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労働新聞 2017年11月25日号 3面

広範な国民連合
三重県伊勢市で全国総会

平和と自主の政治勢力へ

  自主・平和・民主のための広範な国民連合(以下、国民連合)の第二十三回全国総会が十一月十八日、十九日、三重県伊勢市で開催された。全国から約二百人が参加、熱心な討論を行い、二年間の全国の活動と激変する内外情勢評価を踏まえ、新しい方針や役員体制を決定、確信にあふれる総会となった。


 初日冒頭、現地実行委員長をとつめた中村進一・三重県議会議員(全国世話人)が伊勢市の文化と運動の経過をふまえた歓迎のあいさつを行った後、全国代表世話人の西澤清氏が主催者を代表して「今は大きな歴史的激動のさなか、憲法問題などでこの国のあり方が問われている。全国での活動の経験を出し合い、討論を活発にし総会を成功させたい」と挨拶。
 来賓として舟橋裕幸・三重県議会議長、川内博史・衆議院議員、大谷篤史・全国農団労書記長が激励と連帯のあいさつを行った。
 次いで、各界からの発言として、角田義一元参院副議長、北原守・福岡県日朝友好協会会長、山内末子・前沖縄県議、萱原成樹・全日建連帯労組関西生コン支部執行委員の四氏が発言。北原氏は、最近の九州での訪朝団を報告、「日朝の平和、友好関係を強め、米朝対話による解決を求める世論の喚起が重要」として、全国の地方議員による大規模な訪朝団を提起した。山内氏は、相次ぐ米軍犯罪・事故と治外法権の現状に触れ、「沖縄は政治から排除されている。七十二年間の苦しみを経て『沖縄はあきらめない』を合言葉に、オール沖縄で闘っている」と発言した。
 北海道農民連盟、日本の種子を守る会、全日本トラック協会、部落解放同盟中央本部、佐賀空港への自衛隊オスプレイ等配備反対地域住民の会のほか、全自交労連、全港湾、全農林、全国農団労など労働組合、社会民主党、新社会党、また国会はじめ各級の推薦議員、中国国際交流協会、朝鮮総聯などから数多くの祝電・メッセージが披露され、国民連合の活動と連帯の広がりが示された。

丹羽宇一郎氏が記念講演
 記念講演は、「混迷を深める世界、日本の将来を考える」と題して日中友好協会会長で元駐中国大使の丹羽宇一郎氏が行った。
 丹羽氏は「複雑な国際関係の中で日本が生きていく際に、内部に隠された構造(日米合同委員会のこと)がある。日本には主権さえなく、米国にバカにされている。日米地位協定の問題は何一つ解決されず、沖縄は犠牲にされ野党もそれを見過ごしている」として、米国いいなりの政治を批判した。そして、日本、中国のそれぞれの国力について、人口、面積、名目国内総生産(GDP)、軍事費、科学者数などのデータをあげながら、日本はすでに中国に大きく後れており、国際関係についての正しい認識が必要だとしたうえで、「米中の大国間関係に巻き込まれず、挑発のグループに入らず、戦争に近づかない外交をすべき」と話した。
 また、「五大国、インド、パキスタンも核を保有し、朝鮮だけが持ってはいけないとなぜ言えるのか。こうしたことを勇気をもって発言する人が少ない」「安保法制、共謀罪、九条改憲など安倍政権になって戦争に近づいている。行動を起こしていこう」と力強く呼びかけた。
 財界人で、外交に深くかかわってきた同氏が、「戦争に近づかない自主外交」など、国民連合の政治方向を支持し、対米従属政治からの脱却を明快に語った意義は大きい。
 議事終了後、「交流懇親会」が開かれた。吉田伸代表世話人のあいさつの後、地元伊勢市選出の廣耕太郎・三重県議会議員の音頭で乾杯、交流と懇親が行われた。全国からの参加者とともに、多くの三重県議会議員や伊勢市議会議員をはじめ友人たちが参加した。

