20010405

東京 一坪反戦地主会が講演会

米戦略への警戒を確認


 講演会「アメリカの軍事戦略の転換と東アジア」が三月三十一日、東京で開かれた。主催は沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックで、雪をついて約五十人が参加した。
 講演を行った軍事ジャーナリストの福好昌治氏(大阪経済法科大学客員研究員)は、湾岸戦争後の米戦略の変化にふれ、「今年は、四年ごとの米国防政策見直しの年だ。九三年の『ボトムアップレビュー』では、『二カ所の紛争への同時対処』という戦略を決定した。だが、すでに米軍は朝鮮半島、中東、旧ユーゴの三カ所に正面配備しており、この戦略は破たんした。財政難もあり、新戦略は『二カ所同時対処』から『一つの大規模戦争への対処』へとシフトする可能性が高い」と、米国内で論じられている見解などを紹介した。
 続けて、「ここで出てくるのが、日本への軍事的要求だ。昨年のアーミテージらによる超党派報告にみられるように、米国では日本に『パワーシェアリング』を求める声が強まっている。だが、米国の領土が直接攻撃される可能性はほとんどないのだから、本来、集団的自衛権を米国に要求されるのはおかしい。わが国には、紛争の際の米軍支援はもちろん、海外派兵が日常的に求められることになる」と暴露、米戦略に追随する日本国内の見解を批判した。
 氏は最後に、「湾岸戦争やユーゴ空爆にみられるように、米戦略では空軍と海軍の比重が高まり、海兵隊の役割は低下している。海兵隊や陸軍は、最近は停戦後の治安維持程度の任務しか果たしていない。海兵隊を沖縄に駐留させなければならないという根拠はないはずだ」と指摘した。
 講演後、関東ブロックから、米軍用地特措法による楚辺通信基地(ゾウのオリ)、牧港補給基地内用地の強制使用に関する土地収用委員会審理について、報告があった。
 最後に、上原成信氏(関東ブロック代表)があいさつ。「米軍に続き、自衛官による少女暴行事件も発生した。まったく許せない。米軍犯罪被害者への損害賠償法を、ぜひとも制定させたい」と決意表明した。
 この取り組みは、米国の世界戦略と安保条約について認識を深めるものとなった。