970925


日米軍事協力は危険な道

古川万太郎氏が記念講演


 [アジアをしる会」は東京で九月十三日、「日米安保と今後の日中関係」と題した学習会を開いた。
 講師は日中関係史が専門の古川万太郎氏。同会は日中国交回復二十五周年、来年の平和友好条約二十周年を記念して「二十一世紀の日中友好をめざして」をテーマに学習会を行っている。
 今回の学習会は、ガイドライン見直し最終報告が九月末にまとめられ、中国が日米安保の拡大に警戒を表明しているなかで、日中関係のゆるぎない発展を築くうえで何が問題なのかを学習しようと開かれたもの。
 古川氏は、「今ほど日本にとって中国をはじめアジア諸国との関係が重要な時期にさしかかっているときはない。それはいま米国がアジアに勢力を拡大しようとする動きが急速に高まっている。冷戦崩壊後、世界で唯一の超大国になった米国は、世界支配を行ううえで、米国の意に従わない大国・中国に圧力をかける。これが米国のアジア戦略の基本である」と指摘した。
 そのうえで、「日中関係を発展させるうえで、阻害要因は依然として二つある。一つは歴史認識の問題。これはとても残念なことであるが、日本はこの問題を軽視している。これは単に一部の政界や学会の人だけでなく国民のなかにもある。中国の国民感情からしてこの問題はきわめて重要な問題である」と述べた。
 また、「もう一つは日米安保、ガイドライン見直しによる新たな日米軍事協力問題で、これは中国の安全保障にかかわる重大な問題である。ところが枝葉末節なことばかり議論され、国民の目には本当のことがわかっていないと思う。この本質はアメリカがアジア戦略に日本を政治的、軍事的に深く組み込もうとすることである。橋本首相は台湾を含まないと明確に言っていない。有事の範囲から台湾をはずそうとしないところに、この問題の最大のポイントがある。アメリカはアジアでの影響力を行使するためには、日中関係が発展することを望まない。これがアメリカのアジア政策。この問題を最終的にはぼかすことで周辺を限りなく拡大することは、日本の進路にとって危険である」と述べた。
 最後に古川氏は「日米安保条約があるために日本は真の独立ができない。軍事力を行使しない日本とアジア諸国と平和友好的な関係を構築し、集団安保体制を確立していかなければならない」と訴え、日中関係のいっそうの発展のための努力と日米安保破棄の国民運動をつくっていくことの重要性を強調した。 


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