20010215

埼玉・川口

中江要介・元駐中国大使が集会で講演

日本の進路と日朝国交を問う


 「『朝鮮半島情勢と日本の進路』を考える県南集会」が二月二日、埼玉県川口市で開かれた。
 集会は実行委員会が主催し、川口、鳩ヶ谷、蕨、戸田の県南四市の市長や市議会議員、各種団体の役員約四十人が賛同した。また集会には、衆参の国会議員などから祝電やメッセージが寄せられた。
 実行委員会を代表して松本守博氏(元川口市議会議員)は、「県内で、川口で初めて朝鮮総聯、韓国民団が同じ場に立ち会っている。感無量だ」とあいさつした。各界の代表も「時期にかなった集会だ。今後もこうした運動を続けていこう」と述べた。
 集会を記念して中江要介氏(元駐中国大使)が講演を行った。
 中江氏は、「戦争が終わったと思ったら冷戦に入り、朝鮮半島は米国によって分断された。こんにちでも米国は国益を守ることを徹底させている。国際世論で米国の行き過ぎを正すべきだ」と述べた。
 わが国の外交については「ガイドラインあたりから、日本の中に戦争を好む勢力があると感じている」と述べ、「過去の侵略の歴史をきちんと清算して、未来に生かす外交が必要だ。歴史認識と戦争責任をきちんとし、謝罪と賠償を行うことだ」と訴えた。さらに「日本が二十世紀の殻から脱皮すれば、アジアの国々に愛されるだろう。日本の進路は東アジアの中に新しいビジョンをもつことだ」と強調した。
 講演後の質疑では、会場から「日本は一日も早く朝鮮民主主義人民共和国との国交を樹立すべきだ」という意見や「集団的自衛権の行使や憲法改悪などの動きが強まっている。いま、私たちは何をすればよいのか」といった意見も出された。これに答え中江氏は、「国民がよく勉強することが大切で、こうした集会が大事だ」と締めくくった。
 幅広い人びとの賛同と参加で開催された集会は、南北朝鮮の自主的平和統一に向けて、日本のとるべき道は何かを改めて考えさせる契機となった。