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労働新聞 2019年1月1日号・10面〜11面・労働運動・国民運動

労働運動こそ
政治変革の大きな力


国民大多数の力で
国の進路転換を

 米帝国主義による対中攻勢の激化、貿易世界的な株価の乱高下など、わが国を取り巻く環境はいっそう動乱の様相を呈している。危機の進行は急ピッチで進み、歴代政権以上に対米従属強めるわが国安倍政権を直撃しようとしている。こうしたなか、わが国労働運動はいかに闘うべきか真剣に問われている。また今年は連合結成30年を迎える年でもあり、連合労働運動の総括も迫られるであろう。折しも、フランスでは国民が立ち上がって、マクロン政権を追い詰め、譲歩を強いるなど、各国で労働者を中心とした闘いが広がりを見せている。こうした激動と危機に身構えたわが国支配層は闘う労働運動への敵対を強め、昨年には武建一委員長を逮捕するなど、全日本建設運輸労働組合関西地区生コン支部への一大弾圧に踏み出した。危機にあえぐ敵・支配層の悪あがきを許してはならない。昨年、12月15日に東京で開催された「労働組合つぶしの弾圧を許さない集会」での武谷新吾・関生支部書記次長の発言(要旨)を紹介する。


弾圧に組織拡大で反撃を
武谷新吾・全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部書記次長

 関西地区生コン支部では武委員長をはじめとする僕たちの先輩が産別運動をずっと行ってきました。中小零細企業は大企業から抑圧され、収奪されているという位置づけで、協同組合運動を通じて生コン価格を適正にして、労働者や出入り業者に配分しようというのが関生支部の運動です。
 日本はご存知のように産別運動が認められていないので、労働組合のないところ、労使関係のないところに抗議行動に行ったり、ストライキをすると、「違法だ」ということで法律は大企業のためなのかなと思っています。
 関生支部の運動が大きく前進すると、弾圧が入るというのがこの間、三回くらいありました。一九八二年には業者団体との集団交渉のなかで、大きな成果を上げ、この運動が東京にも広がろうとしてしていました。このときに、三菱鉱業セメント社長で、当時の日経連会長の大槻文平が、「この関生の運動は資本主義の根幹を揺るがす運動だ」「だから、箱根の山を越えさせてはならない」と言い、これが日経連の機関紙に載って、そこから弾圧が始まりました。当時、大阪府警東淀川署に五十人もの専属捜査班が入り、解決金を取ったら、「恐喝だ」と言い、申し入れに行ったら、「強要だ」と。そして、ストライキをしたら「威力業務妨害だ」ということで、先輩たちが多く逮捕されました。 そして、二〇〇五年にも大きな弾圧がありました。これは協同組合を強化しようということで、さらに有力な会社を協同組合に加入させることを約束させたにも関わらず、それを反故(ほご)にした会社に抗議行動に行ったのが、「強要未遂」「威力業務妨害」ということで、武委員長、そして、僕も逮捕されたんです。このときは長期勾留で、武委員長は一年四カ月、僕も約一年勾留されました。
