20011105

1000万人失業者に職よこせ
仕事よこせ、下請けいじめるな

政府・大企業に要求つきつけよう


東京・大田区を訪ねて

 九月の完全失業率が、ついに最悪の五・三%を記録した。失業者数も三百五十七万人と、初めて三百五十万台になった。潜在失業者を含めた数は一千万人ともいわれ、労働者はがまんのならない状況に置かれている。失業の最大の原因は、不況によるリストラ、倒産にあり、わけても大企業の横暴なリストラは断じて許せない。労働者だけでなく、中小企業が置かれている現状も深刻である。ひとにぎりの大銀行、多国籍企業を優遇する一方で、中小企業や労働者を切り捨ててきた小泉政権に重大な責任がある。補正予算案による微々たる「雇用対策」でなく、一千万失業者に職を保証すべきである。首切り、人員削減に反対し、小泉政権に「職よこせ」の要求をつきつけよう。東京・大田区の中小企業の経営者と労働者に聞いた。

 情報技術(IT)関連の部品製造会社の社長。「天国から地獄。地獄だよ」、「去年まではむしろ忙しかったが、今年に入ってガタッと仕事がこなくなった」と言う。ここは、IT不況の波をもろにかぶった。「成長産業だからといわれて設備投資もした。その借金を残したまま、この有り様だ。親会社は海外に逃げ出すが、俺たちはつぶされてしまう。ここで働いている人はどうなると思う‥‥」。「構造改革? 痛み? 自分らから味わってみろというんだ」。
 創立から六十年、自動車部品製造ひとすじという会社の製造部長。「三菱のトラック部品を扱っているが、まず仕事が欲しい。親(会社)はどんどん海外に仕事を出している。単価も半年に一度、二?三%切り下げられる。これが三年前から始まった。日産のゴーン(社長)がリストラに勢いをつけた。銀行は、預金があっても金を貸してくれない。この周辺には中小企業が結構あった。資金繰りができずにつぶれたのを何件も見てきた。ひどいもんだ。小泉首相には所得税の減税をやって欲しい。消費が冷え込んでいると誰もが言っているのにやらない。また、たとえば相続税などの中小企業への税法上の対策をやってほしいと思っている。だけど期待できないね。強いところしか向いていないもの」。
 下水管の継ぎ目部品を製造している工場。現場には四人の労働者(実は一人は社長だった)が働いている。一人の労働者に聞いた。「仕事のほとんどは公共事業だ。なぜ公共事業がたたかれるのかと思うが、そのあおりで元請けはつぶれた。ここも何人も辞めさせられて、実は会社自体がいつまで持つかという状態だ。社長はあちこち銀行をかけずり回っていたが、『もう相手にしてくれない』と言っていた。社長も気の毒だと思うが、自分だって次の仕事があるわけじゃない」。
 NTT、東芝、日立の二次下請け工場の労働者。四十年ここで働いている。「今は仕事の取り合いがすごくて、コスト割れ覚悟でやっている。給料も下げられたし、ボーナスも出なくなった。会社には定年制がないから、私も体が続く限りはと思って働いているが、若い人が三人辞めていった。こんな状態だから見切りをつけたんだろうね」。
「だけど、こんなんでこの国はどうなるんだろうねえ」。

 今回話を聞いた地域には数年前も行ったことがある。驚いたのは、工場の数が極端に少なくなり、住宅に変わっていたことである。長期の不況が町並みを変えた。
 また、IT不況が末端の下請けを直撃している深刻な現状があった。一千万人の雇用対策、失業者への生活保障、中小企業への仕事確保、融資の拡充など、小泉政権は緊急に対策を講ずるべきである。
 根本的には、今の小泉政権が進めている大銀行、多国籍企業のための政治、労働者、中小業者切り捨ての政治を転換する以外に道はない。労働者階級が先頭に立ち、各階各層が共同で小泉政権、大企業に要求をつきつけ、断固闘おう。(K)

東京 中小企業が危機突破大会
思い切った資金繰り対策を


 大田区で、東京商工会議所大田支部、大田工業連合会、大田区商店街連合会の主催で十一月一日、「中小企業危機突破総大会」が開かれた。
 大会では緊急アピールを採択した。一、製造業の空洞化の防止、デフレ状態からの脱却。二、思い切った資金繰り対策、具体的には、中小企業の借入金の元本返済について五年間の猶予を。公的融資のいっそうの拡充を。三、中小企業の課税負担の軽減。四、万全の雇用対策を、などである。政府は、こうした要求に即刻こたえるべきである。


大企業、これでもかと労働者犠牲
<米国テロ事件後に出されたリストラ計画>

・日立製作所
20000人の削減計画に、今年度末までに半導体部門の人員削減を1100人(部門の5%)上積み
・富士通
16400人の削減計画に、今年度末までの人員削減を4600人(2%)上積み
・松下電器産業
早期退職優遇制度で今年度末までに約8000人(10%)削減
・松下通信工業*
今年度中に国内従業員400人(5%)削減
・富士電機
今年度中に1500人(5・5%)削減
・日本ユニシス
今年度中をめどに300?400人(3%)削減
・日本ビクター
2002年度中に3500人(10%程度)削減
・ミノルタ
2003年度末までに2500人(10%)削減
・シチズン
時計2002年中に国内で2000人(20%)削減
・池上通信機*
200人(15%)の希望退職者を募集
・日本無線*
今年度中に600人(16%)削減
・アダバンテスト
今年度中に500人(10%程度)削減
・TDK
2004年3月までに8800人(20%)削減
・クラリオン
10%削減に2000人(15%)を追加削減
・日本テレコム*
45歳以上の850人を対象に早期退職優遇制度を導入
・三菱マテリアル
2004年3月末までに2500人(10%程度)を削減。人件費も1割カット。
・神戸製鋼所*
1700人削減に、2002年度までに1300人(7%)削減を上積み。全従業員の賃金5%カット
・東京製綱
2003年度までに560人(20%程度)削減
・日本ケミコン
今年度中に500人(15%)削減
・大日本印刷
2003年度末までに2100人(6%)削減
・コマツ
2003年度までに2200人(10%程度)削減
・全日本空輸*
早期退職の拡充などで人員削減の方針
(数はグループの削減数、*は本体のみ)

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