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名護市民投票が告示へ

ヘリ基地反対で勝利を

施設局2百人が個別訪問

政府の介入は許せない!


 海上ヘリ基地建設の是非を問う名護市民投票が十二月十一日、告示された。沖縄タイムス紙が十二月九日に発表した世論調査によれば、海上ヘリ基地建設反対が五割を超えた。危機感をつのらせた政府は、基地の見返りとしての北部振興策をふりまき、防衛施設局員を個別訪問にかりだすなど、市民投票へのなりふりかまわぬ露骨な介入を行っている。沖縄では二十一日の投票日にむけて、政府への反発と「新たな軍事基地建設は許さぬ」との声が日増しに高まっている。


 政府は市民投票に向けて、なりふりかまわぬ露骨な介入を行っている。橋本首相は二日、「海上ヘリポートが受け入れられなければ、普天間がそのまま残る」と、反対派が勝利した場合の普天間返還の凍結を示唆した。県民世論を分断しようとする意図的な発言だ。

 また村岡官房長官は六日、海上基地と振興策は別としていた当初の見解をかなぐりすて「振興策は基地受け入れの見返り」との立場を露骨にうちだした。

 久間防衛庁長官は沖縄県出身者や県内に勤務する自衛隊員、施設庁職員ら三千人に手紙を送り、ヘリ基地賛成のために知り合いを組織するように指令した。秋山防衛事務次官は二日、沖縄の金融機関関係者らと懇談し、「海上ヘリ基地にからむ振興策は金融機関にも関係する」と協力を求めた。那覇防衛施設局は九日から「ゆいまーる運動」と称して約二百人が、全有権者を対象にして個別訪問をはじめている。

 こうした政府の介入に対し沖縄平和運動センター(新垣善春議長)は三日、那覇防衛施設庁前で抗議集会を開いた。参加した労組員からは「政府の介入だ」「自衛隊の本質を表すものだ」との強い抗議の声があいつだ。

 ヘリ基地反対協の宮城代表は四日、橋本首相に「地方自治の本旨にのっとって行われる市民投票への干渉、不当な介入は断じて許されない」と強く抗議する文書を郵送した。

 また、沖縄平和運動センターと海上軍事基地建設反対市民連絡会(中村文子代表)は十日、那覇防衛施設局前であいつで抗議集会を開いた。平和運動センターの山川勇副議長は「全体の奉仕者であるはずの公務員による憲法無視は断じて許せない」と強く批判した。    

 名護市民の闘いは沖縄県民の共感を呼んでいる。「ヘリ基地反対協議会」を支援する浦添市民の会が八日、浦添市で結成された。会長の当山全弘氏(社会大衆党県議)は「県民投票の圧倒的基地ノーの原点に立ち帰り、精力的な支援行動を展開していこう」と訴えた。

 ヘリ基地反対協は市民投票告示を目前にひかえた十日、名護市港区公民館で市民集会を開催し、約三百人が市民投票の勝利を力強く誓いあった。


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