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労働新聞 2021年1月1日号・8面・16面

2021 新春各界メッセージ

要旨・見出しは編集部による
(順不同・敬称略)

憲法の価値実現へ、社民党の出番
社会民主党党首 福島みずほ
 新年明けましておめでとうございます。二〇二一年が、皆さんにとって本当に良い年になるように全力を尽くしたいと思います。
 二〇年はコロナ禍のなか多くの人が経済的、社会的、精神的に大変な状況に置かれました。コロナ感染は人を選びませんが、コロナ禍は、社会のより弱い部分にしわ寄せが来たのではないでしょうか。
 二一年は、コロナ感染防止策に対応すると同時に、政治が公助で支援をし、医療、福祉、介護などを強化していくことが必要です。また、コロナ禍で明らかになった働く人たち、とりわけ非正規雇用の皆さんの待遇改善が急務です。
 菅政権はアベノミクスを継承し、新自由主義をさらに推し進めようとしています。しかし、富裕層や一握りのための新自由主義ではなく、みんなのための経済・社会、包摂社会をめざす社会民主主義の政策に転換しなければなりません。気候危機にも対応し、グリーン・リカバリーを実現したいと思います。脱炭素はもちろんのこと脱原発の社会を全力でつくっていきましょう。
 また、政府・自民党は、憲法改正のための国民投票法改正法を成立させ、いつでも憲法改悪の発議ができるようにしようとしています。生存権、学問の自由、表現の自由、思想良心の自由、憲法九条などが侵害されている今、憲法の価値を実現していくことこそ必要で、憲法改悪の必要性はありません。
 社会民主主義、護憲、脱原発など、まさに社民党の出番です。私たち社民党は、「新生社民党」として、たくさんの人たちに支持される政党になりたいと考えています。今年は衆議院総選挙が行われます。この選挙で社民党は、議席増をめざし全力で闘う決意です。どうかそんな社民党を応援してくだるようお願いいたします。今こそ公助の社会を!政治を変えていきましょう!
 結びとなりますが、本年の皆さま方のご健勝、ご活躍を祈念しメッセージとさせていただきます。


転換の年、政治を切り拓くために
新社会党中央本部委員長 岡崎ひろみ

 今年はコロナ感染「第三波」の大波の中で明けようとしています。ILO(国際労働機関)はコロナ禍の影響で世界の労働者の約半数にあたる十六億人が生計を失う危機にあると警告、中小企業や労働者に対する迅速な対策が必要と訴えています。
 第四波到来も予想され、労働者・市民はますます困難を強いられています。社会経済の閉塞感は右翼ポピュリズムの台頭も心配されます。
 七年八カ月の安倍政権の下で、日本社会は多くのものを失ってきました。特定秘密保護法や共謀罪、集団的自衛権の行使を容認する戦争法や社会保障の縮小、消費税増税等など、憲法破壊の限りを尽くしてきました。その結果、職場は過密労働とハラスメントが横行し、企業・官僚はモラルを失い、差別とヘイトが闊歩する社会を現出させています。菅新政権は「安倍政権の基本路線を継承する」とし、めざす国の形を「自助・共助・公助」の自己責任社会だと公言しています。
 一方、コロナ禍は日常生活に不可欠な医療、介護、保育、食料調達や物資配達する仕事、清掃やライフラインを維持するための労働は休むことはできず、感染の危険に接しながら低賃金で働かされ続けているエッセンシャルワーカー、公共サービスの重要性を浮き彫りにしました。
 新自由主義の暴走か、憲法を活かす政治か、日本社会や労働者運動は大きな転換点を向かえています。それにどう応えるのか、私たちの活動はいよいよ正念場を迎えています。立憲野党と労働者・市民の大きな共闘の真価が問われています。
 二〇二一年の最大の政治課題は衆院の解散・総選挙です。新社会党は微力ながらあらゆる局面での労働者・市民と野党の共同・共闘の強化に全力を尽くしてきたと自負しています。ピンチはチャンスでもあります。引き続き新しい政治を切り拓くために共に奮闘しましょう。


