新たに策定された日米防衛協力の指針(ガイドライン)に対して、アジアに敵対する日米軍事協力の強化であると、国内外から反対と警戒の声がいっせいにわき起こっている。民間港湾、空港を米軍利用の対象候補に上げられたり、その先取りとしてすでに米空母などが入港した自治体や当該労働組合は、その危険性を指摘して反対決議や抗議行動を展開している。こうした新ガイドラインの具体化に反対する各地の闘いを、地域ぐるみでいっそう発展させなければならない。また、新ガイドライン決定直後、東京では評論家の加藤周一氏、元総評議長の槙枝元文氏ら十四氏が、連名で緊急のアピールを発表し、国民世論に訴えた(別掲)。新ガイドラインの具体化と、来年の通常国会への提出をねらう有事法制整備に反対する広範な闘いが緊急に求められている。
【アピール】新ガイドラインと関連法案に反対の声をあげよう(抜粋)
一九九七年九月二十五日
石川文洋(報道写真家)
海勢頭豊(音楽家・『月桃の花』を成功させる会代表)
大槻勲子(日本婦人有椎者同盟副会艮)
加藤周一(評論家・作家)
島田麗子(日本YWCA会長)
隅谷三喜男(東京大学名誉教授)
外山雄三(音楽家)
野田英二郎(日中友好会館副会長)
福地曠昭(沖縄人権協会理事長)
伏見康治(元日本学術会議会長)
槙枝元文(元総評議長)
武者小路公秀(明治学院大学教授)
本島等(前長崎市長)
山由洋次(映画監督)
「許すな!新ガイドライン安保 止めよう!有事立法」集会が9月23日、大阪・扇島公園で開かれた。主催は、井上清(京大名誉教授)、壽岳章子(国語学者)、平坂春雄(全港湾労組関西地本顧問)、吉田伸(南大阪平和人権連帯会議議長)、有元幹明(ピース大阪元事務局長)の各氏ら10人の代表委員をはじめとする実行委員会。集会には、全日建運輸連帯労組や全港湾労組などから約1200人が参加した。井上清氏、沖縄の安次富浩氏(ヘリポートいらない名護市民の会)のあいさつとともに、河内家菊水丸氏の河内音頭などが行われ、関西・全国へ闘いを呼びかけた。
米第7艦隊旗艦ブルーリッジが、東京港に入港した9月27日早朝、東京平和運動センターなどが晴海ふ頭で抗議行動を行った。抗議行動には、自治労、全水道、東京交通労組などの労働者が結集した。労働党東京都委員会は抗議行動と宣伝活動を展開した。
米第七艦隊旗艦ブルーリッジが九月二十七日、東京港に入港した。この日、東京平和運動センターは、入港場所である晴海ふ頭の公園で早朝八時半から抗議行動を行った。抗議行動には、自治労、東京交通労組、全水道などの労働者が結集。
抗議集会は、森本一雄・平和運動センター事務局長の司会のもとで、労働組合代表などが次々と闘う決意を表明した。
菅谷平和運動センター代表幹事(日本婦人会議)は、「米艦船の現在の動きは、北海道から沖縄まで全土を基地にしようというものだ。こうした軍事同盟を強化させることは、未来の子供へと影響が及ぶ。何とか阻止の運動を発展させなければならない」と訴えた。
本郷自治労東京都本代表は、「周辺有事が強調されているが、平和の確保は米国の力に頼る戦略ではなく、平和的外交手段でやるべきだ。ところが、日本は米国に身を任せきりである。これでは近隣諸国との友好をはかれず、平和も維持できない」と政府のやり方を非難した。
東京交通労組の山崎青年婦人部長は「多くの米艦船が各地に寄港しているが、これは新ガイドラインの先取りであり、既成事実づくりだ。公営交通も、弾薬輸送や戦場にかり出されるのではないかと危機感を持っている。こういう動きには断固反対していく」と決意表明を行った。
九時過ぎの入港と同時に、公園から艦の近くに「ブルーリッジの入港反対、許すな有事の米軍支援」と書いた横断幕を掲げてデモで移動、抗議のシュプレヒコールを上げた。
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