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新ガイドラインうち破れ!

在日米軍一掃まで闘おう

反基地、反安保の現場から

全国へ広がる反対の声


 昨年九月、「日米両国政府によって日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しが行われた。これによって日本は民間空港、港湾など運輸関係や病院など民間を含め、国をあげて米軍の後方支援体制をつくり、「日本周辺地域」での有事の際にも米軍への協力を強いられ、アジアに敵対する道に大きく踏み込んだ。こうした攻撃に沖縄をはじめ全国で新ガイドライン反対、安保破棄・基地撤去の闘いが発展している。沖縄県名護市では十二月二十一日に海上ヘリポート建設の是非を問う市民投票が行われ、「建設反対」が過半数を占め勝利した。また全国各地で日米共同訓練などに反対する声が高まっている。各地の闘いを紹介する。


沖縄

有銘 政夫・米軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議議長

 沖縄の民意は、名護市民が代表して示したように「米軍基地はノー」である。普天間基地の返還は当り前のことである。なぜなら米海兵隊が日本にいる理由はないし、その基地が町のど真ん中にあること自体が許されることではない。

 だから、ヘリ基地ができなければ、普天間基地が移転しないなどナンセンスなことだ。そんなことが許されるはずがない。移設がノーと出た以上、普天間基地撤去ということが現実性をおびてきた。米国は二〇〇一年に海上ヘリポート基地ができると配備するヘリも新型にし、基地強化をもくろんでいるが、それを打ち破るうえでも名護市の住民投票は非常によい結果を出した。

 名護市の運動は、必ず普天間基地の全面返還に結びつくとみている。投票の結果は基地撤去を加速させるので、たいへんよかった。

 九八年は、基地撤去が全県民的な課題になるだろうし、そのためにも新たな県民運動が重要になる。そのために全力あげていく。


名護市民、全県、全国民へのアピール(抜粋)

海上ヘリ基地建設反対協議会

 海上ヘリ基地建設の是非を問う名護市民投票で、私たち名護市民は建設反対の歴史的勝利を勝ち取りました。この勝利は、名護市民の良識の勝利です。名護市の、沖縄の輝かしい未来を約束する勝利です。勝利を勝ち取った全市民、そして共にがんばって下さった全県、全国民の皆さんに心から感謝致します。

 日本政府は「ユイマール行動」と称して、苦難の歴史の中で築き上げた沖縄県民の「心」に土足でふみ込み、金で沖縄の心を買う暴挙に出ました。しかし、私たち名護市民は心を売りませんでした。日本政府による常軌を逸した市民投票への介入をはねのけ、勝ち取った勝利の意味は極めて大きいものであります。

 国策の名の下に、権力を総動員し、基地建設押し付けに躍起になってきた日本政府の責任は重大です。日本政府は市民の意志に従い、海上ヘリ基地建設計画を直ちに撤回し、普天間基地を無条件に全面返還すべきです。

 私たち名護市民は、今日の勝利の上に立って、海上ヘリ基地建設を完全に断念させるまで、さらに市民の意志を結集すると共に、平和と名護市政の民主化を求めて、尚一層まい進することを表明致します。


北海道

船水 博・連合北海道事務局長

 北海道では昨年、小樽に空母インディペンデンス、函館には第七艦隊のブルーリッジ、室蘭にはイージスミサイル巡洋艦のビンセントが寄港するなど、民間の港がねらいうちにされている。親善外交といわれているが、歓迎できる手続きもないまま一方的に行われるのはおかしいと主張してきた。港だけでなく、中標津空港は米兵輸送で使われた。日米ガイドラインにおける空港や港湾使用がなしくずし的に行われており、地域や道全体で反対集会を行ってきた。

 また、矢臼別への実弾演習移転については、沖縄での演習と「同質・同量」といっていたが、沖縄では実施していない夜間訓練が行われたし、射撃数も三千発以上だった。地元住民が明らかにするよう要請していた一日の砲撃の数と時間も明らかにされず、懸念の声が高まっている。

 実弾演習は国内五カ所に移転されるので連続して行われるとは思っていなかったが、今年も行われることが一方的に明らかにされた。今年も演習の拡大を許さず、ガイドラインに反対してしっかりと闘っていきたい。


新潟・関山

山岸 行則・日米共同訓練反対共闘会議事務局長

 昨年秋、関山演習場で日米共同訓練が行われたが、これは過去の演習と明確に違い新ガイドラインに基づく共同訓練なので、完全に有事を想定した実践的な訓練内容であった。訓練のなかでは一般道も使用された。また、地元の自衛隊でなく、自衛隊の中でも最強の第一師団部隊が海兵隊と訓練をした。これらに対し、抗議集会・デモを展開し、夜間訓練への監視も行ってきた。

 今後はガイドラインで新潟港が指定港に浮上しているので、新潟港まで訓練内容を拡大していく恐れがあり、単発的な運動ではなく恒常的な運動として追求をしていかなければならない。全国で反基地闘争を組んでいる方々との連携を強化した運動体を組んでいかなければならないと思っている。


宮城・王城寺原

宇津井 賢一・護憲・平和センター事務局次長

 十一月に王城寺原で実弾演習が行われ、演習に抗議する集会を行った。演習では地元の自治体や住民が夜間訓練はしないでほしいと要請していたが、実際には行われたし、米兵の外出も行われた。

 今後もガイドラインの問題と結合させて、闘いを継続していかなければならないと確認している。


滋賀・あいば野

鹿野 昭三・護憲・原水禁県民会議事務局次長 

 秋に行われたあいばの演習場での日米共同訓練はガイドラインの先取りということで反対してきた。千二百人が参加し、航空機による訓練も行われたかなり大規模な演習だったが、内容も公開されず、煙幕のなかでやられている。また、その期間中に米軍のヘリコプターが燃料切れで大阪空港に緊急着陸したこともあり、ガイドラインの先取りをしてきていることは明白なので、集団的自衛権の行使に踏み込ませないために行動していかなければならない。


横須賀

矢納 直彦・横須賀地区労議長

 新ガイドラインが出され、一つ新しい段階に入ったのだから、今年は運動体が問われる年になると思う。基地撤去だけでなく、改めて基地があることの問題やまちづくりのプラン、労働者の権利などと関連させながら幅広い運動を目指すことが大事になってくると思う。

 横須賀の基地問題でいえば、十二号バースの延長問題など基地機能の強化に反対し、機敏に対応していきたい。さまざまな課題に立ち向かって一生懸命頑張りたい。


大分・日出生台

 佐藤 晶・米軍基地と日本をどうするローカル大分・日出生台世話人

 日出生台での実弾演習は来年の二月以降に予定されている。地域づくりの理念や地域の生き方が、国民的に議論されていない日米の軍事同盟強化の中で百八十度変えられてしまうということに危惧している。

 日出生台では、片足はあくまでも現場に、もう片足は全国の仲間のところにおこうと、昨年はニューヨークタイムズへの意見広告掲載や、十一月には「新ガイドラインに意義あり 全国縦断キャラバン」を取り組んできた。全国キャラバンでは新ガイドラインも含めて、地域の問題もとらえていこうと、沖縄の名護をスタートに、全国の基地のある町や演習移転の地域など、全国五十カ所以上をまわり、自治体への申し入れを行いながら、集いや物産展、コンサートなどを行った。最後は東京でフォーラムを開き、このキャラバンが今からの大きな運動の始まりだと確認した。

 日出生台で演習が行われる場合、別府が休息をとる場所になると予想され、町の暮らしが脅かされる問題がある。それらの問題に取り組みながら、全国各地につながりをつくっていきたい。


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