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労働新聞 2020年2月5日号・4面

熊本・長崎新春講演会

激動の情勢解き明かし、
闘いの奮起促す

熊本/国会議員、地方議員など各界から参加 「労働者の中に党を」と決意

 日本労働党熊本県委員会の主催による党新春講演会が一月二十六日、熊本市で開催された。講演会には県下各地から同志が集まった。今年で三回目となる講演会には、立憲民主党衆議院義員の矢上雅義氏、国民民主党熊本県連副幹事長の出口慎太郎氏、新社会党熊本県本部書記長の栗原隆氏、くまもと民主連合代表で県議会議員の鎌田聡氏、同じく代表代行の西聖一氏が参加した。また、熊本県平和運動センター事務局長の仲本友三氏、沖縄県人会の許田重治氏などの来賓が参加した。
 まず、党熊本県委員会を代表して渡邉浩同志が「労働党は労働者階級の政党だ。県民の七五%以上を占める労働者を中心に、農民や中小業者など県民大多数のための政治をめざしている」などとあいさつした。
 続いて、「労働新聞」の大嶋和広編集長の講演に入った。
 大嶋同志は冒頭、最近開かれたダボス会議を取り上げ、「従来の資本主義が、格差や環境問題で限界にきたと、資本主義を運営している人たち自身が思うようになった」と述べ、二〇〇八年のリーマン・ショック後の世界経済が借金に支えられてかろうじて維持されていることなどを説明、ダボス会議参加者の多くが「リーマン・ショック以上の危機がくることは間違いない。問題はいつくるかだ」という見方で一致していると指摘しつつ、それを防ぐ手立てもなくなっている状況を指摘した。
 また、国際政治の中で特に大きな問題である米中関係では、「米国は手を変え品を変え、中国への圧迫を続けるだろう。戦争の可能性も否定できないが、そうならないとしても米中の争いは長期に続く」と述べた。さらに、最近の米国の世界戦略について、各地域で有力な国同士を争わせ、「漁夫の利」を得ようとする「勢力均衡戦略」に戻ったと指摘した。
 米国がそうした戦略で、アジアで中国と日本を争わせようとしている中、「日本がどういった国の方向を取るのかがきわめて重要なとなっている」と提起、議会内野党は、この問題でキチンとした対抗軸を持たないと、安倍政権と十分に闘うことはできないことを明らかにした。
 さらに、急速に進んでいる技術革新について、「技術革新が進めば、便利になって、皆が幸せになるはずだが、今は金儲(もう)けをしたい人がその技術を握っている。このままでは膨大な失業者が出ると多くの人が予想している」と述べた上で、「労働者自身、国民大多数が政治を自ら握って、自分たちの利益になるような科学技術の使い方をすれば、生活を向上させ、労働も楽にすることができる」と指摘した。
 さらに、中国の評価や、日本共産党の現状について述べ、「日本共産党は信用できる党ではない」と戦後史におけるさまざまな共産党の裏切りを挙げて、厳しく批判した。
 最後に、「世界の資本主義という生産様式自身が、大きな変革を迫られている時代に入っている。そういう時代だからこそ、資本主義の下で、最も犠牲になる人びと、労働者を中心とする人びとと結びつきを強め、組織をつくる努力をしたい」との決意を訴えた。

積極的な反応次々と

 講演後の質疑時間では「危機はどこから起こるのか、そしてどうなるのか」という質問などが出席者から出された。
 講演会を終えて、ある政治家からは「なかなか示唆(しさ)に富む講演だった」「労働党の活動を見せてもらいました。安倍政権打倒に向けてがんばろう」などの感想が寄せられた。参加した労働者からは「貴重な話を聞く機会をもらい、ありがとうございました。あっという間の講演でした。一時の猶予もなくまったなしの未曾有(みぞう)の局面に立たされていることをがひしひしと感じられた」などのメールも届いた。「労働者の中に党をつくる」という決意を、さらに固め、新たにした講演会となった。


