20010515

えひめ丸、戦闘機墜落… 沖縄県民大会に4000人

許すな! 米軍の横暴 全国で撤退の闘いを


 えひめ丸を沈没させた米原潜艦長に対し、米海軍は四月二十三日、軍法会議を開かない「処分」を言い渡した。米兵は九人のわが国国民を犠牲にしておきながら、いっさい罪に問わないというのである。またわが国政府は、これにひと言も批判をしないという売国奴ぶりをさらけ出した。えひめ丸事件をはじめ、青森県三沢沖へのF16戦闘機墜落、沖縄などで相つぐ米兵犯罪、夜間連続離発着訓練(NLP)強行など、米軍の横暴ぶりは際限がない。えひめ丸事件被害者家族の一部は訴訟を検討しているが、この事件を風化させてはならない。沖縄では四月二十五日、連合沖縄などによる県民大会が行われ、四千人が結集した。また、海兵隊削減要求署名が約百四十四万人に達し、五月十七日からは沖縄平和運動センターによる平和行進も準備されているなど、闘いは前進している。小泉政権のもとで、集団的自衛権容認の策動が強まっている中、沖縄・全国から米軍を撤退させる闘争を強化し、日米基軸からの脱却、自主・平和の進路へと転換させなければならない。米軍F 戦闘機の三沢基地からの撤去を求めている玉川健五郎・三沢基地進入表面下町内会連合会会長と、えひめ丸事件で副会長が犠牲となった梅津 敬吾・三崎無線通信士協会会長に聞いた。

戦闘機墜落に怒り
生存のため闘い続ける
三沢基地進入表面下町内会連合会 玉川 健五郎 会長


 「三沢基地進入表面下町内会連合会」は、三沢市の半分、約二万人の住民が住む五十五町内会で組織されている。
 四月二十七日の連合会総会では、十二項目の要望を決めた。内容は、四月に墜落事故を起こしたF16 戦闘機の撤去、三沢対地射爆撃場の移転、航空自衛隊のF2支援戦闘機の整備点検徹底、騒音区域見直し、NLP反対などだ。
 三沢基地は住宅密集の市街地にあるし、六ヶ所村の核燃料サイクル施設も近い。このような場所に戦闘機を配備し、NLPを行うこと自身がおかしい。
 私たちが問題にしているのは、F16の危険性だけではない。NLPのために、税金を使って硫黄島に訓練施設をつくったのに、わざわざ本土で行うとはとんでもないことだ。
 また、昨年の日米合同演習の際には、対地射爆撃場で演習が夜中まで強行された。航空機騒音については補償措置があるが、演習による振動や誤爆などの危険に対してはない。演習のときには、すさまじい騒音や振動があり、付近の天ヶ森地区の住民はとても生活していけない。周辺住民は、誠実な家屋移転も求めている。
 えひめ丸などもそうだが、とくにガイドライン関連法の制定以降、米軍は安保をタテに、日本国民の意思を無視したことを繰り返しているようにみえる。墜落事件に対しては、三沢市漁協が海上デモを行うなど、市民の怒りは根強い。
 実は、米軍がF16の低空飛行訓練を行わないという約束をしたので、昨年の総会では「撤去」の要求を「整備点検の徹底」にした経過がある。
 ところがその直後の十一月、北海道松前沖への墜落があり、先日は三沢沖に墜落した。それで、われわれも方針をもとに戻した。これからも、戦闘機の撤去などを求めて、運動を続けていく。 
 われわれは、ただ、自分たちの生活と生存のために訴えているだけだ。


神奈川
原潜艦長に軽微「処分」
国民をバカにするな
三崎無線通信士協会 梅津 敬吾 会長


 えひめ丸に衝突して、九人もの日本人を行方不明にしている原潜の前艦長が、罪にならないというのはおかしい。
戦争時であればともかく、平和時における訓練で起こったことを罪に問わないのは、とても納得できない。
 交通事故なら、八対二とか七対三で事故責任を分担するが、今回は一〇〇%米軍の過失で、えひめ丸にはまったく責任がない。
 刑事責任を問うのは難しいというが、前艦長は「勇退」扱いで就職先も決まっており、その執行も六カ月先だ。退職金も出るようだし、「名誉除隊」のように扱われる。
 まったく「軽い」というようなものでなく、日本国民をバカにしている。日本の公務員がこのようなことを行えば、追放に近い処分が当然であるのに。
 この「処分」に、被害者家族が怒りを表すのも当然で、はらわたが煮えくりかえっているだろう。いまだ心労があって医者に通ったりしている家族もいるほどだ。家族が「罪が軽すぎる」と抗議するのは当然で、やってよいことだ。
 また、神奈川県の三崎水産高校も先日、ハワイ沖への実習に出発したが、学校関係者や家族の心配は相当なものだったと聞いている。
 二度と事件を繰り返してはならないし、このような気分を味あわせてはいけない。そのためにも、厳正な処分が求められている。
 日本政府も米国にある程度はいうが、のど元過ぎればそれまでだ。日本政府は「適正な処分が行われた」などと言い、家族に対する配慮もない。政治家には、米軍の責任を問い続ける者がいないし、期待できない。
 このようなことになるのは、米軍が終戦後からずっと日本にいることが、大きく影響しているのではないか。一度全部米国に帰っていれば考え方もずいぶん違うのだろうが、米国はまだ「戦勝国」気分で、在日米軍は占領軍の延長だ。兵士もそういう気分になっている。その意味で、安保条約というのは問題がある。沖縄で起きている犯罪も、根は同じではないか。
 先日は中国と米軍の軍用機衝突事故が起きたが、わが国に米軍基地がなければ、こういうときの軍事的緊張に巻き込まれることはない。自国は自分たちで守るべきで、いつまでも米軍にいてもらう必要はない。
 あわせて、このような事件の被害者に対しては、国として補償するなどの法整備が必要ではないか。本来は、全国民的な声があがってよいはずだが、政治の責任が大きい。