奪われたものを取り返す年に
自主・平和・民主のための広範な国民連合代表世話人 西澤 清

 今年は「新しい」年になるのだろうか。
 世界を襲ったコロナ禍は、今まで深く隠されていた「社会の本性」を限りなくあぶり出した。私たちが憎み、克服の対象としてきた弱肉強食の現行社会を、支配者として操っていた輩(やから)の正体も、誰の目にも明らかにした。
 同時に、支配されてきた人びとの中に埋もれていた差別意識も表面に躍り出た。「自粛警察」「規制看視者」「夜の街」「よそ者お断り」などが当たり前に言われた。
 大衆を支配するには、差別意識をつくり出し、それを基本に差別構造(社会システム)をつくり出すのが手っ取り早い。支配される人びとはお互い競争し、憎しみ合い分断される。支配者たちは、その上にあぐらをかき安寧な生活を送る。
 十四世紀に欧州で猛威をふるった黒死病は、被支配層の農民に多くの死者を出し、労働力不足を招き、農奴制の破壊と同時に賃金を高騰させた。イングランドでは賃金を黒死病前に固定する国王勅令で規制したが防げなかった。その中で支配者たちには労働者の賃金を低く抑えるための「不滅の原理」が認識されていった。そうだ、労働者は「競争と差別」で分断すればいい。
 さて、こんにちの日本はどうだ。他民族(特に朝鮮民族)が民族衣装(チマチョゴリ)を着て道を歩けないのが日本社会だ。先に挙げたコロナ禍が暴き出した差別の姿は、それと同質だ。今年、私たちはまず差別との闘いを始めなければならない。社会的不公平を糺さなければならない。これまで労働者は、多くの富と良心を奪われてきた。「奪われたものを取り返す」ことができるのかが今年の、そして新しい社会の課題ではないだろうか。


菅反国民的政権を打倒し、救国のため政権交代を実現しよう
元参議院副議長/
自主・平和・民主ための広範な国民連合代表世話人元参議院副議長 角田 義一


朝鮮敵視政策の撤回を
在日本朝鮮人総聯合会中央本部国際・統一局
 日頃より平和と民主主義、反差別と反独占を貫き、力強い運動を展開してこられた皆様に敬意を表します。また在日朝鮮人の権利擁護、朝日国交正常化と朝鮮の自主的平和統一に向けたわれわれの運動への変わらぬご声援に心より感謝します。
 わが国は昨年、朝鮮労働党創建七十五周年を盛大に祝いました。十月十日、金日成広場で行われた閲兵式は、金正恩委員長の卓越した指導の下、戦略国家にまでのぼりつめたわが国の位相と難関を正面突破戦略で打破し、社会主義強国建設をいっそう力強く推し進めていこうとする朝鮮人民の決意を誇示しました。
 今年は、新年早々、朝鮮労働党第八回大会が開催され、社会主義強国建設と人民生活向上のための新たな五カ年戦略とその具現のための計画が示されることでしょう。
 昨年朝鮮半島では平和の時計が止まり、こう着状態が続きましたが、それはすべて、米国と南朝鮮当局がわが国との歴史的な合意を履行しなかったことに起因します。
 朝鮮半島の平和と安定を実現するためには、何よりも、新たに発足した米国のバイデン政権が対朝鮮敵視政策を転換する政治決断を下すことが先決であり、南朝鮮当局が「わが民族同士」の自主的理念に立ち返り、北南合意を着実に履行することが必要不可欠です。
 菅政権は、朝日関係に関し安倍前政権を踏襲し「無条件の日朝首脳会談」を云々していますが、わが国との対話を本当に望むのであれば、不当な対朝鮮敵視政策を撤回し、朝鮮総聯に対する政治的弾圧をやめ、朝鮮学校に通う子どもたちの学ぶ権利を保障することによって、不幸な過去の清算と国交正常化に向けて真摯に取り組む誠意を示す必要です。
 新年を迎え、私たちは、朝日友好親善と朝鮮の自主的平和統一促進、民族教育をはじめとする在日同胞の権利擁護のための運動を、「辛丑の年」に相応しく「粘り強く」くり広げていく決意を新たにしています。


