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労働新聞 2021年2月5日号・4面〜5面

近畿/関生、社民党などから連帯あいさつ

歴史的転換期、参加者に確信

 中央委員会及び九州地方委員会に続いて、近畿地方委員会、長崎県委員会、熊本県委員会の新春講演会が相次いで開催された。各地の講演会には同志をはじめ、友党や労組などから多くの人びとが参加、団結を打ち固めた。同時に激動する内外情勢のなかで、闘いへの確信を深めた。各地の様子を紹介する。


 党近畿地方員会主催の新春講演会が一月二十三日に開催され、近畿一円の同志と連携する労働組合、友人など多数が参加した。
 開会あいさつに立った長岡親生・党大阪府委員長は、「コロナ禍が歴史を早めたといわれるが、これらはそれまであった危機が浮き彫りになって加速しているということ。動きが速いときこそ、労働者がキチンとした世界観、歴史観をもって、変化する事態を見据えて闘うべきだ。今年、歴史的転換期の情勢を労働者、労働組合に広め、議論することを大いに進めたい。また府民各層の要求と闘いに依拠して維新政治を暴露し、打ち破っていく。情勢に備えて党を強めていきたい」と述べた。
 新春講演は党中央委員会政治局の平石義則同志が約二時間にわたって行った。平石同志は、冒頭に米統領選挙とバイデン新政権について、「南北戦争の歴史の再来ともいえる状況だ、国内に深刻な対立を抱えた新政権が分断を克服することは容易ではない。選挙資金を見ても金持ち、エリートを基盤とした政権だ」と喝破した。
 続けて、資本主義の危機が深まり、資本家自身が「グレートリセット」「新自由主義は間違いだった」と言うほどの状況だと述べ、本論に入った。そのなかでは、現在の世界経済危機の一つの側面として中央銀行が金融緩和から抜け出せない構図が強まっていること、さらにデジタル通貨をめぐる世界各国の対応を紹介し、今や帝国主義、金融独占の根幹である銀行自身の存在が問われていること、そしてデジタル人民元か来年から現実に使われれば、米国のドルによる支配が急速に崩れることなど、この数年で大きな転機が到来するとの見通しを語った。
 また各国別の金の保有高を紹介し、保有率を高める欧州の国々と日本の戦略性の違いが際立っていることを指摘、その上で、こうした世界の中での日本の生き方について「菅政権は『自由で開かれたインド太平洋』を唱えているが、時代錯誤だ。日本は政治の責任、相手の国の事情をよく知り、東南アジア諸国連合(ASEAN)、東アジア地域で日本が信頼される生き方をすべきだ」と述べた。菅政権がアトキンソン氏を使って中小企業、地方銀行の再編、淘汰を強引に進めようとしていること、デジタル化、脱炭素など菅政権の看板政策の本質について暴露した。最後に、東京で行われた「コロナ相談村」に女性が多かったことや深刻な労働者の状況を話し、生活保証や大規模な失業対策事業を行政に要求する自治体闘争も重要だと述べた。
 最後に「広い統一戦線が可能な情勢、大いに闘っていきたい」と締めくくった。
 続いて、来賓から五人があいさつに立った。
 武洋一・全日建連帯労組関西地区生コン支部書記長は「正当な組合活動に対する一昨年来の大量逮捕、起訴、不当判決の弾圧に抗して反転攻勢の準備をしている。現場の運動で変えていきたい」と述べた。
 大椿裕子・社民党大阪府連合副代表は「今回コロナ禍でとくに女性が多い職場に打撃があり、自殺した女性たちもいる。安心して医療を受けられない政治のあり方は絶対におかしい。雇用問題を訴え、また分断、排外主義的な思想に反対をしていきたい」とあいさつした。
 朝鮮総聯大阪府本部のキム・ジョンイ国際部長は「全国ラグビー大会で生徒数が少ない大阪朝鮮高級学校のラグビー部が第三位になった、高等学校無償化、幼保無償化の朝鮮学校適用除外は許されない。さらなる署名をお願いしたい」と述べた。
 「三池闘争六十周年シンポジウム」の野口隆事務局長は、「昨年のシンポジウムが三百人もの規模で行うことができた。一酸化炭素(CO)中毒患者は今なお闘い続けている。映画作成を含め世論に訴えていきたい、と述べた。
 最後に自主・平和・民主のための広範な国民連合・大阪の澁谷文孝事務局長が、「自分たちの運命を自分たちで決められる国にすべき。今年は全国地方議員交流研修会が今年大阪で予定されている。コロナ禍のなかで現場に接する地方議員の要望、期待に応えて大いに運動を広げていきたい」と決意を述べた。
 最後に由良隆・党京都府委員長が、「コロナ禍は格差・貧困を拡大しこれまでの資本主義の問題を浮き彫りにした。人びとに分かりやすく展望を与え、面白く興味をもってもらえるような活動を一歩一歩進めていきたい。敵側は生き残りをかけている。われわれも必死に活動をしていきたい」と、全体の日程を締めくくった。
 二〇二一年、歴史的転換期を迎え激動のさなかにある情勢のもとで、新春講演会は成功し、今年一年の意義ある出発点となった。