情勢認識と課題を討論
 二日目は、武者小路公秀代表世話人のあいさつで始まり、この期間の活動や内外情勢、方針について、活発な討論が交わされた。
 世界経済は成長鈍化、米中関係が逆転しつつある歴史的転換期を迎え、全世界で貧困化と格差が拡大、世界中の国々で国内対立も国家間対立も激化している。米国は軍事力を背景にした戦争策動を行い、当面して朝鮮半島をめぐる戦争の危険が著しく高まっている。
 戦後の対米従属政治は完全に限界にきた。国民大多数はアベノミクスの下で生活が成り立たず、輸出大企業、資産家はばく大な利益を上げた。地方の疲弊が進行し、対米従属の原子力政策は国民生活を破壊した。
 国民の不満は増大し、政治の変革を求めている。
 対抗軸を示せない野党の弱さが安倍政権の継続を許している。一方で財界、マスコミ、自民党内にも日米同盟への動揺と亀裂が広がっている。平和、自主外交を実現する政権をめざす、そうした新たな勢力形成がますます求められ、可能な情勢である。
 こうしたなか、各地の国民連合は、辺野古新基地建設反対や日米地位協定の抜本改定を求める闘いや、環太平洋経済連携協定(TPP)批准阻止の闘い、朝鮮半島での米国と安倍政権の戦争挑発に反対する集会などでの世論喚起に積極的に取り組み、国民各層の連合を促進してきた。
 福岡からは、県南でTPP問題、県北で辺野古への土砂搬出に反対する集会、また佐賀空港へのオスプレイ配備反対の集会など、地域の運動に貢献したことが報告された。全県に国民連合の影響と組織を広げつつある経験は、参加者の確信となった。神奈川からは、第二の基地県であることから地位協定の抜本改定をめざす運動を組織し、黒岩県知事に態度を迫っていることが報告された。
 また、国民連合が事務局を務める全国地方議員交流会は福岡(第十三回)、北海道(第十四回)で開催され、それぞれ全国から百五十人を超える地方議員が参加した。国の進路や地域経済、地方自治問題、反県民的な首長を取り替える課題などが提起され、政府と対峙(たいじ)する地方議員の連携が進んだ。
 昨年の参議院選挙や今年の衆議院選挙前には、日本が直面している課題と選挙の真の争点を明らかにするパネルディスカッションを開催した。国政選挙や沖縄県うるま市長選挙など各級選挙で、国民連合の趣旨に賛同する候補者を積極的に推薦、支援し、当選のために奮闘するともに連携を広げてきた。
 これらを通じて、機関紙「日本の進路」と国民連合賛同会員が増加し、ホームページの閲覧数も急増していること、また数カ年不活発だった県組織が活動を再開した経験も出された。
 これらの前進をふまえつつ、さらに国民の怒りを結集して闘い、全国的な影響力を持つ「自主・平和・民主の日本をめざす新しい政治勢力」の登場を促していこうと呼びかけられた。

戦線構築に展望広がる
 以降の方針として、闘うべき全国的課題として、(1)対米従属政治に反対する国の進路の課題(戦争反対、アジアの平和・共生、自主外交)で国民運動を大きく発展させる。各方面での日朝間の民間交流促進とともに、大規模な「全国地方議員訪朝団」を組織する、その他日中の民間交流、韓国の国民運動との連携など。(2)沖縄県民の普天間基地の即時閉鎖・すべての米軍基地撤去、新基地建設反対の闘いを支持し、全国で連帯して米軍基地撤去の闘いを発展させる。来年の名護市長選、沖縄県知事選で現職再選、全国各地でのオスプレイ反対、日米地位協定抜本改定を求める運動、(3)国民生活、国民経済の危機打開、(4)軍事大国化、教育、司法反動化に反対する、の四点が確認された。
 また、都道府県組織を強化発展させるとして、会員を増やし、会員の地方選挙への立候補を積極的に応援することなど、政治的影響力を広げるために「日本の進路」を普及・拡大すること、全国体制を強めることなどが提起された。
 討論の中で、露木順一氏(元神奈川県開成町長、日本大学教授)は、地方議員訪朝団に賛同した上で、「国民連合は対米一辺倒の政治を変えることを明確にしている日本で唯一の団体だ。カギは、どうやってメシを食べるのかをめぐる運動や政策だ。それを基礎に県知事を替えていく闘いが必要だ」と提案した。組織強化の経験についても福岡の経験が報告され、各県、地域での組織づくりをより積極的に進めていこうとの呼びかけがなされた。
 新たに元参議院副議長の角田義一氏が代表世話人に就任するなど、新役員体制が承認された。新事務局長には山本正治氏が就任、討論のまとめを行った。
 代表世話人の佐々木道博氏が閉会あいさつをった。

 全国総会は活気に満ち、今後の方針、課題も鮮明で、一つの画期をなす総会となった。急テンポで展開する情勢のなか、労働者階級はじめ農民、中小商工業者など勤労国民に基盤を置き、独立自主を旗印に結集する統一戦線組織の発展が今こそ求められている。


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