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労働新聞 2017年9月5日号 5面・国民運動

福岡/オスプレイと
新基地に反対し県南集会

運動の連携と発展を確認

 安倍政権が佐賀空港(佐賀市川副町)に自衛隊が導入予定の垂直離着陸機オスプレイの配備を計画、これに対し地元の漁業者など住民からの反対の声が高まるなか、福岡県柳川市で九月三日、「恵みの海・豊かな大地を守ろう! 県南集会〜辺野古埋立土砂搬出・オスプレイ佐賀空港配備を許さない」が開催された。この集会は、五月二十日に北九州市で開催された「ふるさとの土は一粒たりとも戦争に使わせない! 福岡県民の集い」に連動するもので、県南地域で沖縄県名護市辺野古の新基地建設のための土砂搬出反対と佐賀空港へのオスプレイ配備反対の世論を高めるために取り組まれた。
 集会には主催者の予想を大幅に超える二百五十人が参加した。これまで独自に活動してきた柳川、八女筑後、大牟田などの県南地域のそれぞれの市民団体や個人が共同して実行委員会を組織、教職員組合や退職教職員協議会、部落解放同盟、自主・平和・民主のための広範な国民連合・福岡などの協力を得て取り組みが進められ、運動の広がりと高まりを確認する大きな意義のある集会となった。
 集会では実行委員長の開会あいさつに続き四人が基調となる報告を行った。
 辺野古埋め立て土砂搬出反対北九州連絡協議会の八記久美子事務局長は、埋め立てられようとしている辺野古の大浦湾は、海洋生物が五千三百種以上生息する命あふれる豊かな海であること、そこを埋め立てようとしている工事計画の概要、埋め立て土砂搬出計画と当該地区での反対運動などについて報告した。また採石場のある地域はすでに環境や景観の破壊が進んでいることや採石に特定外来種の混入が危惧されることなどが紹介された。
 高江現地行動連絡会の仲村渠政彦共同代表は、基地建設反対運動の根源として人権・平和・環境・自治があることをふまえて報告した。沖縄防衛局は四月二十五日から護岸工事に着手したが、三月に沖縄県知事による岩礁破砕許可が期限切れしており、以降は許可を受けていない違法工事であること、また海底が琉球石灰岩層で軟弱なため滑走路の液状化や地盤沈下を防ぐための地盤改良が必要なこと、大型のケーソンを水中に沈める工法を変更せざるを得なくなっていることなど、防衛局が大きな課題に直面していることを報告、そのために国は来年一月の名護市長選挙、十一月の知事選挙までに埋め立て工事を目に見える形で進め、もう後戻りはできないと宣伝することで県民をあきらめさせることをもくろんでいると語った。そして反対運動の側は毎日ゲート前で、一分一秒でも工事を遅らせようとがんばっていると力を込めた。
 「ストップ! 沖縄新基地建設・福岡」の深水登志子氏は、南西諸島への陸上自衛隊の配備が進行し、軍事要塞化されようとしている現状について報告した。琉球弧の軍事要塞化は米国の世界戦略の一つであるエア・シー・バトル構想の具体化であること、この構想は陸・空・海・宇宙・サイバー空間の五つの領域において中国を封じ込める目的をもっており、自衛隊は米軍と共に第一列島線(九州〜沖縄〜台湾〜フィリピン)から中国軍を出さない役割りを持つことなどが説明された。そのうえで宮古島を訪れたレポートとして、陸自駐屯地建設が計画されている土地の現状や、三千メートルの滑走路のある下地島空港が米軍に使われるのではないかとの危惧を語った。
 佐賀空港へのオスプレイ等配備反対地元住民の会の古賀初次会長からの報告もあった。古賀氏は、佐賀空港の開港時に県や漁協などの間で結ばれた、空港を自衛隊が使用することはないという「公害防止協定」の意義に触れ、先人たちの努力と知恵を県知事や県議会が勝手な解釈で踏みにじろうとしている現状を鋭く告発した。また二〇一四年七月の防衛省からの要請以降の経過を詳しく報告され、「佐賀のことは佐賀が決める」と言って当選した山口知事が国の圧力に屈して容認に傾いている状況を「全国の皆さんと力を合わせて跳ね返したい」と決意を述べた。さらに七月に宮古島を訪問した経験を報告、「南西諸島での軍備増強は異常としか思えない」と断じた。そして最後に「オスプレイは日本に一機も要らない。力を合わせてがんばろう」と決意を述べた。
 基調報告の後、辺野古埋め立て土砂搬出に組織として反対運動を進めている全日本港湾労働組合関門支部からのメッセージが紹介された。続いて地元柳川、大牟田の市民団体から活動報告が行われた。
 最後に、米軍の再編強化と連動した自衛隊の軍備増強、南西諸島の軍事要塞化という状況をふまえ、多くの人の力でオスプレイ佐賀空港配備と辺野古埋め立て土砂搬出に反対する世論をつくり上げようという集会アピールを採択、意気高く集会は締めくくられた。


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