20020725

自主外交への転換求め
米軍基地撤去、地位協定改定の闘いを

全国知事会が決議

●米軍基地の整理・縮小・返還促進
●日米地位協定の抜本的な見直し


 わが国は日米安保体制のもとで米国に縛られ、従属を強いられている。在日米軍による基地被害、米兵の犯罪なども絶えない。安保条約を破棄し、米軍基地を撤去させない限り、問題の根本的解決ははかれない。だが、小泉政権の外交はまさに対米追従である。自主外交を求め、米軍基地の撤去、日米地位協定の改定を求める運動を発展させよう。7月5日、隅谷三喜男氏(東京大学名誉教授)ら15人の人士によって「安保条約を平和友好条約に」との提言が出された。また18日、沖縄で開かれた全国知事会は「米軍基地の整理・縮小・返還を促進すること、地位協定の抜本的な見直しを行うこと」を決議した。知事の中からは、「独立国という観点からすると現協定は屈辱的な内容だ」(浅野史郎・宮城県知事)、「日本は米国の属国ではない。地位協定にしばられている今の現状は見直すべきだ」(橋本大二郎・高知県知事)などの声があがっている。沖縄では、すでに50の市町村が地位協定改定を求める決議をあげ、残る2自治体も9月議会で決議する予定である。だが、知事会決議の直後、福田官房長官は「運用の改善で」と居直った。小泉政権に対し、広く各界から声をあげ運動を発展させなければならない。今回の決議について、辻原俊博・長崎県副知事に聞いた。また、平松守彦・大分県知事の発言要旨を掲載する。


外務省は誠意ある対応を
辻原 俊博・長崎県副知事

 7月初旬に九州全体の知事会があって、その時に稲嶺沖縄県知事から、全国知事会で地位協定のことなどを提起したいとの発言があった。それで、九州知事会の会長でもある平松大分県知事がまとめて発言をするので、長崎県も連携しましょうということになった。
 全国知事会では平松知事が、条約上の問題ではあるが、知事は県民の生活や安全に責任があるので、国にはきちんと対応してもらいたいとの話をした(別掲)。長崎にも長崎港への米駆逐艦入港の問題があるとの話をしたので、私から補足的に発言もした。全体の雰囲気としては地位協定の見直し決議はいいじゃないかと、それで全体のまとまりとなった。
 長崎では民間港である長崎港への米ミサイル搭載型駆逐艦(イージス艦)の入港問題がある。被爆都市の市民の気持ちを逆なでし、抵抗感情も強まっている。
 駆逐艦は6月にも寄港したが、1、2年に1回ぐらいの間隔で入港している。その度に、外務省、福岡の米総領事館に長崎港への入港は回避してほしいと要望もしてきた。地元の意向をもっと尊重してほしいと申し入れた。
 だが、きちんと聞いてもらえない。たとえば、外務省からは、外交ルートで米国の大使館に伝えましたよと、総領事館からは、米軍には伝えましたよという返事が返ってくる。要するにきちんとした反応が返ってこない。外務省として米国と交渉するとか、そういうことがない。何か違う対応や国としての努力があってもよいのではないかと、知事会で発言した。
 知事会で決議があがった以上、政府は誠実に対応してほしい。


国は早期に解決図れ
平松 守彦・大分県知事(発言要旨)

 基地問題の解決促進について、九州地方知事会を代表してお願い申し上げたい。
 九州、山口地方については、米軍基地が存在する沖縄県をはじめ、長崎県佐世保や山口県岩国に米軍基地が存在するほか、被爆地である長崎港において、米艦船がこれまで何度か入港しており、また、大分県日出生台においては、沖縄米軍による実弾射撃訓練が行われてきた経過があるなど、全国の中でも特に、基地問題が住民生活に対して非常に大きな課題となっております。
 日米地位協定をはじめ、外交、防衛につきましては国の専管事項ではありますが、住民の安全確保を最優先する地方自治体としましては、住民の財産、生活に多大な影響を及ぼしている米軍基地そのものや、国土の問題、米軍人などによる事件・事故の問題、国道越え演習など演習時の安全確保の問題などにつきまして、国において早期の解決を図っていただきたいと考えております。