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労働新聞 2018年1月1日号・14面〜16面

2018 新春各界メッセージ

要旨・見出しは編集部による
(順不同・敬称略)

「憲法活かす政治」実現に全力
社会民主党党首 吉田忠智
 新年明けましておめでとうございます。
 社民党は昨年の総選挙で「憲法を活かす政治」を掲げ、民意を無視する安倍暴走政治に終止符を打ち、大企業・富裕層優遇の政治からの転換と戦争する国に歯止めをかけるため全力で闘いました。厳しい選挙でしたが、多くの方々にご支援・ご協力を賜り心から感謝いたします。
 国会では、「共謀罪」法案の強行採決をはじめ、文科省の天下りあっせん問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題、安倍首相の関与疑惑が浮上した森友学園・加計学園問題など、政府与党の「権力の腐敗」がいっそうきわまり、国民の政治不信を招きました。特別国会でも「謙虚、丁寧」とは真逆の横暴な政治姿勢は変わっていません。国会を軽視する一方で、実質破綻している環太平洋経済連携協定(TPP)や沖縄・辺野古新基地建設、オスプレイ飛行訓練、原発再稼働が強行され、国民生活に大きな負担と不安をもたらしています。
 この流れを止めるため、引き続き社民党が要石となって野党共闘と市民の皆さんとの連携を強め、国民生活最優先の政治を私たちの手に取り戻さなければなりません。
 今年は、安倍暴走政治の総仕上げと言える憲法改正が重要な政治課題となります。自民党は、自衛隊の明記や朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)問題を改憲の口実としていますが、本当の狙いは米国に追従して日本を「戦争する国」に変えていくことです。「脅威」をあおって軍事増強を図るのではなく、米朝の対話を促して平和的解決を追求することが日本政府の役割であり、国益にも繋がるはずです。
 また今度の通常国会には、働き方改革関連法案やカジノ実施法案、TPP11(CPTPP)の国会承認と関連法改正案など重要法案の審議も予想されます。国民の暮らしと平和国家としての歩みが岐路を迎える正念場の年です。社民党は、憲法改悪を許さず、いのちと暮らしと雇用を守る「憲法を活かす政治」の実現に全力を尽くします。
 結びとなりますが、本年の皆様方のご健勝、ご活躍を祈念しメッセージとさせていただきます。


貧困・格差、原発・基地ない社会を
新社会党中央本部委員長 岡崎ひろみ
 二〇一七年の衆院総選挙では自公与党政権の三分の二議席以上の確保を許してしまいました。野党第一党の民進党が分裂し、野党協力の態勢が破壊されたことが最大の原因です。しかし、立憲野党の前進を支えてきた全国の市民の奮闘で立憲民主党を野党第一党と押出し、立憲政治を守る砦を守ることができました。あらためて、この共闘の流れを大きく深化させることこそ歴史を進める大道であることを証明しました。
 新社会党は「市民と野党の共闘」の一員として、統一候補・立憲野党一本化に全力で努力しました。兵庫九区では、圧倒的現職の壁に敗れたとはいえ、菊地憲之候補が立憲野党の推薦を受け闘いました。
 情勢は待ったなしです。安倍自公政権は労働と雇用、医療・福祉、子育てから大学教育まで、新自由主義国家体制への完成に向け、改憲の道を暴走しています。
 新社会党は来る憲法決戦はもとより、あらゆる局面での労働者・市民と野党の共同・共闘の強化に全力を尽くします。共に共闘の拡大に努力しましょう。


日本の歴史認識が問われる年
自主・平和・民主のための広範な国民連合代表世話人 西澤 清

 世界情勢が激動しています。中東、アフリカ、欧州、アジアと力と力のぶつかり合いが至る所で起きています。先進国と新興国・発展途上国の覇権交替が行われており、経済でも武力でも一極支配を続けてきた米国の力量が著しく低下してきています。
 こうした緊張の中で、日本では、安倍政権が「憲法に基づき平和を維持する」と決して言わず、逆に「力の対決」を世界中で言いふらしています。このことは「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい」と思う国民の誇りを失わせています。
 にもかかわらず、昨年の総選挙を敵失で大勝した安倍政権は、戦争法、共謀罪、特定秘密保護法などを明文として憲法に位置付けるための「国民投票」を来年の参院選をもにらみながら実施に向けて着々と政治的手段を講じつつあります。日本会議など憲法改悪の走狗(そうく)となっている集団は、改憲のため三千万票獲得をめざす一方、「安倍九条改憲NO! 全国市民アクション」も同様に三千万票獲得を目標に署名運動を進めています。現憲法施行以来はじめての改憲をめぐる状況は緊迫してきています。
 今年は、薩長の倒幕クーデターから百五十年目です。安倍政権は、一九六八年と同様に「明治百五十周年」を祝うとして、マスメディア総動員して明治を賛美する歴史をつくろうとするでしょう。すでにNHK大河ドラマ、今年は「善人」である「西郷どん」です。
 急激な歴史の変化の中で、今年ほど私たちの歴史認識が問われる時はありません。「心の中の明治」を一度否定してから認識を鍛える必要があります。その努力を重ねることがアジアの一員として、近隣諸国と連帯し、友好を含め、真に独立した平和な日本をつくり上げることになります。


