高齢者の怒り頂点に
介護保険法案を問い直す
婦人有権者同盟が公開学習会
日本婦人有権者同盟は十二月九日、東京・参議院会館で「介護保険法案を問い直す公開学習会」を開催した。パネリストは武蔵野市長・土屋正忠氏、法政大学助教授・伊藤周平氏、婦人有権者同盟会員・原利子氏、厚生省老人福祉局審議官・江利川毅氏。
土屋氏は保険方式の問題点をあげ、「保険金の天引きをできない人には市町村が徴収するとなっているが、自治体に鬼になれというのか」と行政の立場として介護保険を受け入れることができないことを訴えた。
伊藤氏は「介護保険によって、介護地獄がもっと広がる。厚生省は介護地獄から解放されるという幻想をふりまき、国民に内容を知らせなかった。反対の運動が広がってきたときには法案が成立。やり方がきたない。介護保険は増税と同じだ。利用者が一割負担できるのか。高齢者にはあまりにきびしい内容だ」と指摘した。
原氏は「年金も減る、退職金もあやしくなってくるなかで、高齢者が負担にたえられるのか。保険料とサービスの内容が国民に示されないまま契約する保険などありえない」と批判。
会場からは、介護の実態、認定や保険料徴収の問題点などが出され、老人医療費負担の増大や年金の改悪など、高齢者に早く死ねといわんばかりの非人間的な政治への怒りの声があいついだ。
厚生省の役人に「あなたは老人といっしょに暮らしたことがあるのか。介護した経験があるのか」と詰め寄る場面もみられた。
また「新ゴールドプランを達成できる見込みがないのに、なぜ保険料徴収をはじめるのか」「財政改革法を通しておいて新ゴールドプランは達成できるのか」と、厚生省の論理矛盾をつく発言も出された。
土屋氏は「実質的な中身が書いてない包括的授権法だ。これは民主主義の空洞化につながる。厚生省の役人も三十年たてば高齢者だ。国民とともに考えるべきだ」ときびしく指摘した。
今後の闘い方についても、「市民の対案をつくろう」「全国各地で裁判闘争をおこしていこう」などの意見も述べられた。 司会の紀平悌子氏は「たいへんな改悪に国民が遭遇している。市民とともに開く学習会はこれまであまりなかった。こういう機会をもっとつくっていこう。人間の尊厳を大切にする国にするために、今日からはじめよう」としめくくった。
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