人びとが参加し、熱気あふれる講演会となった。

 講演会は、広範な市民層を軸にした実行委員会によって取り組まれた。実行委員会を代表してあいさつに立った阿倍國人氏は「賛同人の幅の広がりにも見られるように、本日の講演会が市民レベルにふさわしいものとして開かれることになりました」と述べた。

 実行委員長のあいさつのように、個人賛同人には北村誠吾氏(自民党県連総務会長)、川越考洋氏(民主党長崎代表)、広川豊氏(社民党県連代表)、藤井準二氏(労働党県委員長)など県下の各政党・議員や上田喜志子氏(地婦連会長)、石本順之助氏(日中議連幹事長)、中崎幸夫氏(県平和労働センター議長)、深堀勝一氏(県被爆者手帳友の会会長)など百三十人が名を連ねた。団体としては諌早商工会議所、自主・平和・民主のための広範な国民連合長崎など十団体が賛同。

 また、協賛・後援には長崎県日中親善協会、長崎市、長崎商工会議所、連合長崎、長崎華僑総会、長崎国際観光コンベンション協会のほか長崎新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、西日本新聞社、NBC、KTN、NIB、NCC、NHK、エフエム長崎などの県下のほとんどのマスコミが協賛。幅広い各層の人びとが参集し、県全体でたたかいとった講演会となった。

 講演に立った中江要介氏は「時代は煌々滔々(こうこうとうとう)として流れている。その流れに沿えば勝利し、流れに逆らえば敗北する」と詠った孫文の詩に感動した時を振り返りながら話した。「長崎はきょう雪が降っているがしばらくがまんしていれば雪もやむし寒さもやわらぐだろうとある人びとは考える。今の国の外交もこれと同じでアジア諸国の潮流はすっかり変わっているのに、相変わらず昔の冷戦構造にしがみついたままだ。そして、いつかはほとぼりも冷めるだろうというふうに。これでは時代から取り残されてしまうばかりだ」。また、「熱しやすく冷めやすい日本人の気質と中国人の気質は違う。十分な相互理解こそが問われている」と述べた。

 続いて講演に立った曽文彬総領事は、平和友好条約の条文にうたわれている相互尊重、相互不可侵、相互不干渉、平等互恵、平和共存の諸原則を取り上げ、「字面だけ読めばその通りとなるが、先の大戦でいい尽くせない惨禍をなめたことがこの諸原則の精神になっていることをよくよく知るべきだ」と熱っぽく訴えた。

 賛同人を代表してあいさつに立った長崎原爆資料館元館長の松永照正氏は「私個人の戦後から今日までの生き方はまさにアメリカナイズされてきたものだった。同じ漢字圏にある隣の国についてあまりにも知らなすぎたことを痛感する」と述べ、今後の日中友好の大事さを語った。

 最後に実行委員会の一人であり、長崎平和記念教会の盛谷祐三牧師が閉会のあいさつで「きょうの集まりをこれで終わりとするのでなく、今後何らかの形で残していきたい」と参加者に呼びかけ、講演会の幕を閉じた。

 県下のさまざまな層の人びとが参加して取り組まれた今回の講演会は、今後日中友好をすすめていくうえで大きな成果となった。とりわけ長崎は絶えず中国と深い関係をもち栄えてきた地域であり、日本と中国の友好が県民全体の課題であることを思う時、この集会の成功はさらに大きな意味を持つものである。


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