20010605

東京 朝鮮の統一支持日本委がシンポ

日朝正常化への課題を論議


 シンポジウム「朝鮮の統一支持と日朝国交正常化の実現」が五月二十九日、東京で開かれた。主催は、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会。
 あいさつを行った槙枝元文・日本委員会議長は、シンポジウム開催の意義について「昨年の南北首脳による画期的な共同宣言以降一年がたったが、北朝鮮と欧州連合(EU)の国交樹立など、朝鮮半島の統一やわが国と北朝鮮の国交正常化への環境面での前進もある」と、評価した。
 続けて、「だが、米ブッシュ政権は対北朝鮮強硬姿勢を取っており、わが国の小泉政権も『外交オンチ』としか思えない」など、日米政府は国際的に孤立していると批判。さらに、「日朝国交正常化に向け、わが国の進むべき道を話し合い、明らかにしよう」と呼びかけた。
 シンポジウムは、北川宏和・関東学院大学講師のコーディネートで始まった。
 最初に発言した小川ルミ子・日本婦人会議事務局長は、問題となっている「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)による歴史・公民教科書の問題に触れ、「『つくる会』教科書はあまりに歴史をわい曲しており、あるかどうかわからない『拉致(らち)疑惑』にわざわざ一ページもついやしている」と、具体的に批判した。
 また、「『国家への忠誠と国防の義務』も強調されており、戦争への動員を押しつけるこうした動きに対し、きちんと批判していくことが大切ではないか」と提起した。
 また、昨年十二月に開いた「急ごう日朝国交正常化! 女性のつどい」など、女性たちによる日朝連帯の運動を紹介した。
 荒井信一・日本の戦争責任資料センター代表(茨城大学名誉教授)は、「九六年の村山談話は、過去の侵略に対する反省としては前進だったが、明確な謝罪ではない。韓国との間で合意した歴史の共同研究も、前進がない。謝罪の言葉で問題を決着させるのではなく、侵略を行い、これまで謝罪と補償を放置した責任も含め、解決のための方法論を確立しなければならないのではないか」と述べた。
 また、「つくる会」の策動についても「何が何でも自らの教科書を採択させようと、教育委員会への書籍送付など、違法・不正を繰り返している」と厳しく批判した。
 最後に、槙枝氏が、教科書問題の歴史的経緯を振り返り、侵略の歴史をしっかりと認識することこそ、北朝鮮をはじめとするアジア諸国と友好関係をつくり出す前提であることを強調した。
 日朝国交正常化を大きく妨げている教科書問題など、わが国政府の姿勢を問う取り組みとなった。

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