人権と平和の確立めざす共同の闘いを
部落解放同盟中央執行委員長 組坂 繁之
 昨年は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)によって、私たちの生活をはじめ、平和や人権の確立を求める闘いも、多くの制限や制約の下での活動を強いられることになりました。しかも、感染症が拡大してきた当初の教育現場への唐突な一斉休校や十分な補償もないままでの無責任な休業要請など、市民生活を混乱させてきました。また、中傷企業の倒産、派遣や雇い止めなどが続くなかで、格差や貧困問題をいっそう深刻化させてきました。
 こうした感染症の拡大は、これまでの医療制度の改悪、福祉や社会保障関係予算の削減などが大きな原因であり、まさに経済優先を進めてきた「人災」であることは明らかです。世界的にも、米国のトランプ大統領が進めてきた自国第一主義の拡がり、新自由主義政策によって、感染拡大予防に向けた共同の対策が進まないなかで、分断と対立が生み出されてきました。
 安倍政権を継承するとした菅政権も、観光支援事業などの経済優先の政策に固執する一方、学問や研究の自由、異論と多様性の排除となる日本学術会議会員の任命拒否問題での説明責任を放棄し、「自助」を強制する強権的な政治を進めようとしています。
 私たちは、こうした強権政治に抗して、差別と戦争に反対する闘いを全国的に進めてきました。今後とも、菅政権による憲法改悪策動を許さず、沖縄の辺野古新基地反対など、人権と平和、民主主義の確立に向けた共同の闘いを前進させていきたと思います。
 さらに、来年は全国水平社創立百周年という大きな節目の年になります。本年は、多くの先達の苦闘を踏まえ、「部落差別解消推進法」の具体化と国内人権委員会設置を中心にした人権侵害救済制度の確立、狭山再審闘争の勝利をめざして、反差別共同闘争の前進を勝ち取るために全力で奮闘します。


「国消国産」の認識共有へ
全国農業協同組合中央会会長 中家 徹
 コロナ感染症により影響を受けられている皆様、また全国各地で発生した災害などにより被害に遭われたすべての皆様に、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念いたします。
 さて、コロナ禍は依然として予断を許さない状況が続いています。農業分野でも需要減退による価格低下が幅広い品目で発生し、今もその影響が残っているものもあります。大きな影響を受けている生産者を支援するため、消費拡大対策などに取り組んでおりますが、先が見通せないなか、当面は苦しい状況が続くものと想定されます。
 一方、コロナ禍は社会に教訓も残したと考えています。その一つが、国民が必要とし消費する食料はできるだけその国で生産する「国消国産」の考え方です。コロナ禍でマスク不足は大きな問題となりましたが、もしこれが食料だったらどうなっていたでしょうか。「国消国産」は食料を生産する側だけではなく、国民全体で認識共有することが不可欠です。
 こうしたなかで昨年は、食料・農業・農村基本計画が改定されました。食料安全保障の確立や農村実態に即した提言の策定などとともに、食や地域に携わるさまざまな関係団体・行政・事業者・消費者等との連携強化を進め、「国消国産」延いては「持続可能な食と地域づくり」を実現するため、JAグループは役割を発揮し続けていきます。
 そして、この役割を果たすためには、JAグループ自身が持続可能な組織とならなければなりません。引き続き、協同組合運動の原点である「対話」をもとに不断の自己改革を進め、経営基盤の確立・強化に努めてまいります。


コロナ禍も物流支えたドライバー
全日本トラック協会会長 坂本 克己
 昨年は、まさにコロナ禍に翻弄された一年でありました。この状況の中で、わがトラック産業も大きな影響を受けました。経済の停滞・縮小の流れの中で、どのように事業を継続していくか、それぞれの事業者が知恵を絞り、工夫を凝らし、努力してきた日々でした。
 そのような厳しい状況下にあっても、社会からの期待に応え、国民生活のため、経済のために物流を止めないという強い思いを持ち、そしてトラック事業への誇りと自負を持ってがんばり続けた事業者に敬意を、現場で努力するドライバーに感謝を表したいと思います。
 わが国の物流を守り続けていくためには、「悪貨が良貨を駆逐する」ことのないよう、悪質な事業者を排除するとともに、悪質な荷主が適切に指導され、真面目な事業者が社会において正当な評価を受けて、事業継続できるようにしていかなければなりません。そのためには、先般、関係者の皆様のご支援のおかげで成立をみた改正貨物自動車運送事業法への取り組みを、今こそ促進していく必要があります。
 「標準的な運賃」をはじめ、「荷主対策の深度化」や「規制の適正化」といった取り組みを着実に進めていき、ドライバーの労働環境改善の原資となる運賃・料金を適正に収受していくことなどを通じて、当業界を取り巻くさまざまな課題を解消させていかなければなりません。
 また、運送事業者の高速道路利用推進が必要です。このことは、安全・安心な交通環境の実現に繋がり、また、周辺地域の環境に優しい輸送が実現できるとともに、ドライバーの拘束時間短縮など働き方改革の実現にも貢献できます。
 これを実現させるためには、運送事業者にとって利用しやすい道路ネットワークの推進が必要不可欠です。全ト協では、「道路こそ運送事業者の生命線」と捉え、「重要物流道路」をはじめとする高速道路等の整備推進や、ミッシングリンクの解消、SA・PAおよび休憩・休息施設や中継物流拠点の整備など、運送事業者の皆様にとって利用しやすい高速道路料金のあり方の実現に向けて尽力します。
 また、運送事業者にとって使いやすい道路にしていくためには、高速道路料金のあり方等についてリーズナブルコストの構築を考えることが必要だと思います。  気持ちを新たに業界のさらなる健全化に果敢に取り組んでまいりますことをお誓い申し上げます。


