20010905

東大・駒場寮 寮生たたき出しと闘う

学生自治の確立を

石田 精一郎・寮委員長に聞く


 東京大学教養学部構内にある駒場寮では、廃寮攻撃に対して学生が十年間にわたり闘っている。大学当局は八月二十二日、強制執行を行い、寮生を排除した。だが、学生は自治を求めて闘い続けている。石田精一郎・寮委員長に、闘いの経過や決意を聞いた。

ーまず、駒場寮問題や闘いについて紹介してください。
 駒場寮は、学生によって自主管理されてきました。単に、学生が住む場所というだけでなく、サークルなどに部屋を貸し出し、自主的活動の場としての役割も果たしてきた歴史があります。
 さまざまな問題は、大学側と学生との合意に基づいて決めてきたのですが、その合意を一方的に破る形で、一九九一年に教授会が勝手に駒場寮の廃寮を決めたのです。
 当初から、学生は廃寮に反対し、寮の存続を訴えてきました。ストライキや学生投票も行いました。しかし、大学側はそれを無視し、九六年に廃寮が決定されました。
 以降、「居住者は不法占拠者」と規定されて、電気・ガスが止められ、さらに裁判に訴えられました。九七年には、駒場寮三棟の一つの明寮が仮処分を受け、つぶされてしまいました。
 学生側は、五月中旬にも学生投票を行っています。そこでは、具体案を含めた駒場寮存続案が批准されました。学生の意思は、十年間たった今でも、寮の存続だということがはっきりしています。
 ところが、その後行われた教養学部当局との交渉では、学部長は「学生は学部の計画を理解していない」と。つまり「学部当局の考えに従え」という論理です。
 五月三十一日に裁判所が強制執行の決定を下し、八月二十二日、私たち寮生は強制的にたたき出されました。いま私たちは、構内にテントを張って住んでいます。

ー強制執行前後の様子についてお聞かせください。
 私たちは、大学構内に学生が自主管理するスペースというのがつくられるのであれば、この寮の建物でなくてもかまわないという立場です。さらに、交渉の際にも最大限譲歩し、六百平方メートル程度のプレハブでも構わないという案を出しました。
 学生側がそうした案を出しているにもかかわらず、学部当局が提示したのは本当に小さな建物でした。しかも、話し合いの最中なのに、強制執行の手続きを行っていることもわかりました。
 とにかく強制執行自体がおかしいし、執行を行う執行官はガードマンを引き連れて一方的に執行を通告、さらに機動隊を待機させ、「敷地内の人間は全員逮捕する」つもりでやっていたらしいのです。
 結局、寮生全員、強制執行の対象者になっていない人も、寮から出されてしまった。抗議した弁護士も、ガードマンに両手両足をつかまれて排除された。権力で不法なことをやっている。考えられない状態です。

ー今後の闘い方についてお聞かせください。
 執行官は、強制執行を受けた寮生の荷物の受け渡しを、わざわざ電車で三十分もかかる六本木の東大所有地で行うことを通告するなど、制限を加えています。荷物は現に、駒場の敷地内にあるにもかかわらずです。今後の学生の活動を封じ込めようという狙いであるのは明らかです。
 私たちは寮を出されてしまったので、新自治寮の獲得を目標に、運動を続けます。当面、学生の自主管理施設を求め、運動を強めたい。
 今のところ、当局からテント撤去の動きはありませんが、九月の講義開始時期に動きが予想されます。

ー政府が進める「大学改革」との関係についてはどうでしょうか。また、全国の学生との連携については。
 全国との連携は、はっきりいって不十分でした。闘いを継続するにあたり、もう一度、考えなくてはいけない。
 国立大学の独立行政法人化など、大学再編とのかかわりもあります。例えば、なぜ自主的な活動スペースが必要なのか。全国的にそういうものが削られている中、自分たちが要求しているという自覚がない限り、現在の「自治」に安住はできても、その先は厳しいと思います。

ー最後に、訴えたいことなどがあればお願いします。
 寮としては、物心両面の支援がないと闘えません。カンパもお願いしたい。あと、こういう現状を実際に見てもらい、いろんな人に伝えることもお願いしたいです。

駒場寮闘争の主な経過

1991.
10 臨時教授会で廃寮を決定
93.
11 教養学部で学生ストライキ
95.
4 入寮停止に自主募集を継続
12 全学投票
96.
4 電気・ガスの供給停止
99.
3 寮生による自家発電開始
2001.
5 東京高裁が強制執行決定
8 強制執行

カンパ振込先(郵便振替)
 00180-7-186782 東大駒場寮委員会

ページの先頭へ