970905


社会運動の解体ねらう盗聴法反対の運動を

弁護士、労組などが集会


 「つぶせ!盗聴法 許すな!警察管理社会」集会が八月三十日、東京・星陵会館で開かれた。主催は組織的犯罪対策法に反対する全国弁護士ネットワークなどでつくる実行委員会で、約三百人が参加した。

 すでに法制審議会(法相の諮問機関)部会は七月十八日、「組織的な犯罪に対処するための刑事法」要綱骨子案の決定を強行、九月十日の法制審で答申を決定する予定である。

 法務省は、今秋の臨時国会で法案の成立をねらっているといわれる。これに対して、日本弁護士連合会は五月の総会で反対を決議、日本ペンクラブも反対声明を発表している。集会は、法制審での答申決定、国会への法案提案を前に、これを阻止するために開かれた。

 主催者を代表して、海渡雄一弁護士は、「この法律の本当の狙いは、この社会の不公正に疑問を持ち、また環境の保護や人権の保障などの目的のために何らかの社会運動に加わろうとする人たちを、このような盗聴制度の脅しによってばらばらに解体していくことです。いま憲法に定める表現の自由、プライバシーが危機にひんしています。さまざまな課題に取り組む市民団体、さまざまな政治的な傾向の団体が盗聴法案に反対するという一点で共同の行動を作りあげることが大切です。息苦しい盗聴社会への道を断ち、自由な市民社会を守り抜く、盗聴法反対の運動に立ち上がりましょう」と訴えた。

 続いて、小田原紀男氏(日本基督教団社会委員会)が基調報告を、足立昌勝・関東学院大教授が法案骨子を解説する講演を行った。同教授は、法案骨子は(1)組織犯罪の刑罰の加重と新設、(2)マネー・ロンダリング(不正金銭の洗浄)の処罰と没収・追徴の拡大、(3)通信傍受の合法化、(4)証人の保護の四本の柱からなっていると説明し、インターネットも対象となるなど、その危険性を訴えた。

 さらに、全日建連帯関西生コン支部が警察による組対法の先取り的弾圧が続く状況を報告、動労千葉、婦人民主クラブなど各団体・個人からのアピールが続いた。集会後、参加者は渋谷までデモ行進し盗聴法反対を訴えた。


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