 そして、二〇一五年には大阪の生コン業界が生コンの価格が下落して、どうしようもないということで、大阪の生コン業界の経営者代表が生コン支部に来て、「このままだったら、会社が立ち行かなくなるから、協力してほしい」という要請がありました。そこで、僕たちは「協力することはやぶさかではないけど、一九八〇年来から約束していることを履行してほしい」ということを条件に協力をしました。当時、生コン価格が九千円くらいだったのが、今は一万七千円くらいです(一リューベ=一立方メートル)。それにも関わらず、経営側は労働組合との約束を守ろうとしませんでした。二〇一五年一月に約束したのは、まずは一九八〇年に約束した労働者雇用・福祉基金への拠出、それと出入り業者、セメントを運ぶタンクローリーの運賃の値上げです。これを上げないと、そこで働く労働者の労働条件が上がりません。この二つは生コンの価格が上がったら、業界はやると言っていた。結局、二〇一六年に価格が戻って、一七年には倍くらい上がったけど、経営側はそれを実行しない。そこで、僕たちはこのまま実行しないなら、ストライキを行うと通告しました。ただし、こちらも譲歩しました。もし、計画的に運賃を上げるような覚書を書くのであれば、ストライキを回避しようという提案です。しかし、経営側はその覚書を出さずに結局、ストライキに突入しました。このストライキは成功したのですが、大阪広域協組の理事長らは、「関生のストライキは違法だ」「あれは威力業務妨害で犯罪だ」とキャンペーンを張り、さらに「在特会」系のメンバーを使って攻撃をしてきました。
 それに乗じた国家権力が、「これはチャンスだ」と言わんばかりに弾圧してきたのがこの間の逮捕・勾留です。
 いずれにしてもこの弾圧が誰の利益になるのかを考えてほしいと思います。今でも組織拡大活動などを通じて、良識ある経営者にはいろいろ接触をしています。生コン価格が上がって個社の利益を上がりつつあるかもしれませんが、このまま弾圧が続けば、ゼネコンがいまの高い値段で取り引きしてくれるのかと話しています。また暴力団が弱体化した今、業界が警察の利権にもなると危ぐしているところです。
 今後の方針としては、この関生支部の産別運動の正当性をこれまで以上に訴えたい。この運動は何も利己的にやっているわけではありません。「産経新聞」や大阪広域協組などは関生のことをまるで暴力団のように報道しているが、何を言っているのかという思いだ。一九九五年に阪神淡路大震災があったときに、高速道路の橋脚が倒れました。あれは不良生コンを使っていたから起こったことです。生コンを適正な価格で取り引きしなければ、ああいうことになるんだということを示しています。こういったこともこれから訴えていきたい。
 それから闘う労働組合や市民と共闘して、しっかり、安倍政権を倒さなければいけない。われわれは反戦・平和運動を重視して、盛んに取り上げてきた。
 関生は決定したことは実行する、確認した方針をキッチリ実践することが大事だと思っています。とくにこの弾圧の渦中のなかで、組織拡大にウエイトを置いています。なぜかといえば、六十歳代くらいの未組織の運転手さんが心配している。「武委員長がパクられて大変やなあ。お前らがつぶれたら、俺たちの労働条件も下がるからな。頼むで」。こういううれしい声も上がっているので、とにかく組織拡大をして反撃したい。
 また、学習を強化しようということで、実践に向けて、がんばっていきたい。
 年が明ければ、春闘があるので、経済闘争、思想闘争、政治闘争を三位一体で闘い抜いて必ず勝利したい。
 武委員長の近況ですが、とても元気です。獄中でもすでに、本を二百三十冊を読んだと聞きます。安倍首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」とどこかで言いましたが、こっちこそ、あんな奴らに負けてなるものかと決意しています。