熊本/県内各地から
野党各党、自治体議員が参加


県党の前進印象づける

 党熊本県委員会の主催による新春講演会が一月二十四日、熊本市で開催された。
 講演会には、コロナ禍という状況にもかかわらず、県下各地から同志が駆けつけた。また、立憲民主党、社民党、新社会党の県組織役員、県議会議員の西聖一氏、県平和運動センター、沖縄県人会、現場の労働者など幅広い人びとが参加した。
 まず、党熊本県委員会を代表して渡邉浩同志があいさつし、「コロナ禍でさまざまなイベントや集会が中止されてはいるが、こんな時こそわれわれの訴えを聞いてもらい、団結して闘いを前進させていく決意の場にしたいとの思いで講演会を開催した」と述べ、講演会開催の意義を強調した。
 続いて、「労働新聞」の大嶋和広編集長の講演に入った。大嶋編集長は、「コロナ禍を通じて、世界の大きな変化が共通認識になってきた」と述べ、バイデン新大統領の就任式は米国社会矛盾の深まりの象徴的出来事だったこと、またコロナ対策であらわになったになったわが国の菅政権の無様な状況を挙げ、「最大のコロナ対策は政権を変えること」だと鋭く指摘した。
 次に、コロナ危機の下でさらに進む世界的な金融緩和と政府債務の急増について解説、「日銀も、米国、欧州も、まさしく袋小路で、底なし沼にとらわれている。いずれ限界にくるだろう」と結論づけた。
 また、近く導入が計画されている中国の「デジタル人民元」を取り上げ、「世界の政治、外交、安全保障などに大きな影響を与えるものだ。各国の政治構造、経済構造、資本主義のあり方にも大きく影響を与えるだろう」との見方を示した。
 さらに、さまざまに議論されている「持続可能な資本主義」などという議論に触れ、「裏を返せば、今のままでは資本主義は持続可能でないということだ」と述べるとともに、最近の若手の学者などの議論を紹介し、「基本的に議論は歓迎したい」とした上で、「扱っている問題の取り上げ方が狭い」こと、「誰が、どうやって政治を変えるかという観点がない」と断じた。
 続いて国内情勢では、菅政権は「地に落ちた米国を支えて中国と対抗する方向で、アジアでの戦争に巻き込まれる危険な道を進んでいる」と批判、同時に菅政権の特徴、本質は、改革を掲げ、中小・零細企業をつぶし、地方銀行をつぶす政権だと暴露した。
 講演の最後は、「国民生活はますます厳しい状況に追い込まれ、腹を据えて闘わなければならない状況が差し迫っている」と述べ、今年一年、党を大きくすること、広範な国民連合の一翼を担って発展させることを課題として闘う決意を述べ、「皆さんと協力して進んでいきたい」と締めくくった。
 質疑に移ると、参加者から「新しい歴史が生まれようとしている時代だと思うが、ポピュリズムの動きはどうなっているのか、その現状などを聞きたい」との質問が出された。 これに対して大嶋編集長は、「個人的見解」としながら、「欧州では既成の政党から離れた人たちが一度はポピュリズムを支持しそれが勢いをもったが、最近ではやや変化が生まれ、フランスの『黄色いベスト運動』のように大衆行動が広がっている。多くの国でそういう方向に向かうと思う」と述べるとともに、「わが国でもいずれそうした状況が生まれるのではないか」と答えた。
 続いて、立憲民主党の矢上雅義衆議院議員(熊本四区)の祝電が紹介され、社民党の衆議院議員予定候補(熊本三区)の馬場功世氏があいさつを行った。
 馬場氏はあいさつの機会への感謝を述べた後、「政治家の仕事は国民に三食食べさせ、生涯安心して暮らせる環境をつくること」と訴え、菅政権の「自助」政治を批判、「今の政権が続く限り私たちの不幸も続く。皆さんといっしょに闘って政治の流れを変えたい」と決意表明を行った。
 講演会の最後に、渡邉同志は、「今年一年、私たち自身の党を強めるとともに、命と生活を脅かされている多くの人びとのため、また、平和が脅かされている状況に抗して、皆さんと力を合わせて闘っていきたい」と決意を述べて、成功のうちに講演会は終了した。


