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 国民への責任放棄した政府

政府の財政再建策を批判

「不公平税制をただす会」が集会


 不公平税制をただす会は十月十四日、東京で「社会保障削減は本当に必要か?―政府の『財政再建策』を検証する―」学習集会を行った。
 会の代表委員である北野弘久氏(日大教授)は「政府・与党は財政構造改革法案をつくり、国会に提出することになった。二〇〇三年までに国と地方の財政赤字を対GDP三%以内にし、赤字国債の発行をゼロにするために、社会保障切り捨てをはじめ国民負担の増大をもくろんでいる。しかし、政府が大企業のために財政をたれ流してきた責任にはまったく触れていない。また、財政リストラを行うとあるが、支出だけを問題にし収入については触れていない。財界は法人税の引き下げを求めているが、大企業の税金は実質的には世界一低い。そして中小企業の税金は世界一高い。この不公平を正すことが必要だ。そして消費税率引き上げも視野に入れており、来年の参議院選挙後には七〜一〇%を狙うだろうし、最終的には一五%以上にしようとしている。こうした政府の攻撃に対し、国民の声と運動を大きくしていくことが重要だ」と述べた。
 東京健生病院の榎本富美子氏は「九月からの医療制度改悪によって、診療所では昨年九月と比べると一〇%以上患者さんが減っている。厚生省はこれからさらに医療改悪を進めるとしている。財政再建ということで国民に痛みを強いるのは許されない」と訴えた。
 年金組合の林幸雄氏は「今でも低い年金がさらに削られようとしている。しかも国民年金の免除制度(収入の少ない人は保険料を免除される)をなくし、一千二百万人におよぶサラリーマンの奥さんからも保険料を取るという。国は国民生活を守るという責任を放棄している」と批判した。
 税制経営研究所所長の谷山治雄氏は、九七年度予算から「公債費残高に占める社会保障費は二四・三%でしかなく、公共事業費が六七・五%を占めている。政府が主張する社会保障費の増大が赤字財政をつくりだしているというのはウソである」と批判した。
 また財源問題に触れて「大企業のための租税優遇措置の廃止で四兆円以上の収入がある。国債の利率では六%を超えるものもある。これを利率の低いものに借り替えるだけでも相当に支出を削減できる」など、具体例をあげて、社会保障の切り捨てを行わなくても財源をつくれることを説明した。
 政府の財政改革攻撃の本質を暴露し、国民の反撃を強めるうえで意義ある集会となった。 


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