国民大多数の力で国の進路転換を
国民の命売る政治に歯止めを 鈴木宣弘・東京大学教授

 昨年、米中貿易戦争がぼっ発・激化し、これを憂うメディアは安倍政権を「自由貿易を守る旗手」であるかのように描いた。
 しかし、安倍政権の美辞麗句にダマされてはいけない。グローバリズムという国際的な規制緩和や自由貿易を推し進めることは、対等な競争条件で企業が切磋琢磨し、それにより経済全体が発展して皆が幸せになるかのような話は幻想だ。
 では何のためか。グローバル大企業の利益を増やすため、それに尽きる。皆を幸せにするのでなく、皆をいっそう苦しめて自分たちが焼け太るためだ。資金力のある大企業は、政権と結び付いて政治を動かし、スポンサー料でマスコミを動かし、研究資金で研究者も動かして、自分たちの利益を最大化するためのルールづくりをしようとする。それは規制緩和に限らず、時には規制強化の場合もある。米国も参加していた頃の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では、ノバルティスやファイザーなど巨大製薬会社の意向で米国は新薬データ保護期間を二十年に延長するよう要求した。ジェネリック医薬品をすぐには作れないようにするためだ。マレーシアやベトナムは保護を五年と短くして患者の命を守っていたから猛反発したが、日本政府は米国の腰巾着よろしくアジア諸国を攻め立てた。
 これに象徴されるように、グローバリズムとは、皆を幸せにするためではなく、国と結び付いているオトモダチの儲(もう)けのための仕掛けで、安倍政権が国内でやっているオトモダチ優遇とまったく同じ構造だ。
 * * * 
 しかし現在の政治経済システムでは放っておいたら必然的にそうなっていく普遍性がある。新自由主義・シカゴ学派はすべての規制をなくせばうまくいくと言うが、その経済学の根本が虚構だ。現実には、資金力のある人間・組織が出てきて、政治と結び付き、メディアと研究者を動かし、自分たちに有利なルールをつくろうとする。いわゆるレントシーキングだ。そういうことが必ず起きる。完全に自由で対等な市場などこの世にも存在しない。現実を説明するために理論があるのだから、現実を説明できない「理論」は理論ではない。それは単に自分たちの利益のための枕詞として使っているに過ぎない。
 こうした自由貿易・規制緩和に対し、米国では反省や見直しの動きが起きている。TPPに対して、米国民の七八%が反対を表明したが、それは「結局一部の巨大企業が儲かるだけで、国民は幸せにならない。自分たちが安い賃金で働かされるか、途上国の人が安い賃金で働かされて自分たちが失業するか、どちらかだ」と分かったからだ。このような意識がトランプ政権を誕生させることにつながった。だから仮に当選したのがヒラリー氏であってもTPPには対応を迫られていただろう。
 このように、今のエセ自由貿易に対しては世界的に反省の動きがある。それは単なる保護主義とは違う。根底にあるのは政治経済システムの見直しを求める国民の思いだ。
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 世界にはこのような認識がある一方、日本は立ち遅れている。安倍政権のオトモダチの利益追求の政治が大手を振ってまかり通っている異常な状態だ。
 どこの国でも農林漁業は特別な産業だ。食料や環境、地域、国土、国民の命に直結する産業だ。しかし安倍政権は、そんなのはどうでもいい、オトモダチのために儲かるところを差し出せ、という政治をやっている。これまでがんばってきた家族経営は要らない、農水省も要らない、という姿勢で、実際に経産省に吸収する方向で議論を始めている。
 昨年は五月に民有林の森林経営管理法が成立した。「経営意欲の低い経営者」の民有林の管理・伐採を市町村の判断で木材産業に移すことを可能にする法律だが、これはM氏のO社が木材チップを使ったバイオマス発電を始めたが、これがあまり儲からないので、「切りたい山をもっと自由に使わせろ」と要求してできた法律だ。他人の山を「盗伐」して利益は泥棒のものになる。しかも森林環境税という「補助金」まで差し出すひどいもの。
 また年末には漁業法の改悪も行われた。漁業者には海の所有権はないが、財産権として漁業権が漁家の集合体としての漁協に認められている。実は私も漁業権(行使権)を持っており、三重県の伊勢志摩で身内がノリの養殖をしている。しかしこれだと年間五百万円しか売上がない。そこでマルハニチロが「あの漁場はいい。マグロの養殖をやりたい。そうすれば三億円の売上が認める」と言った時、それを知事の判断で「鈴木さんとこは非効率だからマルハニチロに権利を付け替えるので、(代々そこに住んで前浜で生業を続けてきた)鈴木さんは出ていけ」という法律だ。憲法二十九条違反である。
 これまで資源と生活とコミュニティを守ろうと地域でがんばってきた人たちから好き放題に収奪する「今だけ、カネだけ、自分だけ」のオトモダチには何でもする。そういう政治が今まさに総仕上げの段階に来ている。
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 こうした政治の暴走に歯止めをかけるには、協同組合や労働組合などの共助・共生組織が社会システムにしっかりと組み込まれて拮抗力となることが必要だ。逆にだからこそオトモダチ政治は、協同組合などを「存在してはならない障害物」として「既得権益」「岩盤規制」と言ってつぶそうとする。労働組合はすでに骨抜きにされ、JA組織も解体の危機なのに委縮させられている。現場の農家にはもどかしい思いが強まっている。
 しかし世界を見ると、先ほど述べたように見直しを求める声は大きくなり、運動が発展している。日本の種子法廃止の首謀者であるM社は、世界各国で同じようなことをしているが、中南米では対抗法を求める大運動が起こり、実際に同社の策動をつぶし始めている。韓国では農業の多面的機能などを憲法に位置付けるよう求める一千万署名運動が取り組まれ、短期間で目標を超過達成した。
 日本でも、農業者だけでなく消費者も巻き込んだ運動を地域から起こすこと、国民の命と未来を守る政治を訴える声を高めること、今年はこれまで以上にこのことが強く求められる。