揺らがぬ県民の民意、玉城知事先頭に「常在戦場」闘い抜く
照屋大河・沖縄県議会議員
 新年明けましておめでとうございます。
 新型コロナウィルス感染症「第三波」到来にあって、「労働新聞」読者の皆さまにおかれましては「静かに」新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 迎えた二〇二一年も「ウィズ・コロナ」の生活様式が求められております。まだまだ厳しい状況が続きますが、「アフター・コロナ」時代の到来を願いつつ、今年も沖縄の諸課題解決のための政治をがんばってまいります。
 膨大な米軍基地を抱える沖縄では、民間地と米軍施設の境界線が「フェンス一枚隔てただけ」という地域が少なくありません。多くの日本人従業員が基地の中で働いており、県民の生活は米軍と密接な関係にあります。そんな中、在沖米軍基地で新型コロナウィルス感染症が拡大し、県民に感染する事態が起きている。米軍基地はコロナの侵入経路としても脅威です。新たな基地負担が浮き彫りになりました。
 コロナ対策で、人の移動の制限が求められる中、配置換え(ローテーション)で沖縄に入ってくる兵士の「水際対策」、兵士らの基地外での飲酒制限など米軍関係者に特化した厳格な感染防止対策が必要です。
 辺野古の闘いは、現在進行形です。沖縄防衛局による土砂投入から二年が経ちましたが、玉城デニー知事の決意に揺らぎはありません。「県が試算した全体の進捗率は三・八%で、決して止められないとか、後戻りできない状況とは考えていない」と強調しています。
 私たちも決して諦めることなく、県民投票で示された圧倒的多数の反対の民意を後ろ盾に、粘り強い闘争を継続していきます。読者各位におかれましては、今年はコロナ禍で現場に直接足を運ぶことが難しくても、SNSの発信などで連帯を寄せてくださいますようお願い致します。
 今年は衆議院総選挙があります。解散時期をめぐってさまざまな憶測がありますが、この先は「常在戦場」です。自公政権に終止符を打つべく、沖縄四選挙区全てでの「オール沖縄」候補勝利に向けて、玉城知事と共に取り組んでまいります。
 とりわけ沖縄二区にあっては、照屋寛徳衆議院議員の後継として、新垣クニオ前北中城村長が社民党公認での出馬を表明しております。ご支持ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
 結びに、年頭にあたり、皆さまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。


消費税廃止めざし、まず5%へ引き下げを
湖東 京至・元静岡大学教授(税理士)
 二〇一九年十月に消費税率が一〇%へ引き上げられたあと、景気が大幅に後退しました。追い打ちをかけるように昨年コロナ禍が発生し、わが国の消費者・中小事業者は瀕死(ひんし)の状況にあります。今後、事業者の決算・消費税納税が始まるとともに、その悲鳴はいちだんと大きくなるに違いありません。
 そのうえ二三年十月からは、事業者にはインボイス方式という、税務署長が付番した事業者登録番号を付した領収書や請求書を使ってやり取りしなければならなくなります。つまり、正式の(公的の)請求書・領収書で取引を監視し、ごく小規模事業者まで消費税の納税義務者として取り込むものです。菅政権がデジタル庁に熱心なのはインボイス方式と無関係ではありません。
 一方、ドイツをはじめ多くの国は、コロナ禍対策として消費税タイプの税金の税率を引き下げています。わが国では安倍政権を引き継いだ菅政権の政策が後手に回り、コロナ対策も景気回復も不発、経済は好転しません。
 いま最も必要な政策は「消費税廃止、当面五%に引き下げること」です。野党が一致してこれを統一スローガンに掲げて総選挙に勝利し、菅政権を退陣に追い込まなければなりません。そして、マレーシアのように消費税を廃止させましょう。

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