970925


福岡県行橋市 商工業者、労組などが一堂に

広がる規制緩和反対運動


 「規制緩和と私たちのくらしを考える」講演会が九月十二日、福岡県行橋市で開催された。会場には電機商工組合の組合員をはじめ一市四町の商工会議所、商工会、商店振興協同組合理事長、商工会婦人部会長、商工行政担当者、教職員組合などが参加した。
 実行委員会を代表して、勝山町議の柿野義直氏が講演会の取り組みの経過、この地域の中心都市である行橋市の商店街がさびれることは、周辺地域全体の活力がなくなること、この集まりが種火となって商店街の人たちと地域の人びとが力をあわせて、商店街の振興を行政に働きかけていくための大きな行動に発展させることができればとあいさつを行った。
 講師の前田弘昌氏(全国電商連活性化本部長・福岡県電機商工組合理事長)は、大店法の経過、規制緩和のおよぼしている影響など、身近な事例で報告を行った。
 大店法の規制緩和がはじまった一九八五年当時、百四十万軒あった中小小売店がこの十年間で百十三万軒に減った。規制緩和は弱肉強食以外のなにものでもない。このまま緩和を続けていくと、小さいものがつぶれて大きいものしか残らない。
 この地域にも、大型店が十月にオープンするので、その影響が大きいのではないかと危惧(きぐ)しているようだが、大型店の進出に対して、最近風向きがかわってきている。
 筑紫野市では売り場面積の七割カットを住民、行政が一体となって要請し進出店側が受け入れた。このような動きは各地で起こっている。久留米市でも大型電機店の進出阻止の動きがでてきている。鹿児島県の志布志町では商工会や行政が大型店はもういらんといって、進出を断念させた。福島県のいわき市、京都、青森などでも同様の動きが起こっている。
 前田氏は、これらの具体的な例をあげて、消費者が大型店はもういらないという声をあげれば、規制緩和された現行の大店法でも大型店の出店を阻止できること、決してあきらめてはいけないことを強調し、やりようがあることを示した。
 また、行政や議会とともに連携し、その地域の総売場面積にしめる大型店の割合を二五パーセントから多くても三〇パーセント以内ににおさえよう。もちろん商店街自身の自助努力も必要だが、そうすれば共存共栄ができると訴え参加者を励ました。
 講演のあと、労働組合からの連帯の意味をこめて、「規制緩和の本質は国際的大競争の時代を勝ち抜くために、大資本の利益を後押しし、社会的に弱い立場にある労働者、市民を犠牲にしようとするものである。『規制緩和』は、総資本が世界的規模で、労働者・市民にしかけてきた、なりふりかまわぬ、厚かましい攻撃である。大変な闘いとなるが、共に闘おう」という、全日本港湾労働組合北九州港支部執行委員長亀井義則氏のメッセージを紹介した。
 閉会にあたって、県電機商工組合副理事長・行京支部長の山本昭徳氏が、これを機会にさらに一致した取り組みを強めたいと力強くあいさつした。 


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