20010605

東京 広範な国民連合・東京が総会

武者小路公秀氏(中部大教授)が講演

アジア独自の安全保障を


  小泉新政権は、「構造改革」を最重要視しつつも、わが国をいっそう米国の世界戦略に組み込ませる策動をおろそかにはしていない。集団的自衛権行使や有事法制に向けた動きは強まっており、侵略美化の教科書採択、李登輝来日も、その一環である。日米基軸を転換し、アジアと共生する国の進路を実現することは、国民の安全と繁栄のために、ますます重大となっている。自主・平和・民主のための広範な国民連合は各地で総会を行い、この情勢に対処しようとしている。

 「自主・平和・民主のための広範な国民の連合・東京」の第八回総会が五月二十七日開かれ、約百人が参加した。
 総会に先立ち、「米ブッシュ政権の対外戦略、アジアの共生と日本の進路」と題して、国民連合代表世話人の武者小路公秀氏(中部大学教授、中部高等学術研究所所長)が記念講演を行った。
 氏は「グローバル化とは勝ち残ったひとにぎりの者だけの経済である」「世界経済における南北関係が変化して、『北』といわれる先進国の中で生活に困窮する人びとが多く生み出され、いわゆる『南』といわれる途上国と同様な状況が生み出されている」と、情報技術(IT)化などによって、格差が異常に拡大している問題を指摘した。
 続けて、ブッシュ米政権について「グローバル化の中で覇権を目指している」と批判、「米軍機と中国機が衝突した事件でも分かるように、いまや米国は世界中、宇宙でも存在感を示そうとし、情報網を張りめぐらせている」「朝鮮民主主義人民共和国やイランなどを『ならず者国家』として、国家ミサイル防衛(NMD)構想など新たな軍備拡張の口実にしている」と解説した。
 わが国小泉政権については「米国といっしょになって、グローバル経済の中で生き残り、覇権を目指すための政権」と暴露した。
 その上で、「『人道的介入』と称して『平和』を強制する、米国のグローバル覇権を批判する理念が求められている。国家レベルでは、中国やロシア、イランなど、アジアを中心に米国の覇権に反対する国が多くあり、『北』の中でもグローバル経済への反対運動がある。これは、米国のグローバル覇権に反対する新たな可能性を秘めている」と述べ、「わが国は米国中心でなく、アジア独自の安全保障こそ必要」と、新たな日本の進路について提起した。
 闘いの進め方については、「大衆と結びつかず民族性をもたない市民主義では、米国のグローバル化に取り込まれる危険性すらある。市民を超えた連合こそ必要だ」と、国民連合への期待を表明した。
 なお、講演後の総会では、広田貞治氏(社民党東京都連幹事長)、江原栄昭氏(新社会党東京都本部委員長)、福本道夫氏(横田基地飛行差し止め訴訟団事務局長)の各氏から来賓あいさつが行われた。また、多数の祝電・メッセージが寄せられた。


神奈川 広範な国民連合・神奈川
隅谷三喜男氏(東大名誉教授) が問題提起


 広範な国民連合・神奈川の第七回総会が五月二十六日、横浜で開催された。
 あいさつした代表世話人の竹田四郎氏(元参議院議員)は、総会に向けて取り組まれた労働組合や商工団体との懇談をふまえて、「小泉政権の進める改革は多くの国民に痛みを伴うもので、百万?百五十万人の失業者が新たにつくり出される。歴史教科書など、政治反動も強まっている。国民連合が多くの団体と共同し、対処していかなければならない」と、力強く述べた。
 総会では、昨一年の闘いを振り返り、昨年七月の厚木行動や横須賀での原子力空母母港化反対の運動について「運動の発展に一定の貢献」をしたと評価した。さらに、日朝国交正常化要求や米原潜によるえひめ丸沈没事件に抗議する緊急集会などを闘ってきたことを総括した。
 今年の課題では、アジアの共生へ県民世論を盛り上げる、沖縄と連帯し米軍基地撤去をめざす、構造改革を口実としたリストラに反対するなど、六つの課題で闘うことを確認した。
 次に、隅谷三喜男・東大名誉教授から「昭和恐慌から太平洋戦争、現在までを振り返り、日本のあり方を考える」との問題提起を受けた。
 隅谷氏は、昭和恐慌が農村不況であったことを指摘し、それが農村出身の青年将校による「決起」につながったと述べた。これを合理化するため、「アジアを解放し大東亜共栄圏をつくる」と主張されたことを振り返った。
 そして、終戦を決めたのが天皇であったように、旧勢力への根本的な批判がないまま戦後となったことを指摘。これが、侵略戦争に対して現在でもあいまいなままであることを暴露した。
 討論では、反基地平和運動、消費者運動、教育界、女性団体や元国会議員など各方面から積極的な報告、議論が行われた。
 鈴木保・厚木基地爆音防止期成同盟委員長は、韓国の反基地運動団体と交流した経験を報告、原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会の呉東正彦氏(弁護士)は、横須賀港の原潜母港化を許さぬ闘いへの決意を表明した。
 総会は最後に、「繁栄と平和か、破局かの重大な岐路に当たり共同行動を」とのアピールを採択した。

ページの先頭へ