20010425

佐賀 国民連合が記念講演
直ちに水門開放を

有明漁民は闘い続ける

田村・東部漁協青年部会長が訴え


  有明海のノリ不作で、沿岸漁民の生活が危機にひんしている問題で、諫早湾の水門開放を求める漁民の闘いは、粘り強く続いている。だが、農水省による第三者委員会は四月十七日、「調査」を口実に、水門開放を今後一年間は行わない方向を決定した。すでに沿岸漁民の生活は苦難をきわめ、自殺者も多数出ており、水門開放が急がれる。こうした中、佐賀県で漁民を招いての講演会が開催された。

 自主・平和・民主のための国民連合・佐賀は四月十五日、佐賀市で第五回総会を開いた。記念講演では、佐賀県東部地区漁業協同組合青年部会長の田村和之氏による、諫早湾とノリ漁業の現地報告が行われた。
 田村氏は、「諫早湾の水門開放を求める漁民の行動は、いまでも続いている」と述べ、闘いの経過について語った。
 「実は、四年前に長崎の大浦漁協から闘いの協力要請があった。しかし当時、私たちは協力しなければならないとは思いながらも『なかなかまとまりがつかないので』と言って断った。それは、まだノリが採れていたからだ」
 「人間は、自分の尻に火がつかないと立ち上がらないものだ。そして今年、私たちがいっせいに立ち上がったとき、大浦漁協の人がきて『あの時、いっしょにやっていればよかったなあ』と言った」
 「私たちは、床まで頭を下げて『私たちは立ち上がるのが本当に遅かった。申し訳ありませんでした』と謝った。そうしたら、大浦の人たちは『いいじゃないですか。これからいっしょにやっていきましょう。何とかこの水門を開けて、昔の海の流れに戻してやれば、あなた方も私たちも、きっと立派な漁ができるはずです』と言ってくれた。この水門が開くまで、私は徹底的に闘いたいと思っている」と、闘いの中で漁民の団結が深まってきたことを、切々と訴えた。
 さらに、「運動の中で、いろいろな意味で、海を守らなければならないということに気がついた。環境保護の面からも、海を守る行動をしなければならない」
 「だが、漁民だけの力ではどうすることもできない。国民の皆さんを味方につけなければ、絶対に勝てないと思う。だから私は、あちこちで現状を訴えている。理解してもらうためなら、私自身はどこへでも出かけて行きたい。また、十分活動できるよう、漁協にも働きかけたいと考えている」と決意を述べた。
 政府は、有明海沿岸漁民の生活を守るため、一刻も早い干拓事業関連工事の中止と、水門開放を行うべきである。総会は、国民各層が漁民の闘いを支持し、連携を深めることに大いに役立つものとなった。