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労働新聞 2017年7月25日号 1面

進む配備計画、
危険な訓練も横行 
東アジアの緊張高める
危険な策動
 沖縄県民と連帯し
地域での闘いを

オスプレイの配備・訓練と闘おう

 安倍政権は、沖縄をはじめ全国で基地機能強化を推し進めている。辺野古への新基地建設や先島への自衛隊配備だけでなく、全国で垂直離着陸機オスプレイの配備をもくろんでいる。これが進めば、訓練等による住民被害が深刻化し地域の産業や生活に悪影響を与えるだけでなく、わが国安倍政権は中国包囲の米アジア戦略にさらに深く加担し、アジアの軍事的緊張を激化させることとなる。オスプレイ配備に対し島ぐるみで闘ってきた沖縄県民と連帯し、各地で闘い、全国に広げることが求められている。対米追随と売国の政権を打ち倒し、独立・平和の国の進路をめざす国民的闘いがいっそう重要な情勢となっている。


 米軍のオスプレイはすでに二〇一二年から沖縄県に配備され、野放図で危険な訓練を繰り返している。昨年十二月には墜落事故を起こした。
 また米空軍横田基地(東京都福生市など)や米海軍厚木基地(神奈川県大和市など)、陸自富士演習場(静岡県御殿場市など)、北富士演習場(山梨県富士吉田市など)、米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)ではオスプレイの飛来が常態化、配備の既成事実化が進められている。
 さらに横田基地には今年後半に三機、二一年までにさらに七機の空軍オスプレイが配備され、長野県や群馬県、新潟県、栃木県、福島市にまたがる広大な空域などで特殊作戦訓練が予定されている。
 海兵隊による低空飛行訓練は全国に設定されたルートなどですでに頻繁に行われて騒音などをまき散らしている。
 米軍だけではない。陸自も今後十七機のオスプレイを導入予定で、県営佐賀空港(佐賀市)への配備が一九年からのもくろまれている。この陸自オスプレイは相浦駐屯地(長崎県佐世保市)に新設配備される水陸機動団の配備を担当するという。
 また陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)では一月から日米のオスプレイが定期整備のため実務が始められている。
 日米両政府は今後、米軍や自衛隊のオスプレイ約五十機を全国的に配備しようとしている。これらは、没落しつつある米国が台頭する中国と対抗するため、自衛隊と米軍基地を強化し抑え込もうとするアジア戦略の一環である。中国を抑えてアジアで大国としてのし上がることを夢見るわが国の安倍政権は、この米戦略に協力している。
 オスプレイを使えば日本の基地から朝鮮半島や中国東部、南シナ海までの範囲で軍事作戦参加が可能だ。中国側から見れば日米が軍事的能力を上げていることにほかならず、米国や日本に対する警戒心と緊張感は強まらざるを得ない。
このような日米両政府の姿勢は今後さらに加速することが予想される。「米国第一」を掲げるトランプ新政権は、日本に対していっそうの軍事的負担増と役割拡大を求め、安倍政権もそれに積極的に応える意向だ。
 これはアジアの軍事的緊張をあおり、沖縄をはじめ全国に戦火を招きかねない危険な道だ。このような政権を打ち倒し、米国の縛りから逃れて、独立・独自の平和外交を展開し、中国などアジア各国と向き合うことが求められている。
 安倍政権との闘いを全国に広げることが求められている。島ぐるみでの闘いを粘り強く続けている沖縄県民だけでなく、オスプレイの配備や訓練に反対する地域的な闘いの連帯を広げ、国民的な闘いにすることが求められている。(U)


基地化の先に地域の未来ない
古賀 初次・佐賀空港への自衛隊オスプレイ等配備反対地域住民の会会長

 佐賀県の山口知事は七月十三日、県営佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備を受け入れる考えを示し、これに対し県民・住民から怒りの声が沸き起こっている。「佐賀空港への自衛隊オスプレイ等配備反対地域住民の会」の古賀初次会長に聞いた。

 山口知事は当選当初、オスプレイ配備問題について「県民に寄り添う」「県のことは県民が決める」などと言っていたが、今回の受け入れ表明の前に地域住民や漁業者の声を聞いてなどいない。形式的な地権者説明会が一回あっただけだ。
 県が公表した配備に際しての「論点整理」でも「不合理がない」などと受け入れを前提としているようにしか思えない。
 そもそも佐賀空港には、開港にあたって県と関係漁協で「公害防止協定」をかわしている。この覚書には「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」と明記されている。こうした約束を一方的に破ることは許されない。
 知事は国の言うがままという印象で信用できない。腹立たしい限りだ。

さらなる基地化を危惧
 知事は「国防のため」と説明するが、オスプレイ配備が本当に国防のために必要なのか、納得のいく説明はなく、疑問を抱かざるを得ない。何より、事故の多発する欠陥機が上空を飛び回ることになるのだから、「国防」などと言われても住民としては受け入れる訳にはいかない。
 また自衛隊だけで済むのかという疑いも持っている。米軍も来る、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)も配備されるなどの報道もある。陸自オスプレイ配備を突破口になし崩し的に佐賀空港が完全に基地化されるのではないか。
 私たち有明海の漁業者には、これまで諫早湾干拓や筑後大堰建設で国にだまされてきた経験がある。国のやり方は基本的に使用していない。反対の立場を貫き続けたい。

沖縄、他人事ではい
 昨年末、沖縄の海上に米軍のオスプレイが墜落した。ニュース番組で「落ちたのが海上でまだよかった」などと言っていた識者がいたが、何がよかったのか! 現地の漁業者のことを思うと胸が痛んだ。
 沖縄では米軍がらみの事件や事故が絶えない。他人事とは思えない。
 佐賀県のノリ生産は年に二百億円という日本一の実績を上げている。オスプレイ墜落事故が有明海で起こって油や汚染物質が流出すれば有明ノリと漁業者は死活の淵に立たされる。環境破壊が進み生活が壊されていく。
 オスプレイ配備や佐賀空港の基地化の先には地域の発展も未来も描けない。知事は自衛隊誘致による経済効果などに期待しているのかもしれないが、どう地域や産業を発展させるのか、知事は今こそ本当に県民・住民に寄り添って考えるべきだ



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