20020825

愛媛
県教委が「つくる会」教科書を強行採択
アジアと連帯し、本採択阻止へ


 愛媛県教育委員会は8月15日、多くの県民やアジア諸国の声を無視し、侵略美化、アジア敵視の「つくる会」教科書の来春開校予定の県立中高一貫校(3校定員各160人)での採択を強行した。愛媛県では昨年夏にも東京都と共に「つくる会」教科書を県立養護学校・ろう学校で採択している。「つくる会」など右翼・反動勢力は3年後に控える全国での本採択に向け、愛媛で策動を繰り返し、加戸守行県知事や県教委もそれに積極的に呼応した。米国につき従い、アジアに敵対するわが国支配層はいっそうの軍事大国化・海外派兵の思惑からこうしたイデオロギー攻撃を繰り返している。わが国を亡国の道に導くこうした攻撃を広範な国民運動で打ち破らなければならない。


県庁前でハンスト闘う

新しい教科書と教育を考える市民ネットワーク・えひめ 高井弘之氏に聞く

 今回愛媛で起こったことを端的に言えば、知事・県教委が「つくる会」「日本会議」など右翼団体と一体となって、「つくる会」教科書を採択したということだ。
 これは、これから中高一貫校の生徒たちにアジアをべっ視し、人権や民主主義を否定する「つくる会」の思想を広めるということである。怖いことだ。
 昨年夏に県立養護学校・ろう学校での「つくる会」教科書の採択が強行され、その後、中高一貫校での採択に焦点が移り、そこでの攻防が中心となった。
 私たちは3月中旬には地元紙に全面広告をうって、「つくる会」教科書の危険な内容とそれを後押しする県教委の態度の不当性について県民にアピールした。また、県教委や知事に対して訴訟を起こした。
 また、県教委・教育委員に焦点を当てるシンポジウムを行い、教科書問題に限らず昨年のえひめ丸事件での県教委の態度など様々な角度から、県教委の問題点について取り上げた。
 そして、全国にも呼びかけて7月26日、集会を行い、県庁を囲む「人間の鎖」行動を行った。 
 また、8月11日からは、県庁前でリレーハンストを行い、中高一貫校での「つくる会」教科書採択の反対を訴えた。
 「つくる会」教科書に対しては、中国や韓国などアジア各国から多くの批判が相次いでおり、今回の愛媛での事態について注目していた。韓国の「日本の教科書を正す運動本部」の人が来て、講演会などを行ったり、県教委・県知事に対する訴訟の原告にも入っている。この間、かなり緊密に連携してきた。

許せぬ知事の介入
 また、大きな問題として触れなければならないのは、知事の政治姿勢についてである。知事は昨年の養護学校・ろう学校での採択決定直後に記者会見やインタビューなどを通じて「中高一貫校でも『つくる会』の教科書になる」と発言したり、県下の一般中学校の教科書についても「私が教育委員だったら『つくる会』教科書を採択する」などと発言している。こうした知事の介入は、教育基本法の十条に違反している。
 「つくる会」の教科書が実際学校現場で使われるとすれば、「つくる会」の思想・考えを広めるということであり、公職である知事の行動としては決して許されることではない。
 今回の採択にあたって「つくる会」や「日本会議」など右翼団体が「採択への介入許すな」「外国の圧力は不当」などと、相当なキャンペーンを張った。マスコミでも「賛成派対反対派」という単純な図式で語られたりした。しかし、この問題の本質というのは彼らがあのような教科書をつくって政治力も使って、強引に採択させようとしていることだ。そのことこそが、「介入」ではないか。
 3年後の本採択の問題だが、養護学校・ろう学校、そして今回の中高一貫校での採択を布石にして、県下全域での採択を狙っていることは明らかだ。3年後に向けての運動を軸に、取り組みを組み立てていく。
 全国の運動、そしてアジアの人びとと手を携えて、採択の撤回、そして3年後の本採択阻止に向けてしっかりがんばりたい。