20010905

米艦入港に全国で抗議

4港入港はガイドラインの具体化
「神戸方式」の空洞化許すな


 米海軍第七艦隊の巡洋艦「ビンセンス」などが八月二十八日、静岡県清水、名古屋、和歌山、兵庫県姫路の四港にいっせいに入港した。すでに日米防衛協力の指針(新ガイドライン)に基づき、北海道室蘭港など民間港への米艦入港が行われてきたが、このような同時入港は初めて。西日本を狙いうちした入港は明らかに、朝鮮半島や中国をにらんだデモンストレーションである。また、非核証明書を求める「神戸方式」の空洞化を狙ったものでもある。米軍によるわが国の全土基地化を許してはならない。

兵庫 労組ら500人が抗議

 ミサイル巡洋艦「ビンセンス」が八月二十八日、姫路港に強行入港した。
 当日早朝からは、「姫路港寄港に反対する市民の会」など、入港に反対する市民五百人が「核搭載の有無が不透明」と訴えて、港周辺で抗議行動を行った。
 集会では、「商業港であり平和な港への軍艦の入港に怒りをもって抗議する。兵庫県が、安保条約に基づく事前協議はないという外務省や米国のあいまいな見解にもとづき、入港を認めたことにも強く抗議する」などとするアピールを採択した。
 すでに、米国の在大阪・神戸総領事が六月時点で、兵庫県議会議長や自民、民主などの議員と会談していたことも明らかになっている。七五年以降、神戸港を管理する神戸市が非核証明書提出を求める「神戸方式」を採用したため、兵庫県の港への米艦入港は今回が初めてとなる。
 総領事は、昨年四月にも神戸市議会議員などと会談、米艦への「開港」を迫った経過がある。このため、ビンセンスの姫路入港は「神戸方式をつぶすための地ならし」と見られている。
 今回、兵庫県は非核証明書の提出を求めたが、米側は「個々の艦船に関して核搭載の議論をしない」と回答、県民の怒りをかった。

静岡 100人が港で反対集会

 ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マッケーン」が入港、米艦の入港は九八年以来二回目となる。
 港では、NO!AWACSの会・浜松、静岡県労働組合共闘会議など百人が横断幕を広げ、「清水港の軍事使用反対」などと抗議した。
 また、県平和・国民運動センターと憲法擁護静岡県民連合は二十三日、石川県知事に「(入港は)絶対に容認できない」などと申し入れた。

和歌山 平和フォーラムが申し入れ・宣伝

 駆逐艦「クッシング」とフリゲート艦「バンデグリフト」が、和歌山下津港に寄港した。和歌山県に米海軍の艦船が寄港するのは、終戦直後以降初めてのこと。
 県平和フォーラムと和歌山地区労センターは二十三日、「一般商業港が軍港化に直結していくことを看過することはできません」などとする要請文を木村県知事と旅田和歌山市長に提出、入港反対を表明するよう申し入れた。
 席上、旅田市長は「非核証明書の提出を米国に求める」と回答したが、米側はこれを無視した。平和フォーラムなどは、県内主要駅頭での宣伝行動も行った。

名古屋 市民が怒りの行動

 名古屋港には、ミサイルフリゲート艦「ゲーリー」が入港を強行した。
 「名古屋・不戦ネット」などの市民約六十人が、ふ頭で抗議行動を行った。

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 四港に先立って鹿児島市谷山港には、ドック型揚陸艦「フォート・マクヘンリー」が二十四日、入港した。
 「県・憲法を守る会」などの団体が「錦江湾に軍艦はいらない」などとシュプレヒコールをあげた。同会の荒川譲会長は「軍が動くのはすべて軍事行動。有事の際に港がどれくらい使えるのかを調べるのが目的であり、絶対に認められない」と訴えた。

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