東アジア平和と朝日関係改善を
在日本朝鮮人総聯合会中央本部国際・統一局
 謹んで新春のお喜びを申し上げます。
 私たちは皆さんが、独立と自主、アジアとの共生、労働者の権利拡充のための運動を果敢に繰り広げておられることに敬意を表します。また、民族教育をはじめとする在日朝鮮人の諸権利の擁護、日朝国交正常化と朝鮮の自主的平和統一をめざす運動に変わらぬ声援を寄せてくださっていることに、心より感謝申します。
 昨年は、米国とその追随勢力による対朝鮮圧迫政策によって、朝鮮半島情勢がいつになく緊張した年でした。
 朝鮮労働党第七回大会(二〇一六年十月)で金正恩委員長は、大国によって公正性が踏みにじられている今日の国際社会において、国際的正義は自ずと実現されるものではなく、反帝自主的な国々の力が強くなってこそ実現できると指摘しました。
 周知のようにわが国は徹頭徹尾、米国によって核保有と、その強化発展を余儀なくされました。
 昨年、九月に行われた大陸間弾道ロケット装着用の水爆実験と、十一月に行われたICBM「火星15」型の発射実験の成功をはじめとする、各種ロケット発射実験の成功によって、七十年にわたる米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇に終止符を打ち、朝鮮半島における核戦争を抑止するもっとも有力な手段を得たと言えます。
 わが国の戦略的地位は飛躍的に高まり、アジア・太平洋地域における地政学的価値も急速に向上しており、米国の一方的な脅威にさらされてきたこれまでの構図は大きく変化しています。
 米国を頂点とする帝国主義勢力が徐々に衰退・没落し、世界的地殻変動が起こる中、わが国は、金正恩委員長の賢明な指導のもと、反米自主化闘争で最終的勝利をおさめるとともに、自主的で公正な新しい国際秩序構築をリードしていくことでしょう。
 今年は祖国、朝鮮民主主義人民共和国創建七十周年を迎える私たちにとって大変意義深い年です。
 私たちは、今年も東アジアの平和と朝日関係改善のために、特に日本政府が不当な「制裁」を撤回し、朝鮮総聯に対する政治的弾圧と民族教育をはじめとする在日朝鮮人に対する人権蹂躙行為を直ちに中止するよう要求しながら粘り強く闘っていく所存です。
 私たちは今後も、平和を愛し差別に反対する広範な日本の方々が私たちの闘いに連帯して下さることを願ってやみません。
 新年を迎え、皆さんのご健勝とご多幸を心より祈念いたします。


人権と平和の確立めざし闘い強化
部落解放同盟中央執行委員長 組坂 繁之
 昨年の衆議院総選挙は、再び与党に三分の二の議席を許すという厳しい結果となりました。私たちは、人権や平和、民主主義の確立を求める政治勢力の結集を訴えてきた運動を総括し、「戦争をする国」づくりのために憲法改悪攻撃をいっそう強める安倍政権との対抗軸をしっかりと打ち立てる協働の作業を進めなければなりません。
 この間、安倍政権は沖縄での辺野古新基地建設の強行などで明らかなように、対米従属のもとでの日米軍事同盟の強化にむけた体制づくりを進めようとしています。
 しかも、貧困や格差が深刻化しているにもかかわらず、社会保障制度の削減や労働法制の改悪による低賃金や不安定就労が固定化され、また社会への不満や不安がヘイトスピーチなどのような差別排外主義と安易に結びつき、公然と差別を扇動する差別状況が生み出されています。
 私たちは、こうした社会的政治的情況に抗して、部落差別に反対する幅広い取り組みを進め、「部落差別解消推進法」を制定することができました。この法律は、いまだに部落差別が存在することをふまえ、あらためて「部落差別は社会悪である」ということを明確にし、国や自治体による部落差別撤廃に向けた相談体制と教育・啓発の充実、実態調査の実施などが盛り込まれています。
 今後とも、反差別共同闘争を発展させ、いまだに部落の地名をインターネット上に掲載し、差別を拡大、拡散する確信犯的で悪質極まりない差別事件や、結婚差別事件が起こるこの社会の差別構造を変革していくことが求められています。また、半世紀を超えた狭山の闘いも、数多くの新証拠によって石川一雄さんの無実は明白です。今年こそ、再審実現を勝ち取っていかなければなりません。
 私たちは、こうした部落解放運動の課題と取り組むとともに、戦争と差別に反対し、人権と平和、民主主義の確立をめざした協働の闘いを強化に取り組んでいきます。「部落差別解消推進法」の制定を大きな契機としながら、多くの人権課題、差別問題の取り組みと連帯・協働しながら、ともに総合的な人権の法制度の確立をめざしましょう。


