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介護保険法案 現場での混乱は必至

90市長が慎重審議求める


 福祉関係者や自治体、市民のねばり強い運動によって、介護保険法案の問題点が国民にようやくみえはじめてきた。しかし、参議院は十二月三日、法案を可決。九日の衆院本会議で成立する見通しである。参院厚生委員会で審議中の十一月二十五日、全国九十市長が慎重審議を求める要望書を参議院厚生委員長に提出した。介護保険見直しを求める声が大きく高まっている。


介護保険法案慎重審議のお願い(抜粋)

 現在国会で審議されている介護保険法案については、重大な問題を含んでおり、現行のまま施行された場合には、地域に混乱と不信をもたらすものと懸念いたしております。これを受けて、十月二日に全国市長会・社会文教部では「介護保険制度に関する意見」を採択し、厚生省に申し入れを行いました。その意見の骨子は、次のとおりであります。
(1)介護サービス供給体制が不足している現状では、現場で混乱が生じる。
(2)介護認定により特別養護老人ホームで退所が余儀なくされ、その受皿となる施設整備が必要となる。
(3)要介護度のランク以上のサービスが必要となった場合、市町村の超過負担が生じないようにすること。
(4)保険料の年金からの特別徴収の範囲が一定の所得者に限定され、それ以下の所得者については市町村の普通徴収となっている。このことは、実施が困難であり、法改正を含めて再検討すること。
(5)要介護認定が、公平に行われるよう体制を整えること。
(6)事務処理体制については、至急整備をするとともに、人員・事務経費の確保について適切な措置を講じる必要がある。
 このように、全国の市長は介護保険法案の骨格にかかわる部分で、抜本的改革を求めているわけであります。国民的議論が深まり、現場での体制整備の見通しがつくまで、慎重にご審議くださるよう強く要望いたします。

全国市長有志

函館市、苫小牧市、酒田市、天童市、郡山市、柏崎市、白根市、豊栄市、滑川市、飯田市、諏訪市、伊那市、駒ケ根市、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、田無市、保谷市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、相模原市、厚木市、座間市、南足柄市、川越市、狭山市、羽生市、与野市、鳩ヶ谷市、幸手市、鎌ケ谷市、足利市、栃木市、佐野市、鹿沼市、日光市、今市市、小山市、真岡市、大田原市、矢板市、黒磯市、甲府市、塩山市、山梨市、大月市、熱海市、掛川市、一宮市、半田市、常滑市、尾西市、大垣市、海南市、龍野市、因島市、下関市、宇部市、柳井市、倉吉市、高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市、観音寺市、菊地市(九十人・個人名略)


群馬 市民が知事に要請

 群馬県内の福祉・医療関係者や市民で構成する「ちょっと待った公的介護保険県民の集い実行委員会」は十九日、 参議院で審議中の公的介護保険法案に慎重な審議を求める意見を表明するよう、小寺弘之知事に文書で要請した。
 同会は今年五月と九月に集いを開いて介護保険法案について検討するなかで、法案には重大な問題があることを指摘してきた。要請文では「検討材料を基にした国民的な議論をへたうえで決めるべきである」と指摘した。 


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