長崎/参加者交え、活発な討論

米バイデン新政権を暴露

 党長崎県委員会主催の新春講演会が、一月二十三日、長崎市で開かれた。
 冒頭、主催者あいさつに立った藤井準二県委員長は、新型コロナウイルスの「緊急事態宣言」が長崎市に出される状況下での開催について次のように表明した。「菅政権は、わずか二カ月前は、『GoToトラベル』の実施に力を入れ躍起となっていた。専門家から慎重にすべきであると指摘されていたにもかかわらずである。ところが、今度は一転して、『緊急事態宣言』の乱発である。確固とした医学・疫学的知見に立たず、朝令暮改、右往左往している。特に問題なのは、私権を大きく制限し、罰則まで設けた特措法を改悪しようとしていることである。感染を恐れる国民の不安心理を利用し、憲法で保障されている諸権利をなし崩し的な改ざんが行われようとしている。しかし、議会主義野党は、これを厳しく批判しようともしていない。歴史を見れば、戦時下で灯火管制に従わないものは非国民であるといった雰囲気が醸し出されている。こうした下では、感染の拡大防止に最大配慮しつつも、政党としては、粛々と講演会を開催することが大事」と訴え、講演会の意義を強調した。
 会場には、県下各地から、立憲民主党や無所属の地方議員、れいわ新選組の活動家、県労組OBなどが、コロナ禍を押して参加した。
 続いて、党中央委員会を代表して「労働新聞」の大嶋和広編集長が講演を行った。
 大嶋同志は、国際情勢や国内情勢、さらに情勢を見る上で注視すべきいくつかの問題提起など、広範囲にわたる情勢に触れ、一時間半にわたって、日本労働党の見解と主張を明快に語った。
 その中で大嶋同志は、米バイデン新大統領の就任式について、いわば「戒厳令」状態で行われた事実を指摘し、オバマ、トランプと続いてきた米政権の差違と同一性について解説、米帝国主義の深刻な危機と著しい衰退、さらにその画策が内外に及ぼす影響について、また米中関係がさらに厳しいものとなる見通し、欧州での独中関係の状況について触れた。
 さらに、コロナ禍で世界各国の貧富の格差がいちだんと加速し続け、金融緩和から抜け出せない構図がいっそう強まったことを、資料を駆使して押し出した。
 国内情勢については、菅政権の諸政策を指弾、とりわけ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する姿勢に触れながら「国民の命を守れる政権ではない」とバッサリと厳しく批判し、自公政権による医療行政、とりわけ歴史的な感染症対策の反省から始めなくてはならないことを訴えた。
 また、マルクスの『資本論』の記述を取り上げ、「生きている機械」としての人間は、当時も今もその事態と本質に変わりないことや、通貨のデジタル化が避けられず中国は今年から、発展途上国も次々に踏み切ろうと計画しており、それは大方の予想を超えた「衝撃波」となるであろうと問題提起を行った。
 さらに大嶋同志は、流行りとなっているかに見えるSDGs(持続可能な開発目標)の動き、現代貨幣理論(MMT)を提唱する松尾匡氏(立命館大学経済学部教授)や『人新生の「資本論」』の著者である斎藤幸平氏(大阪市立大学院准教授)らの見解についても触れ、政治を根本的に転換させる展望を描いていないと語った。
 講演の最後に、「激変の時代が訪れており、日本労働党は、自主・平和・民主のための広範な国民連合の一翼を担って、諸政治勢力人士と共同して闘い、かつ労働者階級の政党として労働党の党建設にいっそう奮迅する」と訴え、党としての決意を表明した。
 講演の後、大嶋同志と参加者で質疑が行われた。通貨のデジタル化の諸問題、プライマリーバランスとMMT理論、核兵器禁止条約発効と核兵器をめぐる現状などの各種の質問がなされ、これらについて活発な意見交換が行われ、二〇二一年の労働党新春講演会を閉幕した。

21日本労働党新春講演会に祝電・メッセージを寄せた方々(要旨・敬称略・順不同)

【近畿】
・全日本港湾労働組合関西地方大阪支部
・衆議院議員    森山浩行
・衆議院議員    尾辻かな子
・大阪府議会議員  山田けんた
・前大阪府議会議員 中村哲之助
・堺市議会議員   ふちがみ猛志
・吹田市議会議員  馬場けいじろう
・社会民主党兵庫県連合副代表、宝塚市議会議員  大島淡紅子
・伊丹市議会議員  おおつる求
・奈良県議会議員  和田恵治
・和歌山県議会議員 藤本眞利子

【熊本】
・衆議院議員    矢上雅義


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