食料安全保障の大切さ訴える
全国農業協同組合中央会会長 中家 徹
 昨年は、台風や集中豪雨など、全国各地で多くの皆様が自然災害に見舞われております。被害にあわれた皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
 現在、JAグループは三つの危機にあると認識しています。「農業・農村の危機」「組織・事業・経営の危機」「協同組合の危機」であります。
 高齢化や担い手不足などにより、農業・農村の基盤は縮小するとともに、JAグループの組織基盤が弱体化し、各事業の取り扱いが減少して、JAの経営も悪化傾向にあります。そして、今般の農協改革にまつわる批判には、協同組合を否定するようなものもあります。これら危機による負のスパイラルを止めるためにも、「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」の実現に向けた、JAグループの自己改革を成し遂げることが最大の使命と考えております。
 一方、日本農業の生産基盤弱体化は待ったなしの状況にあります。直近の食料自給率は三八%に低下し、先進国の中で最も低い水準です。今後いくら増産しようとしても、「つくる力」、すなわち「自給力」が失われかねない状況です。
 先般、スイスで食料安全保障の大切さを盛り込んだ憲法改正が、国民の八割の賛成を得て行われました。また韓国では農協中央会の主導で農業の公的価値を憲法に盛り込むための署名運動が行われています。
 こうしたなか、日本においては、「食料・農業・農村基本法」のなかで、「食料の安定供給の確保」が明記されていますが、われわれの命の源となる「食」について、あらためて、国民・消費者の皆様とともに、考えてまいる所存であります。


運送業界の健全発展へ尽力
全日本トラック協会会長 坂本 克己
 昨年六月に開催されました通常総会ならびに理事会におきまして全日本トラック協会の会長に就任し、初めての新春となりました。
 現在、景気の回復傾向に伴い人手不足感が非常に強まっております。労働条件が一般産業と比べて厳しいトラック運送業界では、ドライバーの確保がいちだんと難しくなっている現状があります。各地からご要望を頂戴してまいりました中でも、多くの地域でドライバーの確保が喫緊の課題になっていることを改めて実感いたしました。
 全ト協としましては、ドライバーの確保はもちろんのこと、諸課題の解決に向けて業界の総力を結集して取り組んでまいる所存であります。
 トラック運送業界が健全な発展を成し遂げるためには、何よりもまず、現場で働いておられるドライバーが、仕事に対してやりがいを持ち幸せに感じていただくことが必要です。さらに、トラック運送業界で働く方々が誇りを持って仕事としていただくため、「輸送の安全確保」が必要になってまいります。
 全ト協としましては、ドライバーの安全対策に引き続き力を入れていくとともに、健康起因事故防止のための対策も進めてまいります。
 さまざまな施策を通じて「魅力あふれるトラック運送業界の実現」をめざし、新たな気持ちで精力的に取り組んでいくことをお誓い申し上げます。


