労働新聞 2002年11月15日号 1面

全世界でイラク攻撃に反対の声
世界の強盗=米帝国主義に
他国の武装解除を迫る権利はない

 国連安全保障理事会は11月8日、イラクに対し、「大量破壊兵器」査察を全面的に受け入れることを求める決議案を、全会一致で採択した。
 決議は、イラクが「大量破壊兵器」開発計画を30日以内に報告する、国連査察団の45日以内の活動再開、などの内容だ。
 また米国では6日、上下両院などの中間選挙が実施され、共和党が両院で過半数を獲得し勝利した。
 これを受け、わが国マスコミは「米国の1人勝ち」「ブッシュ路線信任」(読売)などと、意識的にブッシュ政権の「強さ」を強調する論調が目立つ。
 だが、現実はそうではない。そもそも、ブッシュは当初、イラク攻撃に「新たな国連決議は不要」としてきた。今回の事態は、戦争策動に対する国際的非難の高まりに、米国が一定の譲歩を迫られたことを示している。
 また、決議案に賛成したフランス、ロシア、中国は同日、イラクが決議を履行しなかった場合の「自動的な武力行使」を「排除する」とする共同声明を発表した。このように、常任理事国内部にも引き続き矛盾がある。
 決議は全会一致となったが、これは、米国が安全保障理事会の非常任理事諸国に対し、経済援助などを使ってどう喝を行い、無理矢理演出したものである。
 中間選挙の「大勝」にしても、野党の民主党がイラク問題での論争を避けたことと無縁ではない。しかも投票率は、39%でしかなかった。
 ましてや、ブッシュの足元の経済状況は、その深刻さを増している。
 戦争を嫌ってドルや株が下落しているのはもちろん、景気後退は鮮明さを増している。失業率が上昇し5.7%となったのをはじめ、米景気を唯一引っ張ってきた個人消費が、9月に10カ月ぶりのマイナスを記録した。米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、金利誘導目標の0.5%引き下げに追い込まれた。
 このように、国連決議や中間選挙、あるいは経済も、米国は危うい綱渡りを続けているに過ぎない。「先制攻撃」や気に入らない政権の転覆を振りかざす「ブッシュ・ドクトリン」は、経済的・政治的に没落を早め、軍事力しか頼るもののなくなった米帝国主義の、弱さの表れであることを見ておかねばならない。
 米国は横暴にも、イラクに武装解除を迫っている。自らは膨大な核兵器を保有し、全世界でどう喝外交を行う米国に、他国の武装についてうんぬんする権利はない。
 この点で、帝国主義と闘わず屈服し、武装解除することが「平和」につながるかのようにいう国際的風潮には、大きな問題がある。イラクはもちろん、朝鮮民主主義人民共和国などの国もまた、帝国主義の圧力に抗して自国を防衛する権利を持っている。
 すでに全世界で、横暴な米国のイラク攻撃策動に反対する闘いが、大きく盛り上がっている。米国の戦争策動とわが国小泉政権の対米協力を許さず、広範な国民運動をつくり出そう。


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