20020805

普天間基地移設の新計画
政府と代替施設協が合意

沖縄県民が猛烈に反発
つくらせない闘いを全国で


 政府と代替施設協(沖縄県など関係自治体で構成)は7月29日、普天間基地の代替基地に関する基本計画で合意した。名護市の辺野古から2.2キロ先にリーフ(サンゴ礁の隆起部分)を埋め立て、2500メートルの滑走路を建設するというもの。
 日米両政府は96年に日米特別行動委員会(SACO)最終報告で普天間基地の返還に合意した。基地撤去を求める沖縄県民と全国の闘いの前に日米両政府が対応を迫られたからである。だが、日米両政府は、沖縄と全国の怒りと要求を逆手に取って、基地の県内移設を決めた。この時、代替案として出たのが海上ヘリポート計画だった。そのSACOの合意でさえ滑走路は1300メートルだった。
 新計画は明らかに米軍基地の固定化、強化をはかるものである。米ブッシュ政権は、反テロを掲げ、イラク攻撃などの軍事的緊張をあおっている。わが国に対しては安保の役割分担の拡大を迫っている。沖縄は米戦略の中で重視され、これに従うだけの小泉政権は、県民にさらに犠牲を押しつけようとしている。
 名護市では基地移設に反対している市民はもちろん、条件を付けた上でやむなく受け入れを決めた市民も「われわれを愚ろうするのか」と強く反発し、合意撤回を求める声が噴出している。辺野古や豊原区では、那覇防衛施設局が合意内容を説明に来ること自身を拒否した。
 また、名護市議会軍事基地等対策特別委員会(軍特委)は8月1日、基本計画の白紙撤回を求める意見書を全会一致で採択した。決議は本会議に上程される。
 沖縄県民は新たな基地をつくらせない運動に立ち上がり始めた。安保破棄、基地撤去の運動を全国で巻き起こし、沖縄県民と連帯して闘おう。米国のいいなりでわが国を亡国の道に引き込もうとする小泉政権を打ち破ろう。
 ヘリ基地反対協議会・仲村善幸事務局長に、今後の闘いなどについて聞いた。


世論盛り上げ、全県的運動を
ヘリ基地反対協議会  仲村 善幸 事務局長

 今回の基本計画の合意は、名護市民の頭越しで決定されたものだ。岸本・名護市長は「市民の頭越しには決めない」と言っていたが、これがまったくのウソであったことが明らかになった。国は非常に強権的なやり方だ。県知事や名護市長の責任も重い。
 受け入れはやむを得ないと言っていた辺野古の行政委員の条件は、「(場所は)辺野古の沖合に」であり、これが最低限の条件だった。それさえも踏みにじっている。地元の人は、皆が頭越しにされた、裏切られたという思いを持っており、反発は非常に強い。このまま基地建設に進むとは到底考えられない。
 政府は、サミットだ、振興策だとかで沖縄を取り込んでいこうとし、知事や名護市長がそれにこたえている。日本政府はこれまで沖縄県民の気持ちを1度たりとも受け入れたことはない。こういう中でもう1度県民が、沖縄にこれ以上基地が必要なのかどうか、認めていいのかの議論を大きくつくりだしていくことが大切だ。
 反対協として8月2日に名護市長に抗議と申し入れを行った。6日には名護市役所前で緊急の抗議集会を開く。基地の県内移設に反対する県民会議とも連携して全県に運動を広げていこうと考えている。
 基本計画が出た前後に、米軍ヘリの不時着など事件、事故が相次いでいる。このまま基地建設を容認してしまうということになれば、基地の強化は避けられない。それによる県民の被害もどんどん拡大していく。これを跳ね返していかなければならない。
 多発する事件、事故に県民は怒っている。今回の基本計画に地元の市民が怒っている。名護市議会の軍特委は基本計画の白紙撤回を求めている。これは大きいことだ。こういう状況の中で今が闘うチャンスだ。