闘いの飛躍的な発展の年に
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長 武 建一
 過る一年間、国の内外がめまぐるしく激動・変化した年でした。支配者は行き詰まり、国民への搾取と収奪の強化、他国民への戦争を実行しようとしています。この道を走り続けているのが自民、公明、追随勢力が維新、希望の党です。今回の総選挙はこのことがより鮮明になったと思います。
 沖縄・高江へのヘリパッド建設、辺野古新基地建設強行、オスプレイ、ヘリ墜落事故が続出してるのに民意を無視しています。
 われわれは沖縄現地での闘い、本土でのストライキ、沖縄意見広告運動など全力を尽くしこの闘争勝利まで闘います。
 戦争法案、共謀罪については悪法であり、この廃案をめざす闘争はこれから本格化しなければなりません。憲法改悪は断固阻止します。大本営発表とは戦前政府発表を鵜(う)呑みにした新聞発表でしたが、こんにちのマスメディアはまさに大本営発表と化しています。権力に迎合し、国民の権利の抑制側に立っているマスコミに対し真実の報道を求め歪んだ報道姿勢を是正するには具体的大衆行動が必要です。
 韓国労働者の闘い、沖縄、福島各民衆の闘い、関生型運動の全国化と着実に運動は発展しています。その原動力は構造的資本主義の行き詰まりであり、人民への敵の攻撃が人民の団結条件をつくっていることにあります。このような影響を受け、中小企業が九九%の生コン関連産業においては関西二府四県で大きな変化が生まれています。府県単位に広域協同組合または連合会が設立されたこと、労働組合との協力・連携活動が前進したこと、このことにより製造業では値戻し値上げが実現したこと、出入り業者の運賃引き上げに成功したことであります。これは長年にわたり産業民主化、経済民主化を掲げ闘ってきた労働組合の粘り強い闘いの成果です。
 労働組合は二〇一五年五月、六つの労働組合が連合会を結成し、二カ月に一度、近畿二府四県三百五十社との政策懇談会を実施しています。春闘時は集団交渉により賃金、雇用、労働条件を取り決めています。労使共同による学習会の定例化を実現しています。関生支部は労働学校を開校し若者を中心とした人材育成に取りかかっています。昨年六月にスタートした職種別、職業別労働組合の研究会と職業別研究会をスタートして関生型運動の全国化に向けた活動が本格化しました。
 国際連帯運動としてソウル宣言の会への参加、一六年モントリオール、一八年スペイン国際大会参加により関生の国際化が広がっています。
 新年度は今までの活動を飛躍的に発展させ、各協同組合組内における関生の織率六〇%確保が射程距離に入った段階にきている年です。


朝鮮半島の平和に尽力する
元参議院副議長・弁護士、自主・平和・民主のための広範な国民連合代表世話人 角田 義一
 新年、明けましておめでとうございます。
 昨年は激動の一年でした。朝鮮半島をめぐる事態が緊迫し、戦争前夜を思わせる様相を呈しておりました。朝鮮の核実験やミサイル発射は、被爆国・日本の国民としては到底容認できるものではありません。しかしことの本質は、朝鮮半島がいまだ戦争状態にあることです。そのためお互いに軍事演習を行っていますが、容認できないのは、米国がB1爆撃機を飛ばし、核攻撃で朝鮮を破壊しようとしていることです。
 今求められているのは、休戦協定を平和協定に転換し、平和共存政策をとることです。これしか解決の道はありません。安倍首相の圧力一辺倒では戦争の危機をあおるだけで、何ら解決の目途は立ちません。
 今、朝鮮をめぐる潮目は変わり、対話を求める声が日々高まっています。われわれとしても「戦争を絶対に許さない」との覚悟で、今年も真剣に取り組んで参りましょう。


