20011115

米国の戦争、基地に反対しよう


 米国のアフガン攻撃が長期化し、また自衛隊派遣が始まったことに対し、各地での闘いがくり広げられている。米軍基地が集中する沖縄は、米軍への報復を恐れる観光客の激減など多大な被害をこうむっている。県民は、報復戦争と基地被害に対する運動を強めている。自衛隊が出発した佐世保などでも、抗議行動が闘われた。

沖縄 戦争と基地への闘い強まる
労組や高校生が取り組み

 「テロと米英軍によるアフガン報復戦争に反対する中部住民集会」が十月三十日、沖縄県北谷(ちゃたん)町で開かれた。中部地区労の呼びかけによる実行委員会の主催で、労働組合など約千五百人が参加した。
 同実行委員会を代表して、山内徳信・県民会議共同代表(元県出納長)があいさつし、「米国はなぜテロが起きたのか反省もせず、軍事力で報復している」と米政府を厳しく批判した。続けて、「平和産業の観光と基地は共存し得ない。米軍基地が集中する沖縄中部から、平和の願いを広げよう。一人ひとりが反戦平和を強く決意し、力を合わせてがんばろう」と訴えた。
 続いて、喜屋武馨・北中城村長、崎山嗣幸・沖縄平和運動センター議長、ヘリ基地反対協議会、那覇軍港移設に反対する浦添市民の会の代表らが連帯のあいさつを行った。
 集会では、「罪のない住民を巻き添えにした報復戦争は認められない。テロに対して『報復』では問題解決にならない」とするアピールを採択。嘉手納基地ゲートまでデモ行進した。
 また、観光客激減への対策を求めて、稲嶺県知事や観光協会などが十一月七日、政府に申し入れを行った。

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 沖縄平和運動センターは十一月七日、在沖米軍の実弾砲撃演習(山梨・北富士演習場、五日ー)と海兵隊と自衛隊の共同演習(北海道・恵庭演習場、十日ー)に抗議し、那覇市の防衛施設庁前で集会を行った。
 集会には、高教組・国公労など労働組合員六十人が参加、崎山・同センター議長は「米軍が演習をやめるまで抗議行動を続ける」と訴えた。

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 勝連町の県立与勝高校の図書委員会が七日、「平和を考えるミニライブ」を行った。ミニライブでは、生徒六十人が歌や踊りに出演した。
 主催の生徒は、「六月二十三日には『慰霊の日』にあわせて『平和の舞台』に取り組んだ。しかし、アフガンで戦争が起こり、『舞台』が意味のないことのように思えてしまった。もう一度、平和とは何かを考えるために企画を行った」と述べた。また、「私たちは戦争ではなく、一人ひとりが安心して暮らせる平和な世の中を引き継いでいく」と声を上げた。
 生徒たちは、米ブッシュ大統領に対して「アフガニスタンの人びとの命をこれ以上奪わないで。報復戦争は次の報復を生むだけ」と訴えるメッセージを電子メールで送信する計画もあるという。

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 同時テロ事件を契機として、在沖米軍が、海兵隊司令部のあるキャンプ瑞慶覧(ずけらん)のゲート警備に当たる日本人従業員にけん銃携帯を義務付けた問題で、全駐労沖縄地区本部の玉城清委員長らは十一月五日、けん銃携帯を廃止するよう那覇防衛施設局に申し入れた。玉城委員長は、これまで銃携帯の廃止地域を広げていく方向で労使間協議が行われてきたことを説明し、「どうしてこの時期なのか疑問だ。労使間の信義に反する」と、政府を批判した。全駐労はこのほか、最高レベルの警戒態勢「デルタ」で、緊急要員として出勤する一部の従業員の勤務をやめさせることなども要請した。


神奈川 緊急学習討論集会
テロの根源解決こそ重要

 緊急学習討論集会「同時多発テロの背景と報復攻撃の影響、日本の役割を考える」が十一月三日、神奈川県横浜市で開かれ、若者を中心に約六十人が参加した。
 主催は、竹田四郎氏(自主・平和・民主のための広範な国民連合・神奈川代表世話人)、阿部知子氏(衆議院議員)、伊藤茂氏(前衆議院議員)らの呼びかけによる実行委員会。
 講演を行った藤田進氏(東京外国語大学教授)は、「今回の米国での同時テロ事件、アフガニスタンへの戦争の背景は、中東・パレスチナ問題を抜きには考えられない」と、テロ問題を独立させて考えるべきでないと述べた。
 さらに、「ユダヤ国家の建設をめざすシオニズムの台頭以降、パレスチナではユダヤ教信者以外は排撃された」と、歴史を振り返った。そして、「この歴史ゆえに、オサマ・ビンラディン氏の主張に対し、パレスチナ人の中に共感がある。そうしたことを理解した上で、外交を考えなければならない。沖縄から米軍が出撃しているが、日本と中東との平和を考えれば、アラブに敵対するような外交を行ってはならない」などと訴えた。
 会場からは、アフガン難民の救援活動を行っているグループなどから訴えがあり、「米国の軍事攻撃や、それに同調する日本政府の姿勢では、決して事態を解決できない」「人びとが平和に暮らせるため、それぞれが可能なことから行動していこう」とまとめられた。

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