長崎/安倍政権打ち破る真の対抗軸求める声 県政奪取へ闘い呼びかけ 労働運動の役割を強調

 日本労働党長崎県委員会主催の新春講演会が一月二十五日、長崎市で開催された。
 社民党、立憲民主党、国民民主党の各政党の県連役員や地方議員、また労組幹部や市民運動活動家、自営業者などが、平戸市、大村市、島原市、長崎市など県下各地から参加した。
 講演に先立ち、藤井準二県委員長があいさつした。
 藤井委員長は、県内の「基幹産業」といわれる造船業において、三菱重工業が造船部門を売却する動きを見せていることや、県内で5G(第五世代通信規格)をめぐる外資参入が相次ぐなど、技術革新の影響が県経済に大きな影響を与えていることなどを指摘、「こうしたなかで県政は混迷している。県政奪取へ向かう重要な年として各党派の皆さんと協力して闘おう」と呼びかけた。
 講演は、党中央委員会を代表して「労働新聞」の大嶋和広編集長が行った。
 大嶋同志は、講演数日前に開かれたダボス会議を取り上げ、「世界の支配層、現在の資本主義社会を運営する人びとが集まる会議だが、かれら自身が『資本主義の再定義』と言わざるを得なくなっている」と指摘した。さらに「地球環境問題や格差拡大が大きな理由だが、金持ちの利益を代表している各国政権が、本当の意味で労働者・人民の生活を豊かにすることはできない」と喝破した。
 とくに、世界のわずか八人の大富豪が世界の下位三十五億人分に匹敵するほどの資産を独占しているという暴露には、会場から驚きの声が上がった。
 そうしたなか、支配の巻き返しを図る米帝国主義による中国への敵視と包囲が鮮明になってきたことを指摘した。そのなかで、労働党が一九九五年の米「東アジア戦略」発表以降、このような情勢を一般的には予期していたことを振り返り、米戦略研究家による「China2049」や「激動予測」などの書籍も紹介しながら、「米国はアジアで日本と中国を争わせ、世界支配を維持しようとしている。日本の国のカジ取りがますます重大な局面に入った」と指摘した。
 そうしたなか、鳩山友紀夫、福田康夫両元首相の見解を紹介、「参考になるところもあるが、米中関係に関する楽観主義であったり、現実政治で影響力を持つことはできないものだ」と断じた。
 また、危機の深化と絡めて、欧州を中心に台頭する「ポピュリズム」にも言及。右翼勢力だけでなく、いくつかの国では大衆運動と結び付いた「左」派勢力の台頭が見られることを指摘し、「『ポピュリズム勢力』は議会内の闘いで危機を根本的に打開することはできないとはいえ、これらの動きには参考になる点もある」とし、国民生活の課題で果敢に大衆行動を組織すること、とくに労働運動が役割を果たすことの重要性を指摘した。
 この流れで、わが国における選挙だけの「野党共闘」の弱点も指摘した。併せて、小沢一郎氏が八〇年代後半以降、約三十年にわたって保守二大政党制の実現を画策してきたことを暴露した。この動きは続いており、危機が迫るなかで、財界のための「政治の安定」を図ろうとするものであると指摘した。さらに、これに協力する共産党の犯罪性を指摘、最近の第二十八回党大会決議についても「無責任のきわみであり、堕落を深めている」と非難した。
 大嶋編集長は、二時間弱にわたって、分かりやすくかつ豊富な情報・データ駆使し、熱弁を振るった。
 最後に、もっとも虐げられた労働者階級のなかに党組織を建設し、労働運動を発展させるために今まで以上の力を注ぐことを表明、来場者に参加と協力を力強く呼びかけた。
 会場からの質問では、参加した地方議員から「自公与党に対抗する政治的軸をどこにおくべきなのか」という、切迫した質問が出されたり、ロシアの評価をめぐる質問などもあった。
 資本主義の行き詰まり、いつ恐慌が起こっても不思議ではない状況を背景に、世界情勢が激しく流動している。この情勢をどう看破し、いかに闘いを準備するか、労働党の主張を明らかにし、党派を越えてともに考え、闘う重要な機会として成功した。


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