沖縄から国政を問い続ける
前衆議院議員(沖縄4区) 仲里 利信
 新春のお歓びを申し上げます。
 新年を迎えるに当たり、皆様におかれましては、昨年の思いや憤りをバネとして、改善に向けて新たな気持ちで臨まれていることと存じます。新たな年がより良き年となるよう衷心より祈念いたしております。
 さて昨年、安倍政権はモリカケ問題や財政のひっ迫問題に対する国民や野党の追及を避けるため委員会や臨時国会の開催要求をひたすら無視し続けました。
 その一方で、朝鮮の核・ミサイル開発と度重なる実験を「国難」としてコトある毎に大げさに吹聴し、世論調査による支持率が持ち直したと見るや、安倍首相の一存で憲法の根拠が不明のままに抜き打ち的に大義の無い衆議院解散を強行いたしました。
 そして選挙の結果、わずか四割の得票率しか得られていないのにも関わらず、小選挙区制度の歪みで八割の議席を占めたことをもって「安倍政権が支持された」と声高らかに主張し、またあたかもモリカケ問題のみそぎは済んだとして、国会審議にまともに取り合おうとしません。
 しかも選挙期間中は一言も口にしなかった改憲問題や委員会での与野党の質問時間割合の見直し問題を持ち出すなど、強権的な政治姿勢をいちだんと強めてきています。
 また特別国会における答弁では「丁重に説明する姿勢を積み重ねたい」と言っておきながら、野党への質問には紋切り型の答弁や事務方への責任転嫁で対処し、与党の「首相をヨイショする提灯質問」には相好を崩して関係のない事柄まで延々と答弁する有様です。
 そこにあるのは、正に数におごった、独善的な思いが透けて見えるだけであり、私は、このままではわが国の議会制民主主義が危機的な状況に陥り、ひいては崩壊へと向かうのではないかと危惧しているところであります。
 ところで、安倍政権の政治姿勢や政策を注視すると、ことさら目に付くのが世論調査に基づく内閣支持率の変動が大きな影響を与えているのではないかと思われることです。
 たとえば、支持率が減少すると教育無償化や労働者の賃金改善など国民人気目当てのばらまき政策を相次いで打ち出し、支持率が回復したり横ばいしたりすると強気となって国民に負担を強いる介護保険料や医療費負担を増額し、また企業負担を小さくする企業の法人税の減税、専守防衛を大きく踏み出すミサイルの導入と防衛費の大幅増などをさりげなく実施することなどであります。
 いずれにしても、目に付くのは安倍政権や自民党等が打ち出している政策や政治姿勢は、ひっ迫する財政を解決するための中長期的な展望を見い出せず、その結果、具体的な内容や解決策を構築できないことから、その場しのぎの当座の対処策に終始していることであります。そして、何よりも悪いことは、安倍総理以下、誰もその責任を取ろうとしないということであります。
 私は、残念ながら先の衆議院議員選挙で下野いたしましたが、安倍政権のこのような為体を見て、わが国の行く末を憂い、今後は一市民として声を上げ続けていく所存であります。
 また、引き続き「労働新聞」読者の皆様と連帯することにより、国民的な運動へと繋げていき、わが国が少しでも住みやすくする国になるよう改善に努めていきたいと考えております。


アジアとの平和へ一歩を
東京大学教授 鈴木 宣弘
 「ずるずると米国の要求に応え続ける政治・外交姿勢から脱却すべきだ」と言うと、必ず、返し刀で言われるのが「日米安保で守られているから」。対米従属を国民に納得される「印籠(いんろう)」である。政策遂行に非常に都合がいいから、政治・行政は「日米安保の幻想」を隠す。
 実は、米国では朝鮮の核ミサイルが米国西海岸のシアトルやサンフランシスコに届く水準になってきたから韓国や日本に犠牲が出ても、今の段階で朝鮮をたたくべきという議論が出ている。米国は日本を守るために米軍基地を日本に置いているのではなく、米国本土を守るために置いている。トランプ大統領が安倍首相に話したという「米国は常に日本とともにある」(邦訳)の原文が「US stands behind Japan 100%」なのは象徴的である。
 東アジア諸国との敵対をあおり、米国にひたすら追従し、再びアジア諸国への武力攻撃の機会を伺う日本の現政権の恐ろしさを強く認識し、アジア諸国との真の平和的連携の一歩を今年こそ踏み出さなくてはならない。


憲法違反の増税許さぬ
元静岡大学教授・税理士 湖東 京至
 安倍政権は二〇一九年十月に消費税率を一〇%に引き上げ、その増税分を子ども・教育に使うと言って衆議院選挙を乗り切りました。これは明らかなごまかしです。
 ごまかしの第一は、消費税は目的税ではなく、一般財源として徴収されるものですから、特定の支出に充てることは適いません。つまり、消費税の税収は法人税や所得税などといっしょくたにした上、政府の歳出に振り分けられるのです。ですから消費税は、軍事費や公共事業費、国債の返済やその利子、社会保障費にもなにがしか使われるわけです。これは財政の基本的なあり方であり、首相が知らないはずはありません。
 ごまかしの第二は、税金の使い道は憲法の理念に沿っていなければならないということです。憲法は平和主義、国民主権主義、福祉社会建設を要請しています。であるとすれば、税金はまず、社会保障に使わなければなりません。軍事費やムダな公共事業に使ってはならないわけです。それをわざわざ「子ども・教育のために使う」というのは、税金を社会保障に使っていないことを意味しています。安倍内閣の税金の使い道は憲法に違反しているのです。それをごまかすためにこう言ったのです。憲法違反の使い道を合憲にするため安倍政権は憲法改正を急いでいるのです。
 安倍内閣のごまかしを見破り、一九年の大増税と憲法改悪を阻止するため、ともに力を合わせて一八年を闘い抜きましょう。

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