980205


金融機関への30兆円の税金投入反対!

銀行の手先、国民の敵

橋本政権を打倒しよう!


 政府は、今国会に九七年度補正予算案とあわせて「預金保険法改正案」「金融機関の安定化のための緊急措置法案」を上程、大銀行救済のための三十兆円にのぼる国費投入を決めようとしている。

 これが通れば、預金者保護の名目で金融機関の不良債権処理に十七兆円、金融機関の自己資本強化のための優先株や劣後債買い取りに十三兆円が投入されることになる。これらの資金はみな、国債、政府保証で用意されるが、それらは結局税金で、すべて国民の負担でまかなわれることとなる。

 昨年の消費税増税、医療保険改悪など九兆円にものぼる負担増を押しつけられ、こんにち長期不況にあえぐ国民に、さらに犠牲を押しつけ、血税をしぼり取り大銀行を救うなど、断じて許すことはできない。

預金者保護の口実も投げ捨てた

 わが党はすでに、昨年十一月二十八日、党声明を発表し、「橋本政権のいう『預金者保護』が、国民の税金を投入するための口実であることは明らか」「ねらいは、大銀行保護救済である」と暴露し「国民の税金を金融機関救済に使うな」と主張してきた。

 しかし今回の法案は、いままで住専処理に税金投入した時から言い続けた「預金者保護」の口実さえ、昂然(こうぜん)と投げ捨て、巨大銀行の優先株買い取りなどで、露骨に金融機関に資金をつぎ込むものである。東京三菱、三和など巨大銀行が、さっそく申請を検討している。

 さらに政府、自民党は、銀行が保有する土地の含み益を無税で自己資本に計算できるようにする、土地の再評価制度の提出も予定している。これだけで、大手銀行十九行で、十九兆八千億円の資金余力が生まれるという。

 さらに自己資本比率を定める、金融機関の早期是正措置の一年猶予、法人税率の引き下げと、まさに矢継ぎ早の大銀行支援策である。

国民生活こそ保護、救済せよ

 一方、国民生活はいま、深刻な危機に直面している。

 昨一年、完全失業率は三・四%と、過去最悪を記録した。年平均の完全失業者数は、前年より五万人増の二百三十万人で、四年連続で過去最悪を更新し続けている。

 倒産件数は、一万六千三百六十五件。前年比一二・五%も増加している。倒産企業の負債総額は合計で前年比七五・四%増の十四兆二百九億円となり、これも過去最悪を記録した(北海道拓殖銀行、山一証券は法的整理に当たらないため集計に含まれていない)。約十三万八千八百人の労働者が、倒産で街頭に放り出されたことになる。

 多くの商店は大店法の規制緩和の中で、倒産・廃業に追い込まれている。昨年の倒産の原因では販売不振などの不況型が全体の六五・七%を占めた。また、銀行などの貸し渋りによる倒産も急増し、年間二百二十六件に達した。これは、負債一千万円以上の統計で、これに満たない中小商店の倒産・廃業は、それこそ限りない。

 農民の生活も、米価、乳価などの相次ぐ下落、減反の拡大などで深刻化している。農家経済の破たんを背景に、農村地域の雇用情勢はとりわけ深刻で、例えば、青森県の有効求人倍率は、昨年後半から〇・三倍台にはりついたままである。これは全国平均の半分以下で、職安は仕事を求める人であふれている。

 保護されねばならないのはこういう国民生活である。

 しかし、橋本政権はこれを規制緩和や行財政改革で予算をしぼり、いっそうの苦難を押しつけようとしている。二兆円の特別減税などといっても、年金、医療、教育予算削減による国民負担増で帳消しである。生活保護世帯や年金生活者などは、その恩恵にも浴せず、消費税増税だけが重くのしかかっている。

 真の景気対策というなら、大企業優遇税制を改め、軍事費を大幅に削減し、消費税を即刻廃止し、大幅な所得税減税を行い、国民生活こそ豊かにしなければならない。

貸し渋り対策の大うそ

 国民金融公庫総合研究所の「全国小企業動向調査」によると、金融機関からの借入れ状況を映す借り入れDI(「容易」から「困難」を差し引いた数値)は前期から一三・六ポイント低下のマイナス二七・一となり、過去最悪の水準となった。借り入れがはっきり「困難」になったと答えた企業も、前期の一九・三%から三一・三%に急上昇し、調査開始以来の最高を記録したという。

 不況に苦しむ、中小・零細企業に襲いかかり、銀行は金融ビッグバンに備えて自己資本拡充のため、貸し渋り、債権回収に狂奔(きょうほん)しているのである。

 その銀行に「貸し渋り対策」のためになどどいって、国民の血税をつぎ込むなど、まさに本末転倒、盗っ人に追い銭である。

 政府、大蔵省は、金融監査の強化、ディスクロージャー(情報開示)の徹底などというのであれば、銀行による不当な貸し渋りやあこぎな債権回収こそ摘発し、徹底した規制を加えるべきである。

 橋本政権は、この経済危機、深刻な不況の中で国民生活に犠牲を押しつけ、大銀行を救済する、まさに銀行、金融資本の番頭としての役回りを露骨に演じようとしている。

 国民の怒りは、すでに限界である。

 この怒りを行動にかえ、国民の敵、橋本政権を打倒しなければならない。

 労働者、労働組合はその先頭に立とう。街頭に出て、中小商工業者や農民など諸階層に呼びかけて行動を組織しよう。

 大衆的基盤のある壮大な国民運動を構築し、橋本政権を追いつめよう。


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998