20020405

親のリストラ・失業 就学費・授業料払えず、退学者も
高卒者の就職難も深刻 窮地に立つ小泉政権
この悪政の転換を


 失業など、親の生活苦が子供を直撃する深刻な事態が進んでいる。自治体に対して、小中学生の就学援助、高校生の授業料支援の要求が急増している。授業料が払えず退学に追い込まれる高校生も急増している。親の失業や収入減によって、生活に困窮する世帯が増えたためだ。国の就学支援予算枠は、児童・生徒数のわずか3.8%分に過ぎない。被援助者が10%を超える自治体も多く、東京、大阪は19%という実態で、不足分は自治体が一部補助をしている。政府の責任は明らかで、予算枠を拡大するなどの緊急措置を取るべきである。さらに高校生は、卒業しても就職先がないという二重苦に見舞われている。高卒の就職内定率は、67.8%(昨年12月)と過去最悪である。昨年同月より5ポイント低下し、小泉政権下のこの1年間で大幅に悪化した。リストラ・失業で親を苦しめ、将来ある子供たちをも犠牲にする悪政は許せない。問題の根源である失業への対策、子供に教育と職の保証をせよと小泉政権に迫ろう。日教組の木下哲郎高校共闘部長に現状や要求などを聞いた。


教え子に働く場を
日本教職員組合 木下 哲郎・高校共闘部長

 高校の場合は、授業料の減免の申請をしているのが全国で15万人いる。今、世帯主の失業が100万人を超えているが、高校現場でも失業の影響がストレートに出ている。
 学校をやめざるを得なくなった生徒も多い。また、経済的な事情から定時制に通う生徒が増えている。
 それと、高卒者の就職先がないことも大きな問題だ。生徒が希望する仕事の求職が絶望的で、就職をあきらめるという傾向が出ている。そのため、学習意欲の減退など、教育への悪影響も出始めている。幼、小、中、高と勉強をして、最終的には社会参加をすることが大きな目的のはずだ。その道が閉ざされてきている。
 働くということは何かという角度から今の現実の経済の現状、就職の現状を根本的に問いつめていくべきだ。
 今の社会は、保護者から職を奪い、子供たちからも職を奪って社会参加の道を閉ざす、非情な社会的閉塞状態だ。子供たちが夢と希望を持ち、人が生きていける社会、経済に変える、これが政治の課題だ。「聖域なき構造改革」というが、これをやめさせなければならない。
 私たちは運動の基本を「教え子を再び戦場に送るな」とやってきたが、これに「教え子に働く場を」を同じ重みを持つ問題としてスローガンに掲げている。子供も大人も安心して暮らせる社会をめざしていく。
 日教組はこれまで厚生労働省との交渉で「若者トライアル雇用」を実現させた。3カ月間雇用をした場合は、その会社に一人5万円の補助をする措置だ。30歳以下の若年労働者を対象に、5万人分の枠を設けている。しかもこれは、今年の卒業生から適用すると、枠を広げさせた。
 子供たちのために職場で力を尽くすと同時に、新たな制度を求める運動も強化していきたい。 就学援助制度  生活保護世帯、児童扶養手当受給世帯、住民税課税所得が低い世帯の小、中学生を対象に、学用品通学用品費、学校給食費、入学準備金、修学旅行費、医療費など10項目について国と自治体が補助する。学校給食費はほぼ全額が援助されるが、他の項目については必ずしも全額援助されるわけではない。

*東京都では、約76万人の児童・生徒のうち14万7200人が就学援助を受けている。都内で受給率が1番高い足立区では、約4万6000人のうち1万6000人近くが援助を受けている。率で34%、実に3人に1人の割合である。 93年の受給率は16%だったが、今は倍以上になった。足立区は従来から低所得者、生活困窮者が多いが、最近は親の失業が急速に多くなった。(足立区教育委員会)