20011115

狂牛病問題 安全対策と支援策を

政府は失政の責任をとれ


 狂牛病問題に対する政府の対応に現場の怒りは高まるばかりである。価格は暴落し、被害は畜産農家はもちろんのこと、食品関連会社やそこで働く労働者にも波及している。
 すでに大阪の焼き肉チェーン店があおりを受け倒産するなど、雇用不安も出ている。各地のJAや農業団体、消費者団体などは抗議や補償を求める行動を行っている。
 十一月十八日から全頭検査が始まり、生産者、関連業界の消費回復に向けた取り組みが進められている。
 そうした中、ゼンセン同盟やJA広島中央会などが政府の責任を追及し、安全対策、被害補償などを要求する取り組みを行った。

県に対策の確立を要求
JA広島など

 JA広島中央会と全農ひろしま、生協ひろしまの三者は十月二十九日、広島市で「狂牛病のないくらしを! 生産者・消費者共同集会」を開催した。集会では「国産牛肉に対する不安を払拭すべく行政に対策の確立を強く求める」という共同声明を発表、約二百人の参加者一同で採択した。

JA広島中央会農政営農課の話
 生産者と消費者が一体となって、狂牛病関連の状況を乗り切ろうと開催した。
消費者側も「安心して牛肉を食べたい」と、生産者との取り組みが必要との観点から募金活動も行い、直接畜産農家に届ける計画だ。 一方、JA広島として緊急対策本部を設置、県知事あての要請を行った。
 広島県は、伝統的な和牛の産地だ。県北の「比婆牛」というブランドもある。そこの農家も影響も受けている。
 集会の中でも生産者から「風評被害で、生産者には責任がないのに被害を受けている。肉骨粉も使用していない。丹精込めてつくった牛が出荷ができない、見殺しにするしかない」との切実な話があった。
 消費拡大に向けた取り組みや生産者への募金活動も引き続き行う予定だ。


関連産業と雇用を守れ
ゼンセン同盟

 食肉関連企業の組合が多数加盟しているゼンセン同盟は、連合とともに十月二十二日、厚生労働省と農水省に対し、雇用安定への特別融資制度などを要求する申し入れを行った。厚生労働省に対しては「社会を混乱させたのは行政の怠慢。十月十八日の『安全宣言』以前の肉は政府が買い取ると言っているが、それ以前に食肉企業などが調整保管している肉及び加工食品についても買い取るべきだ」と、加工業者の立場から政府の対応を追及した。筒井・ゼンセン同盟フード・サービス部会副書記長は「後手に回った政府の対応のまずさから、食肉関連企業やレストランは苦境に陥っている。この責任は重い」と、ゼンセン関係企業の実態を訴えた。
 とくに、関連企業に働く労働者の雇用の安定を強調、「雇用調整助成金を特別融資とするよう早急に指導すべきだ」と強調した。
 農水省に対しても同様の内容の要請を行った。その結果、政府・厚生労働省は雇用調整助成金について、激変緩和措置として、特例措置を設けることを決定した。

滝田フード・サービス部会長の談話
 今回の狂牛病騒ぎは、まさに人災である。政府の行政ミス(怠慢)がこの風評被害を引き起こしたといってよい。十年前から国際的には重要課題と指摘されていたことに対し、国内的には重要テーマとしなかったことにある。また関係省庁の後手後手に回った二カ月間の対応は、まさに政治不信から風評被害を拡大させ、関係産業・業種をピンチに追い込んでいる。
 われわれは研究団体、消費者団体とも連携し、二度とこのような事件を起こさぬよう運動を強化する。(ゼンセン新聞より)

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