20020515

沖縄復帰30周年

沖縄と連帯して闘おう
安保破棄、米軍基地撤去、地位協定改定
米国とその追随者(小泉政権)が沖縄苦難の根源


 72年5月15日、沖縄が本土復帰した。沖縄県民、国民は復帰にあたり「基地のない平和な沖縄」を求めたが、日米両政府はこれを踏みにじった。復帰後30年を経過する今もなお、沖縄は安保体制のもとで基地の重圧に苦しめられている。経済的自立が阻害され、絶えない事件、事故で生活が脅かされている。米軍基地はまた、復帰後も湾岸戦争やアフガン侵略の出撃拠点として使われ、米国の世界支配維持のために強化されてきた。沖縄の闘いは、ひとり沖縄だけの問題ではなく、わが国の進路にかかわるものである。安保破棄、基地撤去、地位協定改定の世論と運動を巻き起こし、政府に迫ろう。親泊康晴・前那覇市長に聞いた。


政府は米国と積極的な外交折衝を

親泊 康晴 前那覇市長

 1番の問題は、なんといっても、沖縄が戦後は米軍の占領下にあり、かつ、30年前に復帰しても依然として在日米軍基地の75%が沖縄に集中し、沖縄県民にしわよせされていることだ。日本国の1県として、県民が「早期米軍基地の撤去」を要求するのは当然で、これは、イデオロギーうんぬんの問題ではなく、県民皆が望んでいることだ。
 30年前に復帰をして、いわゆる「沖縄開発」という特別措置によって道路や住宅、公園、学校など社会資本は整備されたが、本土と比較するとまだまだ十分ではない。特に、沖縄の失業率は8.4%と全国一高く、県民所得は全国一低い状況にある。県民1人当たりの預貯金も全国最下位だ。民生部門もこういう状況で、長い間のひずみは30年の期間でも十分には埋め尽くされていない。
 また、復帰後でもさまざまな事件、事故が後を絶たない。復帰後、米軍人、軍属による刑事事件が約4700件発生している。沖縄133万県民が安心して生活することがむずかしくなっている。米軍人、軍属は日米地位協定によって律される。だから、基地撤去と合わせて日米地位協定の見直しは大きな政治問題となっている。その背景にある安保条約も当然、問題にしなければならない。
 米軍基地によって住民自治の面でも制約を受けている。例えば、那覇市は全国の県庁所在地で大阪市に次いで人口密度が高い。人口密度の高い小さな市で生活、文化、学校などの基盤整備をやろうとしても、基地のために十分なオープンスペースがとれない。自治そのものが脅かされているわけで、平和の問題という観点だけでなく、生活、文化都市を形成する意味からも基地は阻害となっている。

◇    ◇

 同じ日本の中で何故に57年も異民族の基地の中の生活を強いられるのか。将来もこのままだと、国民は国のあり方に違和感を持つと思う。政府は、沖縄から基地を撤去せよと米国に積極的に外交折衝をすべきだ。復帰から30年がたつ今、政府は真剣に沖縄の問題を考えるべきで、言葉だけでない誠意ある実行を望む。
 95年に、基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しを要求する県民大会が開かれ、10万人近くが参加した。政府を動かす上で非常に効果があった。あの時のように、考え方は多少違っていても、基地問題は共通の悩みだという1点で全県民が1つになり、本土でも運動が発展すれば国を動かす大きな力になる。
 沖縄が抱えている問題は日本の将来のあり方にかかわる課題だ。1日も早く住民自治の回復、沖縄県民が日本国民と等しく安心して生活を送れることを強く望む。