20011025

狂牛病問題

畜産農家への補償と支援を


 九月十日にわが国初の狂牛病の牛一頭が発見されて一カ月半がたつ。農水省、厚生労働省の無責任な対応と、肉を食べる政治家のパフォーマンスに国民の怒りは高まっている。十月十八日には全頭検査が始まったが、畜産農家や関連業者、飲食業者などの被害は甚大である。この間、各地の農業団体などは原因の徹底究明や政府の経済支援を求める行動や申し入れなどを行っている。

鳥 取
 鳥取県内の畜産農家でつくる県酪農民連合会(藤森寛義会長)が呼び掛けた「狂牛病をブッとばせ! 食の安全と牛肉を守り、畜産危機を突破する集会」が十月十五日、鳥取市で開かれた。生産、流通関係者ら約二百人が、政府の責任ある対応を求め、県産牛肉の安全性を訴える集会宣言を採択した後、トラクターを先頭に牛二頭とともにまでデモ行進した。
 集会宣言は「農水省と厚労省のずさんな対応の責任を追及し、牛肉の安全対策と生産者の経営支援を求める。生産者、消費者、関連業者が連携し、狂牛病をぶっ飛ばし、畜産と食卓の牛肉を守る」としており、政府の対応を求める要請書とともに、農水相と厚労相に郵送した。

佐 賀
 佐賀県では畜産センターで十月三日行われた競りで、七二年のセンター開設以来初めて一頭も落札されない事態が起きた。佐賀県でも肉牛の値段は暴落し、農家の生産費を割り込んで、経営が圧迫されているのが現状だ。
 佐賀県は和牛の生産は全国で三番目で、年間二万四千頭出荷している。それだけに影響は大きい。
 十月九日には代表団が、上京して、農水省に早急な原因究明や消費者などへの安全性PR対策、畜産農家への経営安定対策の確立などを求める緊急要請を行った。
 JA佐賀経済連畜産課・内田武巳氏は「佐賀県では過去十年間、肉骨粉を使用していないことが県の調査でも証明されているが、農水省、厚労省の二転三転する姿勢に不安をもつ消費者の方も多いと思うので、理解を求めたい」と訴えています。


北海道農民連盟の国への要請書(要旨)

 行政対応の遅れから、国内の酪農畜産に重大な影響を与える牛海綿状脳症(BSE)が発生したことを厳しく受け止め、消費者らの不安解消と信頼回復を図る必要があります。
 とくに、牛肉の消費減少や価格価格の急落など様々な影響が出てきており、酪農・畜産農民は今後の経営見通しについて大きな不安と懸念を抱いております。ついては、国民への安全・安心な食肉等の生産体制を確立し、国内酪農・畜産の安定的な発展を図るため、当面、次の事項について万全な対策を講じられますよう要請いたします。

1.BSEの感染源とされる肉骨粉等の全面禁止などにあたっては、法的根拠・制度の整備を直ちに行うこと。
2.BSE患畜の発生原因の徹底究明と正確かつ迅速な情報公開を行うこと。
3.国の責任において、消費者の信頼確保対策、畜産農家の経済的打撃への補償など万全な対策を講じるとともに、十分な予算措置を行うこと。

2001年10月
北海道農民連盟BSE対策本部
本部長 信 田 邦 雄

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