新春メッセージ/消費税の税率引き上げを阻止しよう
湖東京至・元静岡大学教授(税理士)
 安倍政権はいよいよ本年十月に消費税率を一〇%に引き上げるとともに、わが国で初めて複数税率制を導入することとしました。すなわち標準税率一〇%のほか軽減税率八%を設けるというのです。軽減税率の対象となるのは、飲食料品(外食と酒類を除く)と定期購読新聞(週二回以上発行のものに限る)としています。
 軽減税率対象のものは値上がりしないように思いますが、そんなことはありません。すでに大手食料品メーカーは二〇一八年中に軒並み値上げを完了しています。中には量を減らしたものもあります。値段を付けるのは企業の自由です。軽減税率のものが値上がりしない保証はないのです。また、外食は標準税率の一〇%、持ち帰りは軽減税率の八%となっていますが、お店は混乱するので同じ値段をつけるに違いありません。つまり、軽減税率は経済的には存在しないのです。軽減税率は明らかなごまかしです。
 そのうえ、事業者にはインボイス方式といって、税務署長が付番した事業者登録番号を付した領収書や請求書をやり取りしなければならなくなります。つまり、正式の(公的の)請求書・領収書で取引を監視しようというのです。正式の領収書や請求書と紛らわしいニセの請求書・領収書を発行すると懲役一年以下、五十万円以下の罰金が科せられます。
 安倍政権は景気対策と称して、キャッシュレスで買い物をした人に五%のプレミアムを付けたり、金券を配ったりするとしています。取って返すなら、最初から取らない方がよいではないですか。消費税は存在するだけで景気後退を招く悪税です。税率引き上げの都度、景気後退を招くことはすでに実証済みです。
 それでも税率引き上げに踏み切るのは、財界の強い要求によるからです。財界はなぜ税率引き上げを歓迎するのでしょうか。消費税には輸出企業に還付金を与える仕組みがあるからです。トヨタ自動車をはじめ、わが国の大企業は消費税を納めないどころか、毎月、毎年巨額の還付金を税務署からもらっています。そのため、彼らは消費税の税率引き上げを行っても痛くもかゆくもないのです。そればかりか、税率が上がれば上がるほど還付金が増えるのです。そのため、早くヨーロッパ並みの二〇%まで引き上げろと主張しているのです。
 安倍政権と財界の陰謀を見破り、来るべき統一地方選挙、参議院選挙で野党が一致して「消費税の税率引き上げ阻止」を掲げて勝利し、安倍政権を退陣に追い込みましょう。そして、カナダのように税率を徐々に引き下げ、マレーシアのように消費税を廃止させましょう。
 一九年を消費税廃止の第一歩を築く年にしましょう。


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