20011125

沖縄 観光客激減、失業率9.4%

基地集中による被害


 米国でのテロ事件を契機に、沖縄は、基地の危険性を恐れた観光客激減など深刻な影響を受けている。テロ事件後、文部科学省が各県教育委員会に「修学旅行自粛」を指導したことも原因となっている。すでに全国最悪の失業率にあえぐ沖縄では、「危機突破大会」が開かれるなど、大衆行動が始まっている。とくに深刻な被害を受けているホテル・旅館業の実態について、沖縄県ホテル旅館環境衛生同業組合(宮里一郎理事長)の大城吉永専務理事に聞いた。

 連合沖縄と沖縄県経営者協会が共催して、十一月十五日、那覇市で「雇用・経済危機突破県民大会」を開き、七百人が参加した。
 集会では、九・四%と過去最悪の失業率と米同時テロを契機とした観光客激減など、県経済の難局に立ち向かうことを確認。あいさつした狩俣吉正・連合沖縄会長は、「沖縄は『危険な島』という印象が広がってしまった。これは、米軍基地が沖縄に集中配備されているために起こった被害である。沖縄県民は、国の責任による補償を求める」と訴えた。また、「沖縄県が三年間にわたり実施した緊急雇用対策は不備があった」と指摘、新たな対策を求めた。
 県民大会は、「米軍基地が集中配備されていることに起因している」との認識で一致、日本政府に対し「被害に対するあらゆる措置と『安全宣言』を担保できる必要な措置を緊急に講ずる」ことを求める「緊急アピール」を採択した。

国と県に救済策を要求
沖縄県ホテル旅館環境衛生同業組合 大城 吉永・専務理事


 米国でのテロ事件以降、十一月十二日現在、のべ宿泊数で四十五万四千三百七十人、金額にして、四十億七千五百三十万七千円分のキャンセルが発生している。これでは、団体・修学旅行が主体のホテルだと、経営が成り立たない。私たちの要請もあった結果、四千万円までの運転資金融資はあるが…。
 いちばん問題なのは、パートさんの問題だ。お客がいなければ、パートの人を休ませる以外にない。
 これについても国に要請しており、一カ月二十万円を限度に融資する方向になっているが、今後の問題だ。
 また、ホテルに納品している物品業者も多大な影響を受けており、これは製造業にも及んでいる。こうしたことで、県全体の消費が冷え込んでいるし、沖縄の経済全体に影響している。
 ホテル旅館環境衛生同業組合としては、十月十日、国と県に救済策を申し入れた。内容は観光PRや、修学旅行における体験学習の予算化、五十億円の観光基金設立などだ。
 たとえば、修学旅行でエイサーや料理などを行えば、これを教える人も含め、失業対策になる。実際、エイサーの指導に従事している人の半分は、ほかに職をもっていない。
 さらにいえば、今回の問題は、沖縄に全国の米軍基地の七五%が集中しているということから発生した「風評被害」といえる。申し入れでは、この補償金として、四十億円の予算化を求めている。
 これらが行われれば、われわれも再起することができるだろう。沖縄観光業界の生存のために、引き続き国に要求していきたい。

ページの先頭へ