宮城　財界主導の農政改革反対　農相辞任要求も　農協が連続的に集会

20020825

宮城
財界主導の農政改革反対　農相辞任要求も
農協が連続的に集会

■生産者から怒りの声次々
　宮城県農協中央会（大堀哲会長）は８月２１日、仙台市で「宮城県農業者総決起大会」を開催、会場には県内各地から生産者、農協関係者ら約1000人が参加した。
　開会あいさつを行った大堀会長は「国が進めているコメ政策の改革は過度の産地間競争を招き、日本農業を崩壊に結びつける。財政削減の名の下にコメ政策から撤退しようという農水省の姿勢は生産者を愚弄（ぐろう）するものだ」と政府の農業政策に強い怒りの声をあげた。
　また、「生産者はずっと国の政策に従ってきたのに、なぜ生産者が悪者にされるのか」（門伝英慈・全国農協青年組織協議会長）、「農家は下落の一途をたどる米価にいらだちをつのらせている。この難局に勇気と行動で立ち向かおう」（高橋剛・ＪＡ古川稲作振興会長）と生産者から次々と訴えが行われた。
　大会では①国が責任をもつ生産調整②稲作経営の安定化対策維持③輸入農産物の増加に対する緊急輸入制限（特別セーフガード）の実施、などを柱とした決議を採択した。

■農相の辞任要求も
　みやぎ登米農協（宮城県迫町、阿部長寿組合長）は８月４日、中田町で「農業危機突破『米を守る』緊急ＪＡみやぎ登米大会」を開き、組合員1400人が参加した。
　集会では農水省の進めるコメ政策の改革について「財界主導の論理にもとづくもの」と厳しく批判する決議が確認された。
　また、同農協青年部（伊藤吉浩委員長）が緊急動議として武部農相の退陣を要求する緊急動議を提案。満場一致で可決された。
　緊急動議では、武部農相について、①ＢＳＥ（牛海綿状脳症）発生に対する国の責任を「生産者重視の農政の結果」と責任転嫁した発言②農業への企業参入と農協解体を主張③財界主導の論理による農民不在の農政転換推進―などの点を指摘。「安全な食料を安定確保する農政に武部大臣は不適当」と主張している。

生産者の声が反映する農政を

みやぎ登米農業協同組合総務部広報課長佐々木勝清氏

　政府は昨年十一月に「コメ政策の見直しと当面の需給安定のための取り組みについて」を発表。これにもとづき、食糧庁に「生産調整にかんする研究会」を発足させ、コメ政策の「見直し」を行ってきた。そして今年六月には中間報告を発表したが、その内容を見ると、現在のわれわれ生産者の立場とまったく正反対、ますます現場が混乱をするような内容となっている。いちばん問題なのは生産調整が今までは面積配分だったが、これを数量管理にするということだ。また、農水大臣が経済界幹部に農業への企業参入を促すような発言を行っている。　こうした流れは、われわれ生産現場の声からはほど遠いものだ。課題の解決には生産現場の声を正しく反映することが不可欠だ。　小泉政権が登場して「改革」ということで、農業分野についても財界が主導する形、企業参入も可能にするという話もある。それが主で農水大臣に対する「退陣要求」につながった。　欧州や米国は一人当たり約百ヘクタールの耕作面積もあり、日本の経営形態と大きく違う。今「売れるコメ」などということで、自由に競争させようとしているが、これでは、われわれ農家はますます厳しい状況に追いやられ、やがては日本農業が全滅する可能性がある。絶対にそれだけは避けなければならない。　農産物は単純に一つの商品として売買できるようなものではない。どうしても農業については国の保護の下でやらないとつぶれてしまう。私たちとしても都市部の消費者との交流も行って理解を求めている。今後も農業を守る運動を強めたい。



			20020825 宮城財界主導の農政改革反対　農相辞任要求も農協が連続的に集会

		■生産者から怒りの声次々　宮城県農協中央会（大堀哲会長）は８月２１日、仙台市で「宮城県農業者総決起大会」を開催、会場には県内各地から生産者、農協関係者ら約1000人が参加した。　開会あいさつを行った大堀会長は「国が進めているコメ政策の改革は過度の産地間競争を招き、日本農業を崩壊に結びつける。財政削減の名の下にコメ政策から撤退しようという農水省の姿勢は生産者を愚弄（ぐろう）するものだ」と政府の農業政策に強い怒りの声をあげた。　また、「生産者はずっと国の政策に従ってきたのに、なぜ生産者が悪者にされるのか」（門伝英慈・全国農協青年組織協議会長）、「農家は下落の一途をたどる米価にいらだちをつのらせている。この難局に勇気と行動で立ち向かおう」（高橋剛・ＪＡ古川稲作振興会長）と生産者から次々と訴えが行われた。　大会では①国が責任をもつ生産調整②稲作経営の安定化対策維持③輸入農産物の増加に対する緊急輸入制限（特別セーフガード）の実施、などを柱とした決議を採択した。 ■農相の辞任要求も　みやぎ登米農協（宮城県迫町、阿部長寿組合長）は８月４日、中田町で「農業危機突破『米を守る』緊急ＪＡみやぎ登米大会」を開き、組合員1400人が参加した。　集会では農水省の進めるコメ政策の改革について「財界主導の論理にもとづくもの」と厳しく批判する決議が確認された。　また、同農協青年部（伊藤吉浩委員長）が緊急動議として武部農相の退陣を要求する緊急動議を提案。満場一致で可決された。　緊急動議では、武部農相について、①ＢＳＥ（牛海綿状脳症）発生に対する国の責任を「生産者重視の農政の結果」と責任転嫁した発言②農業への企業参入と農協解体を主張③財界主導の論理による農民不在の農政転換推進―などの点を指摘。「安全な食料を安定確保する農政に武部大臣は不適当」と主張している。生産者の声が反映する農政をみやぎ登米農業協同組合総務部広報課長佐々木勝清氏　政府は昨年十一月に「コメ政策の見直しと当面の需給安定のための取り組みについて」を発表。これにもとづき、食糧庁に「生産調整にかんする研究会」を発足させ、コメ政策の「見直し」を行ってきた。そして今年六月には中間報告を発表したが、その内容を見ると、現在のわれわれ生産者の立場とまったく正反対、ますます現場が混乱をするような内容となっている。いちばん問題なのは生産調整が今までは面積配分だったが、これを数量管理にするということだ。また、農水大臣が経済界幹部に農業への企業参入を促すような発言を行っている。　こうした流れは、われわれ生産現場の声からはほど遠いものだ。課題の解決には生産現場の声を正しく反映することが不可欠だ。　小泉政権が登場して「改革」ということで、農業分野についても財界が主導する形、企業参入も可能にするという話もある。それが主で農水大臣に対する「退陣要求」につながった。　欧州や米国は一人当たり約百ヘクタールの耕作面積もあり、日本の経営形態と大きく違う。今「売れるコメ」などということで、自由に競争させようとしているが、これでは、われわれ農家はますます厳しい状況に追いやられ、やがては日本農業が全滅する可能性がある。絶対にそれだけは避けなければならない。　農産物は単純に一つの商品として売買できるようなものではない。どうしても農業については国の保護の下でやらないとつぶれてしまう。私たちとしても都市部の消費者との交流も行って理解を求めている。今後も農業を守る運動を強めたい。