20010405

政府はセーフガード発動を

農業は市場原理でよいのか

福岡県農協青年部協議会 右田 英訓委員長に聞く


 輸入野菜の急増によって日本農業は大きな打撃を受けている。ネギは九七年に比べ二十五倍も増え、生シイタケ、畳表(イ草)も急増している。そのため、国内産地、国内生産者は危機的状況にある。JA全中と全国農政協は東京で三月二十七日、セーフガード(緊急輸入制限措置)早期実現、暫定措置発動緊急集会を開いた。また、JA福岡県青年部協議会は二十四日、セーフガード発動をめぐり、消費者に理解を求めるアピール行動を三百人で行った。右田英訓・福岡県青年協委員長に聞いた。

 われわれは、日本の農産物を守りたいという思いで行動を続けてきた。今回、政府はセーフガードの暫定措置を出すだろう。だが、セーフガードを出せば解決するとはまったく思っていない。セーフガードを出せば一方で構造改革を迫られ、今後厳しい状況が来ると思う。
 だが、セーフガードを出すことによって、日本の姿勢を内外に示すべきだと訴え、行動してきた。行動してきた一番の思いは、消費者に日本の農産物を理解してもらうためだ。引き金はセーフガード、輸入農産物だが、消費者にわれわれの思いをどう伝えていくかが重要だと思っている。それは、安全な食料であり、国民の胃袋を外国に依存してよいのかということだ。
 米国だけでなく、今度の世界貿易機関(WTO)交渉でどうなるかはあるが、輸出国側が日本をどこまで理解してくれるかは、厳しいものがある。しかし、政府は当然突っぱってほしい。一連の動きの中で、日本もセーフガードを出すんだという意思表示は大事だと思う。輸入国である日本はこういう思いでやっているんだということを示すことだ。
 また、われわれが行動したことは、消費者へのアピールはもちろんだが、われわれ農業者自身がもっと危機感をもっていこうという意味を込めて行動した。
 アピール行動前に青年部で中国に行って来た。ともかく中国野菜の実態を目で見て、肌で感じてこようと。それによって、ものすごい危機感を感じた。
 そして、一連の動きに日本の商社が見え隠れする。商社は利益追求だけで動いている。だが、食料という日本の根幹となるものを市場原理・自由主義経済だけでやってよいのか。日本は先進国でも最低の食料自給率であり、そういう問題がありながら商社が輸入野菜をどんどん入れている。そうしたことを続ければ、日本農業はつぶれてしまう。
 タオルなどの業種の方々も安い輸入品で厳しい思いをしていると感じている。さまざまな業種で海外生産による生き残りを求めているが、それがよいのか。とやかくは言えないと思うが、食料は他の商品と同じに扱うことはできない。さらに行動していきたい。